好評発売中の絵本『桃太郎、エステへ行く』(絵:五月女ケイ子 作:細川徹)の読み聞かせ動画が公開! 読み聞かせを担当したのは誰あろう、なんとあの超大物・松平健さん! 表題作である「桃太郎、エステへ行く」を情感たっぷりに朗読していただきました。自分に自信のない桃太郎がイヌ、サル、キジが営むエステサロンで施術を受け美しくなり……というキュートな作品世界の魅力が存分に引き出された松平さんの読み聞かせ動画は必見です。
今回、初めて絵本の朗読に挑戦されたという松平さんと著者である細川徹さんにお話を伺いました。
取材・文/末光京子 撮影/尾崎篤志
松平健さんが読む「桃太郎、エステへ行く」の読み聞かせ動画はこちらのページへ!
▶︎【読み聞かせ動画公開】松平健が「桃太郎、エステへ行く」を読む!
桃太郎だってキレイになりたい!
五月女ケイ子&細川徹のタッグがおくる、おバカでキュートな昔ばなしが本になりました
『桃太郎、エステへ行く』絵:五月女ケイ子 作:細川徹
発売中 定価:1650円(税込)
発行:東京ニュース通信社 発売:講談社
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松平健の声が登場人物たちに新たな命を吹き込んだ!
――本日は表題作「桃太郎、エステへ行く」を朗読していただきましたが、まずはこの絵本の感想からお聞かせいただけますか?
松平 『桃太郎』がこういう展開になるとは、まったく想像もしていなかったですね(笑)。突拍子もないんだけど、この本を読んだ人はいろいろな意味で想像の世界がぐっと膨らむんじゃないでしょうか。もし今の時代に桃太郎が生きていたら、鬼退治をするだけじゃなくて、こんな風にいろんな体験をして世界がすごく広がっていくんだなって。うちの家族も「桃太郎のお話がこんな風になるなんて」と気に入っています。
――個人的にお気に入りのお話はありますか?
松平 やっぱり、今日読ませていただいた「桃太郎、エステへ行く」は気に入っています。「そこには もう争いはなく 美しさだけがあった」って(笑)。桃太郎と鬼が共通の趣味に没頭して、みんながキレイになって争いもなく平和な世の中になるなんて、すごく素敵だなって。そんな世の中になって欲しいなと思いますね。
――絵本の朗読はいかがでしたか?
松平 あんまり朗読ってやったことがなかったんですが、こういう面白い本ならすごく楽しいんじゃないでしょうか。
細川 松平さんの朗読を聞いていたら、こんなふざけた感じの本なのに、すごく立派な本を作ったような気持ちになりました(笑)。雰囲気がすごく変わってよかったです。
松平 やっぱり朗読っていうのは、そこに面白さがありますよね。聞いた人がより想像力を刺激されるというか、自分の中でまた新しい物語を描けるというか。
細川 演じ分けとかは意識されたんですか?
松平 そうですね。それぞれ、鬼たちとかおばあさんとかはやっぱり自然な口調で言おうかなと考えました。
細川 「ツルンツルンになった」っていう部分が、すごいツルンツルンな感じがして。
松平 本当(笑)? 桃太郎が毛深かったっていうのは初めて聞いたので、そうか、と思って読みました。
NGゼロ!? かっこ悪くてもかっこいい松平健
――松平さんと細川さんのご縁というと、2021年放送の『小河ドラマ 徳川☆家康』(松平健主演/細川徹作・演出)がきっかけだと思うのですが、『小河ドラマ』に出演を決められたのはどんな理由があったんでしょうか。
松平 やっぱり台本が面白かったのが大きいですね。今まで自分がやってきた時代劇とはまた違った楽しい作品だったので。
小河ドラマ『徳川☆家康』
細川徹作・演出の“非”本格派時代劇。2021年放送。
超大物時代劇スタア(松平健)は、現代にタイムスリップしてきた本物の徳川家康(三宅弘城)から聞いた逸話を盛り込んで時代劇を作るが、完成したドラマはかつてないほど地味でつまらない物語になってしまい…。
食い逃げをするシーンや脱糞をするシーンなど、今までドラマで描かれてこなかったかっこ悪い徳川家康を演じる松平健が話題に。
――今まで松平さんが出演されてきた“かっこいい”時代劇とはだいぶ違った作品だったので、かなりの挑戦だったのではと思うのですが…。
松平 まあ、そうですよね(笑)。
――食い逃げするシーンや脱糞シーンなど、“かっこ悪い”シーンがたくさんあって。反響はいかがでしたか?
松平 いや、みんな、笑っていましたよ(笑)。それまではかっこいい時代劇が多かったので、武将のかっこ悪いところも見せてしまうっていう今までにない作品で、その人物の本当が見えたような気がして、皆さんも楽しんでくれたと思います。
――『小河ドラマ』や『桃太郎、エステへ行く』を通して、松平さんが思う細川作品の魅力はどんなところでしょうか?
松平 徳川家康にしろ、桃太郎にしろ、その人物を今までに描かれなかった裏側というか、内側からえぐったような描き方で、観る人に知らない一面を想像させるところというのかな。いい意味で今までにない、イメージを壊すような作品だと思いますね。
細川 『小河ドラマ』を見てもらうとわかるんですけど、松平さんがすごくチャレンジングなんですよ。台本の時点ですごくチャレンジングなものを書いて、どれくらいNGがあるんだろうってダメ元でお渡ししたんですけど、松平さんは何もおっしゃらなくて。しょうがないから、こっちから「NGありますか?」って聞いたくらいで(笑)。でも、「いや、全部大丈夫です」っておっしゃってくださって。本当に懐が深いんです。多少ふざけたことをやっても、全然揺るがない。だから、全然かっこ悪くならないんですよね。本当に「できない」とは一回も言わなかったですから。
――松平さんが「これはちょっと…」と思ったところはなかったんですか?
松平 なかったですね。今思えば、あの漏らしたシーンはもっとオーバーにすればよかったなって。ちょっとわかりづらかったかなと反省してます。
細川 (笑)。そういう感じなんですもん! こっちはちょっとだけ、かっこよさをキープした方がいいかなと思ってたんですけど、松平さんの方がもっと行ったほうがいいって言ってくださるんです。でも、確かに、松平さんはカッコ悪いことをやっても安くならないっていうか。やっぱり品があるんですよね。
松平健×細川徹が明治座公演で再タッグ!
――そんな『小河ドラマ』を経て、2023年3月には明治座創業150周年記念前月祭『大逆転!大江戸桜誉賑』で再びタッグを組まれるそうですね。
松平 明治座さんが『小河ドラマ』を見てくださって、面白いっていうことで細川さんに作・演出をオファーされて。出演者も初めて共演する方ばかりですが、面白い皆さんが揃って、どんな舞台になるのか楽しみです。
細川 ふざけた時代劇にはなりそうですよね。
松平 ドタバタにならないで、ハチャメチャになればいいですよね。
細川 松平さんも僕が作・演出をやるっていうことでOKしていただいているんで、じゃあ、『小河ドラマ』みたいになってもいいんだと思って。いつもの明治座公演では絶対に観られないものになると思います。それで大丈夫ですよね? 今日はそれを確認しておこうと思ってて。
松平 大丈夫です。また新たな僕の一面が出るかもしれない(笑)。
――松平さんの公演をいつもご覧になってるお客さんは驚かれるんじゃないでしょうか?
松平 どうなんでしょうね。最近はよく変わったことをやっているんで、またそれも楽しんでいただけるんじゃないですかね。
細川 チャンバラのかっこいいシーンも絶対入るので、かっこいい松平さんと面白い松平さんのギャップを楽しんでもらえると思います。
松平 うん。そうなれば、面白いね。
細川 そういう感じですもん(笑)。「どこまでやらされるの?」みたいなことは全然おっしゃらないんです。
松平 そうですね。細川さんの作品の面白さを信頼しているので、できる限り、その意図に添いたいなって思っています。
――最後に、来年の舞台について意気込みをお願いします。
松平 どこまで新たな自分を見せられるのか、すごく楽しみですね。それでお客さんに喜んでいただけたら、それが一番じゃないかと思っています。
明治座創業150周年記念前月祭
『大逆転!大江戸桜誉賑(だいぎゃくてん おおえどかーにばる)』
2023年3月4日(土)〜3月28日(火)明治座
脚本・演出:細川 徹
出演:松平健 コロッケ 久本雅美 檀れい ほか
お江戸はサンバのリズムで大騒ぎ!? 物語の舞台は江戸。殿様と傘職人という立場の違う二組の夫婦が入れ替わって巻き起こるドタバタ大騒動を軸に、笑いあり!涙あり!なんでもあり!なエンターテインメント時代劇。
詳細はこちらへ。
松平健(まつだいら・けん)
1953年11月28日生まれ。愛知県出身。1975年デビュー。1978年より『暴れん坊将軍』で主役・徳川吉宗を演じ、時代劇スターとしての地位を不動のものにする。また、『用心棒』『王様と私』など、時代劇からミュージカルまで様々なジャンルの舞台公演を行う。2004年には『マツケンサンバⅡ』のド派手なパフォーマンスで老若男女を問わずに幅広いファンから注目を集め、その年の『NHK紅白歌合戦』にも出演を果たした。2022年には、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、テレビ朝日『ザ・トラベルナース』などのドラマ出演や、東海テレビの情報番組『スイッチ!』の街歩きコーナー「マツケンさんぽ」にも出演するなど、精力的に活動中。
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