押井さんがよく見るという食系YouTubeチャンネル『今日ヤバイ奴に会った』の話題を。インドの屋台の料理の様子を流しているだけかと思いきや、じっくり見入っている押井さんはそのチャンネルの楽しみ方や投稿者の思いなどを考察。多くの人がこのチャンネルを楽しむ、その理由とは。
取材・構成/渡辺麻紀
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- 押井守のサブぃカルチャー70年「YouTubeの巻 その32」 【2023年6月号 押井守 連載第67回】
<新刊情報>
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当連載がついに書籍化しました。昭和の白黒テレビから令和のYouTubeまで、押井守がエンタメ人生70年を語りつくす1冊。カバーイラスト・挿絵は『A KITE』(1998年)などを手掛けた梅津泰臣さんが担当し、巻末では押井×梅津対談も収録。ぜひお手に取ってみてください。
押井守/著
『押井守のサブぃカルチャー70年』
発売中
発行:東京ニュース通信社
発売:講談社
カバーイラスト・挿絵:梅津泰臣
文・構成:渡辺麻紀
ただ映しているだけじゃなくて、インド惚れした彼の気持ちが込められているチャンネル『今日ヤバイ奴に会った』
――さてさて押井さん、食べ物系のチャンネルを追いかけています。今回はどのチャンネルにしましょう?
やっぱりインドの屋台じゃない?
――よく押井さんがおっしゃっているチャンネルですね……『今日ヤバイ奴に会った』というタイトル。インドの屋台がヤバいってことなんですか? それともそこで料理を作っている人がヤバいとか?
由来はわかりません。この人の最大の特徴は1本が短いところ。大体3分くらい。長くても10分前後かな。インドの屋台は結局、料理がその長さで完成するから。作る過程を撮影し、出来上がった料理を受け取って「100ルピー(150円くらい)」というテロップが流れる。音声は基本ナシでテロップだけ。そのテロップも「マサラ、どばどば」とか「さわさわ」とか。こちらも最小限。
――料理を食べて食レポするんですか?
食べるところは見せない。短い感想がテロップで流れるだけ。そういう意味では、これまで紹介した食べ物系とは違うんだよ。大食いでもないし、食べるところもない。顔も出してなかったけど、日本に帰ってからは出すようになったよね。
おそらく、商社か代理店の駐在員で、コロナになって帰国したんじゃないの? 最近は本も出したらしいから。
――このチャンネルもついつい見ちゃいますね。インドのおっさんたちの作り方が豪快だし、料理の常識を平気で裏切っていて楽しい(笑)。
でしょ? おそらくこの人、インドが大好きになっちゃったんだよ。そういうのを現地惚れと言って、私の知人にもポーランドやオーストラリアに行ったまま住み着いちゃった人がいる。
なんか合うんじゃない? 日本にいるより生きやすくて、日本ってやっぱり息苦しい国だと気づかされるんだよ、たぶん。
私も若い頃はインドに行きたくて、貯金してたから。もう絶対に行くと決めてましたよ。丁度、タツノコにいた頃かな? 100万円貯めたんだけど、諸般の理由からそのお金を使う必要が生まれ、結局はインドを諦めてしまった。
――どうしてインドだったんですか? スピリチュアル系とか、サダジット・レイのインド映画を観てとか?
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