なぜ人はサウナに魅せられるのか…。俳優としてドラマや舞台で活躍する黒羽麻璃央が、その答えを探る連載がTV Bros.WEBにてスタートします。記念すべき第一回目は錦糸町にある両国湯屋江戸遊にお邪魔しました。サウナはもちろん、湯ワーク(温浴施設らしさを感じられるワーキングスペース)や休憩スペースが充実している江戸遊を思う存分堪能していただきました。また、プライベートでもサウナ施設によく足を運ぶ彼にとってサウナとはどのようなものなのか、うかがいました。
撮影/藤本和典
初めて“翔んだ”あの日のこと
――サウナとの“出会い”を教えてください。
以前から銭湯とかスーパー銭湯とか、お風呂は好きでよく行ってたんですよね。それでサウナも入ってはいたんです。ただ水風呂は苦手で入れなかったんですけどね。ちょっと気分転換をしたいときや舞台の公演中などに「ちょっと汗かこうかな」っていう感じで。ただ、水風呂に入れないってことで(笑)、身体を冷やしきれないから1回サウナ室に入って「あ~、汗かいた」で終了(笑)。ちょっと身体を調整できたかな、くらいで終わってたんです。それはそれで気持ち良かったし、リフレッシュにはなってたんですけど。
――いまのような入り方ではなかったんですね(笑)。それが変わったのは?
ちょうど「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)のシーズンレギュラーをやらせていただいていたときに、同い年でプライベートでも仲良しになった梅澤廉アナウンサーと話をしていて「いや、水風呂に入って、そのあと休憩してみて。できれば外気浴で。騙されたと思って」って教えられて。もう寒い時期だったんで「意味が分からないよ」「死んでしまうよ(笑)」なんて言いながらやってみたら…世界が変わりました、まんまと(笑)。
――ついに目覚めてしまったんですね(笑)。
そうですね。まさに。梅澤アナと、彼の後輩…よく野球の話をしたりする仲間がいるんですけど、2人に新宿の「テルマ―湯」さんに連れて行ってもらって。で、教えられた手順どおりにやってみたら最初の水風呂こそ少し抵抗があったけど、外気浴スペースでの寒さをぜんぜん感じなくて。「あれ、なんだこれ?」「全身に…血が巡ってるのが分かる」って。それで目を閉じてたら、そのうち、意識がふわ~っとしてきて。「やばいやばいやばい、なんだこれ!」って。1セットめで「翔ぶ」感覚を味わってしまったんです。もう、すぐに毎日のように(!)行きたくなってしまうようになりました(笑)。
――「翔ぶ」……なんとなく分かります。
サウナはもう、僕にとって必要なツールですね。普通の日に訪れることも多いですが、一つの作品がクランクアップしたり、舞台公演が無事に終わったりしたときなどは、自分の中に入っていた“役”をおろそう、みたいな感覚で入ります。次の作品、役に臨むために心身ともにいったんリセットするんですよね。
今はこんなご時世なので難しいですが、舞台をやっているときって、毎公演、その役の気持ちに精神状態を持っていくんですよね。たとえば、先日まで「ロミオ&ジュリエット」をやらせてもらっていたんですが、あのお芝居って愛する人を失うシーンや人を殺めてしまうシーンがあるんです。これがかなりしんどい部分があって、どうしても自分自身の気持ちがやられてしまうところもあって…。僕だけでなく、舞台をよくやる役者さんでサウナ好きが多いのはそんなことも背景にあるんじゃないかなって思うんですよね。もちろん肉体も酷使しますし、ノドも筋肉だったりするんで、それらをリフレッシュするという目的もありますけど。
役者の僕をさらに磨く必須ツール
――コロナ以前は、役者さん同士で、仕事終わりに行くことなんかもあったんですか?
めちゃくちゃあります(笑)。個人的なリセットとかリフレッシュももちろんですが、そもそもサウナって、ハダカの付き合いじゃないですか。一緒に行ったら一発で仲良くなるし、距離がぐんと縮まりますからね。一緒にサウナに行くことは、いい作品づくりには結構重要かもしれないです(笑)。とくに舞台のときは多いです。映像作品は終わり時間がバラバラだったりしますけど、舞台はみんな一緒ですから。コロナ以前の…ミュージカル『刀剣乱舞』のときとかは、ほんと、めちゃくちゃ行ってましたよ(笑)。
――肉体的な疲労も精神的な消耗も回復させる。たしかにもはや必須ですね。
そうなんですよね。もうご飯を食べるのと同じ感覚で必要なものになっちゃったかなってくらいで(笑)。だからサウナが好きな人にはいろいろ聞きますし、自分で調べたり、気づいたらサウナにいた、みたいなことが以前はありました(笑)。でも、いまはなかなか行くことが難しくて。だからサウナに本当に飢えてたんですよ。今日のサウナ、実は3か月ぶりですから。
――それでですかね? 目がいまバッキバキです(笑)。目ヂカラがすごい(笑)。
はい(笑)。翔びました。そして溜まってしまっていたものも全部出ました(笑)! 身体が求めてたものを今日は心行くまで体験させていただいて、ほんと気持ち良かったです。もういまは睡魔が来てます(笑)。でも、こちらの「江戸遊」さん、本当にずっと居られます(笑)。やっぱり心ゆくまでリラックスできるところは最高ですね…。
これからもいろんなサウナに行ってみたいし、さらなる知らなかった感覚を味わいたいなって思ってます。そしてこの連載を、同世代の俳優に嫉妬されるような仕事にしていきたいです(笑)。
今日はノドも身体も心もすっかりほぐれました…。もう、次の仕事に向けて準備はととのってます!
湯ワーク
今回訪れた「両国湯屋 江戸遊」には、リニューアル前の旧浴室の雰囲気をそのまま残したコワーキングスペース「湯Work」が完備。
洗体
中温サウナ
「あ、じっくりじわ~っと汗が出そうなほどよい温度(※この日は75℃前後)。この感じもいいですよね。熱すぎるのが苦手だったり、まだ慣れてない人、リズムを付けたい人にはいいかもしれない」
高温サウナ
水風呂前のガッシングシャワー
水風呂
「基本的に背筋を伸ばして微動だにせずに入ります。“侍”みたく(笑)。身体の周囲に温度の膜=羽衣を作るタイプです。できるだけ水が動かない感じを求めてるんで、誰も入ってないタイミングを狙ったりしますね(笑)。羽衣が自然に薄くなって身体に冷たさを再び感じ始めたら水から上がります」
外気浴
「いすに座ったら目つぶっちゃいますよね? それで、あの“翔ぶ感じ”が近づいてきたら…“キタキタキタ~”って(笑)。若干目が回る感じというか意識が薄くなっていくというか。そうするともう強制的に何も考えられなくなる。初めてのときは、不思議な感覚でした(笑)。え、なんだこれ?って」
館内での休憩
「浴室を出てからあとの休憩も好きですね。もちろん時間があればだけど、なにも考えずにとにかくリラックスしたり好きな本や漫画なんかを読んだり。江戸遊さんは『湯Work』だけじゃなく、こんなスペースもあるんで最高です。ほんと1日いられます」
食事処
●両国湯屋 江戸遊 ●
施設:オートロウリュやスタッフによるロウリュサービスが行われる90℃前後の設定の「フィンランドサウナ」(男湯・女湯)、75℃前後の「中温サウナ」(男湯のみ)、「アロマスチームサウナ」(女湯のみ)の3種のサウナに加え、6種のお風呂、岩盤浴も3種を備えるほか、食事処、多彩な休憩処、コワーキングスペース「湯Work」なども揃う。“青海波”が刻まれた外観、葛飾北斎作品をモチーフにした壁画など“江戸の伝統”を感じさせながら、最先端の設備が堪能できる。
(緊急事態宣言など状況に応じて営業時間は変更あり。最新情報はHP等でご確認ください。)
住所:東京都墨田区亀沢1-5-8
営業時間:前11・00~翌9・00 年中無休(※メンテナンス等による臨時休館あり)
料金:一般=2,750円
(会員=2,350円 ※入会金500円、年会費500円
※毎週火曜は会員デーで2,150円)
中人(12歳以上18歳未満)=2,050円
★60分コース=1,250円(館内着・岩盤浴なし)
★朝風呂=1,250円(前6:00~8:00 館内着・岩盤浴なし)
[公式HP]https://www.edoyu.com/ryougoku/
●PROFILE●
黒羽麻璃央(くろば・まりお)
1993年7月6日生まれ。宮城県出身。俳優。映画、ドラマ、舞台など幅広く出演。主演を務めたミュージカル「ロミオ&ジュリエット」に続き、舞台「もしも命が描けたら」(鈴木おさむ作・演出)出演も決定。
[公式HP]https://kuroba-mario.com/
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