「つけびの村」の著者で「ロイヤルホストを守る市民の会」代表でもあるフリーライターの高橋ユキさんがお届けする、ブロス的社会派連載!
事件や報道を追う中で引っかかった“違和感”を、ロイホでひと息つきながら軽妙に綴ります。
今回は、高橋さんが構成員YMOメンバーとして不定期開催しては世をザワつかせている謎のイベント「非週刊女性ポパイ」について、自らさぐってくれました!
(マイブームメニューの紹介つき、みんなもロイヤルホストを守りに行こうね!)
そして、新刊「逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白」をもうひとりのYMOメンバー・能町みね子さんがまじめに書いた書評記事、絶賛公開中! こっちも読んでね!
編集/西村依莉
- 【最終回】ロイヤルホストから違和感を込めて…21/6月号・高橋ユキ連載「最後の違和感、そっくりさん探し」
- ロイヤルホストから違和感を込めて…20/5月号・高橋ユキ連載「なぜ日本人は占いという名の偏見が好きなのか問題」
- ロイヤルホストから違和感をこめて…19/4月号・高橋ユキ連載「公務員の広報活動の遺物! 眠れるゆるキャラを叩き起こす!」
6月に新書を刊行した。日本国内、古今東西の逃亡犯についてまとめたものだ。本が売れない現代において、刊行イベントを開催することは、著者にできる数少ないパブリシティ活動のひとつである。わたしも例に漏れず、刊行後から、いくつかイベントをやらせていただいた。
そんな機会に、会場に来てくださったお客さんから声をかけていただいたり、また配信でご覧いただいた方から、メールをいただくことがある。すると、ほぼ8割の確率で言われるのが「女性ポパイいつも見ています!」という嬉しい言葉だ。
女性ポパイ……正式名称『非週刊女性ポパイ』。今回はこの謎ワードについて、まとめブログ風に紹介したい。
まとめブログにはだいたい目次があるのでそれに倣ってみる。
〜〜〜ここから
気になる点について調査してみました。
・非週刊女性ポパイって何?概要は!?
現在、Googleで「非週刊女性ポパイ」と検索しても公式サイトらしきものはヒットしませんでした。
ほかで見つかった過去の記事によれば「非週刊女性ポパイ」はロフト系列のイベントスペースで不定期に配信+会場で開催されているトークイベントだそうです。
ちょうどいま、最新号の予定が掲載されていました。
非週刊女性ポパイ 第7号
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/223093
8月28日の11時半から、配信形式と、会場観覧のハイブリッドスタイルで開催予定とありました。
〈最近の殺人事件、裁判事情、ベタ記事事件までを掘り返して好評と戦慄を呼びつづけてきた『非週刊女性ポパイ』。
今回もお互いの「研究発表」を設け、2割マジメに、8割週刊誌的なゲスさで語ります〉
現在まで、年末特大号を合わせて、7回開催されているようです。
・構成員の名前や素性は?
先ほどのリンク先に、出演者の名前を見つけました。
〈【出演】YM0(高橋ユキ+能町みね子)〉
傍聴人の高橋さんと、事件マニアでもある能町みね子さんによるユニットだそうです。おふたりが、気になる事件について発表する場のようです。
・非週刊女性ポパイのSNSアカウントある!?
残念ながら「非週刊女性ポパイ」のInstagram、TwitterなどSNSのアカウントは発見することができませんでした!
ところがYouTubeチャンネルを発見しました。
非週刊女性ポパイ
https://www.youtube.com/channel/UCPBJm3iOKhTRQ4-4fVvEFzg
チャンネル登録者数は8月23日時点で136人だそうです。少ないですね!
・非週刊女性ポパイはどうやって見れる?〈無料視聴できる?〉
不定期開催のイベントなので、すぐに見れるわけではないようです。定期的にチェックすることが必要そうですね。また時々、バックナンバーを配信形式で視聴できるようです。ちょうど今、第4号+第5号、第6号が再販売されていました。
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/223093
無料視聴できる場所を探しましたが、残念ながら、見つかりませんでした!
さらなる続報で詳細が判明するかと思います。その折には、情報を更新していく予定です。
〜〜〜ここまで
まとめブログは、検索している時にヒットすると、かなり頭にくるが、ついつい真似したくなる中毒性がある。
さておき「非週刊女性ポパイ」通称、女性ポパイは、先日拙著についても書いてくださった能町みね子さんとふたりで、不定期に開催しているトークイベントである。初期でこそ、出版ゴシップにも触れたことがあったが、現在ではほぼ、事件や過去にワイドショーを騒がせた事象について深掘りするスタイルが定着した。
女性ポパイで自分が話すテーマのひとつは、仕事で取材したうえで敢えて落としたエピソードだ。
私は普段は主に裁判を傍聴し、また時に事件の取材をするなどして記事を書いているが、ノンフィクションは100取材して10を書くと言われることがあるように、アウトプットは氷山の一角でしかない。ウェブ媒体に裁判記事を書くにしても、事件の大枠から外れるような細かなエピソードや、盛り込むと分量が増えてしまって読者に不親切になるであろう箇所は、ごっそりと削ぎ落とす。読み手は、この削ぎ落とした部分を知ることができないし、そこに削ぎ落とされたエピソードがあることも、分からない。
刑事裁判は多くが複数期日にわたって行われるため、本来は冗長なやりとりがある。または、話し言葉では理解できるが文章にすると誤解が生じるような微妙な言い回しが用いられることもある。あるいは、被告人の喋りにクセがあったり、頻繁に用いるワードがあることもある。長く法廷にいてようやく掴める空気感は確かにある。しかしそれは、記事にする時に、不要な部分であったりもする。読み手は私の主観を長々と読みたいわけではないし、長い文章を読みたい読者もウェブにはそんなに多くないからだ。
ただ、そうした部分こそ、私は傍聴していて知りたいところであり、もしかしたら、私以外にも知りたいと思う方がいるのではないか、と考え、女性ポパイは時折、こうした話をしている。
もうひとつ話すテーマは、仕事と全く関係ない、ある事象についてのネット掘り起こしの結果である。
ついつい他人のSNSなど、インターネットの旅に夢中になってしまう性分のため、夜中にふと「あれってどうなったんだっけ」と思った事案について、ネットを彷徨うことがある。ある結果にたどり着いた達成感から眠れないまま朝を迎えたことも一度や二度ではない。ところがこうした話は、ウェブの記事にも、紙の記事にもできないような小さなことであるため、起き抜けで寝ぼけ眼の家族に報告することで、いったん終わらせることしかできなかった。
そんな「誰にも話せなくて終わっていた『あれどうなった』」なんかも話したりする。
女性ポパイは『令和のウイークエンダー』と言われることがあり、私はリアルタイム世代ではないためピンとこないのだが、たぶん、世代を問わず、ひとの振る舞い、ひとの行動の不可思議さに関心のある方は、興味を持っていただけるのではないかと思う。よければぜひぜひ、ご覧ください。
お相手の能町みね子さんの発表は、ひとつの事象のdigりっぷりが、常人のレベルを遥かに超えている。もう終わりだろうと思っていたところに、いくつも追加情報が飛び出し、トークの導入からは想像もつかない着地点へと視聴者を誘う。私は隣で聞いていて、途中からいつも、単なる視聴者状態となってしまう。
そんな能町さんも私も、次回こそガッカリされてしまうかもしれない……と、毎回、開催直前には不安に襲われる。テストの日に「勉強全然してない!」と言いながら勉強してきている状態の学生さん状態だ。あれはたぶん、自分が納得できるぐらいに準備ができていない、という意味合いだったのだろうと今は分かる。納得できるレベルの準備ができる日など、永遠に来ないのかもしれない。調べることには終わりがないと、このイベントを続けながら薄々感じている。
<プロフィール>
高橋ユキ
1974年福岡県生まれ。裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成しブログで裁判ルポを発表したのを機にライターとなる。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『暴走老人・犯罪劇場』、共著に『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』など。最新刊『つけびの村』がノンフィクションとしては異例のヒット作に。新刊『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』が好評発売中! また、大好きなロイヤルホストを食べ支えるべく「#ロイヤルホストを守る市民の会」を発起。SNSを中心にその活動はじわじわと広まっている。
Twitter:@tk84yuki
ニュースレター:https://tk84yuki.theletter.jp/
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