2022年1月7日(金)夜8時より、新春ドラマスペシャル「優しい音楽〜ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ〜」(テレビ東京系)が放送される。本作は、人気作家・瀬尾まいこの小説『優しい音楽』を原作とし、脚本・岡田惠和、監督・若松節朗、音楽・稲本響という豪華タッグが実現したもの。神奈川・鎌倉を舞台に、それぞれが忘れられぬ過去から新たな一歩を踏み出すまでの“再生”を描いた、音楽がつなぐ優しさあふれる愛と絆の感動物語だ。本作で主人公の千波を演じるのは、女優の土屋太鳳。今作に対する思いや、音楽にまつわる話などを語ってもらった。
取材・文/於ありさ
新春ドラマスペシャル『優しい音楽〜ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ〜』
テレビ東京系 2022年1月7日(金) 20時から放送
あらすじ・・・大学教授の父・雅志(演:仲村トオル)、歌がうまくて完璧な母・桂子(演:安田成美)と暮らす女子大生・鈴木千波(演:土屋太鳳)が、いつもより早く家を出たある朝のこと。最寄りの江ノ電・極楽寺駅に着いた千波は、ホームにいた永居タケル(演:永山絢斗)を見るなり、思わず立ちすくみ激しく動揺する。だが心当たりがないタケルは、話し掛けられても困惑するしかなく…。広木克彦(演:佐藤浩市)が営む小さな造船所で日々真面目に働くタケルは、古い木造アパートでひとり暮らし中。過去に何かあったのか、家族写真や父母のものらしき眼鏡が大事に飾られている。そんな境遇の違う2人は、奇妙な出会いを経て、やがて恋人同士に。ところが千波は、なぜかタケルを頑なに両親と会わせようとしない。初めて千波の家に足を踏み入れた時、衝撃の理由が明らかに――。鎌倉を舞台に、それぞれが忘れられぬ過去から新たな一歩を踏み出すまでの〝再生〟を描いた、音楽が繋ぐ優しさ溢れる〝愛〟と〝絆〟の感動物語。
本作の台本を読んだ感想は「今の時代にマッチしている」
──本作への主演が決まった時の気持ちを教えてください。
土屋太鳳(以下、土屋):とても素敵な話に出会えて、すごく嬉しかったです。内容的には、胸が締め付けられる部分もあるのですが、岡田さんの脚本によって、とても柔らかく優しい言葉で会話劇が繰り広げられていくので、そのアンバランスさみたいなものを含めて楽しんでいただけると思います。
──撮影はこれからとのことですが、台本を初めて読んだ時の感想を教えてください。
土屋:胸が締め付けられました。私が演じる千波ちゃんの家族って、人から見たら幸せに見えると思うんです。でも、実際はある出来事がきっかけで、すれ違いが起きてしまって…。そういう普通の日常を生きている中で起きる悲しさが、今の時代にマッチしていると思いました。
──なぜでしょう?
土屋:良い世界、良い時代だと言われていても人それぞれ「自分の夢が叶うのだろうか」とか「自分は幸せになっていいんだろうか」となにかしらの不安を抱えていると思うんですよね。そういうことを改めて考えさせられたんです。
「体験したことのない体験をする」演じる難しさ
──今回、土屋さんが演じる役・鈴木千波の第1印象を教えてください。
土屋:台本に、とてもキレイな子と書いてあったのが印象的でした。容姿に関しては、メイクさんの力をお借りして間に合わせていけたらなと思っているのですが、容姿だけでなく、心の面、とても素朴で純粋でなところもまた彼女のキレイさなんですよね。悲しいことがあったからこそ、ちゃんと正面から向き合いたいという素直さを感じさせる女の子です。
──共感できる部分はありましたか?
土屋:千波ちゃんはある出来事から悲しみに暮れながらも、父と母がいるから生きている、家族がいなかったら命を落としていたかもしれないような子なのですが、私自身、家族がとても好きで、家族がいるから今ここで頑張れるというのもあるので、その感覚はわかるなと思いました。
──今作で新しい挑戦になるなと感じている部分、難しそうだなと感じている部分を教えてください。
土屋:自分では体験したことのないことを演じることが難しそうだなと思っています。今までは、自分の心の中で感情を失っていくような役どころが多かったのですが、今回はさらに失うものがあって。ただ、今の段階では経験したことがないからこその苦しさを利用して「千波ちゃんが今の状況を変えるには、どうしたらいいんだろう」とプラスのエネルギーに変換して行けたらいいなと思っています。
──撮影で楽しみにしていることはありますか?
土屋:昔からテレビを見ていて「一緒にお芝居をしたらどうなるんだろう」と思っていた方々と共演できることです。また、若松監督とお仕事するのは初めてなのですが、監督がO型らしいので、O型同盟で頑張って行けたらなと思います。あとは、江ノ電での撮影が楽しみです!
──どうしてですか?
土屋:父がサーフィンをしていた影響で、昔、よく海に行っていたんです。それで「いつか江ノ電が出てくる作品に出られたらな」と思っていたのですが、今回、その夢が1つ叶うことになったのが嬉しいんですよね。
映画『アイの歌声を聴かせて』の公開で感じた絆
──2017年に公開された土屋さんの主演映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』でも脚本を担当された人気脚本家・岡田惠和さんが今作でも脚本を手掛けますが、土屋さんが好きな岡田惠和作品を教えてください。
土屋:えー!難しいですね、言葉の掛け合いがすごく好きなので、どの作品も好きなんですが…ここは「8年越し〜」を推させていただいてもいいですか(笑)。
──ドラマのタイトルにちなんで、土屋さんにとって音楽とは、どのような存在なのかを教えてください。
土屋:音楽は…なんだろうな…相棒ですかね。役作りをするときもクラシック音楽を聴いたり、「どういう音楽を聴いている子なのかな」と想像して気持ちを作ることもあるんです。以前、舞台『プルートゥ PLUTO』でウランとヘレナの2役を演じた時、今回のタイトルにもなっているエリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘヴン」を聴きながら原作を読み役作りに励みました。
──役作り以外の場面では、どのような音楽を聞くのでしょうか?
土屋:その時の気分に合わせた音楽を聞くことが多いです。元気を出したい時とかワクワクしたい時はドラマ『のだめカンタービレ』のオープニング曲『交響曲第7番』とか。あと、悔しい時は中島みゆきさんの『宙船』を聞きます。「おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな」という歌詞を聞いて「そうだよね!」と元気をもらうんです(笑)。
──最後に、今回のドラマは「絆」が1つのテーマになっていると聞いています。土屋さんが最近、絆を感じたエピソードを教えてください。
土屋:声優を務めた映画『アイの歌声を聴かせて』が公開された時ですかね。コロナ禍ということもあり、そこまで多くの方に見られないのかなと思っていたのですが、口コミが口コミを読んで上映期間が延期されたり、上映回数が増えたり、映画館が増えていくのを見て、絆を感じました。直接会えるわけでなくても、支えてくださる人がいて、「見てほしい」と同じ気持ちでいてくれる方がいるというのは、心強いですよね。
土屋太鳳(つちや・たお)
●1995年、東京生まれ。2008年、映画「トウキョウソナタ」で映画デビュー。NHK連続テレビ小説「花子とアン」(14年)に出演後、「まれ」(15年)でヒロインを演じた。主演映画に「オレンジ-orange―」(15年)「8年越しの花嫁~奇跡の実話~」(17年)、「哀愁しんでれら」(20年)などがある。「大怪獣のあとしまつ」(22年)が公開。NHK「シブヤノオト」(土曜、23:10~)にてMCも務めている。
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