プロレスファンの間で早くも話題沸騰中! 講談師・神田伯山&実況アナウンサー・清野茂樹がプロレスを語りつくすCSテレ朝チャンネル2『神田伯山の“真”日本プロレス シーズン2』の日が今月もやってまいりました! 日本プロレス時代を知るザ・グレート・カブキによる貴重な証言も飛び出した第2回。新日本プロレスの歴史をたどる「真の日本プロレス史」は、1990年代後半の「ドームプロレス確立期」を取り上げた。今回の“延長戦”では、その中でも1995年の北朝鮮遠征(注1)とUWFインターナショナルとの対抗戦(注2)に焦点を絞って、番組収録直後にインタビュー! 新日本の歴史の中で特筆すべき2大興行が同じ年に、それもわずか半年の間に開催されたという奇跡。「1995年の新日本プロレス」を伯山&清野により深く語ってもらいました!
取材・文/K.Shimbo(1995年前後の好きな試合は、阪神・淡路大震災の2日後に大阪で行われた全日本プロレス、川田利明VS小橋健太の3冠戦。60分フルタイムドロー)
撮影/ツダヒロキ(同じく、同じく、10.9東京ドームの佐々木健介VS垣原賢人)
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注1・北朝鮮遠征 1995年4月28、29日、猪木の師・力道山の故郷である北朝鮮で開催された「平和のための平壌国際体育・文化祝典」。観客動員は各日19万人、計38万人。猪木は2日目のメインイベントでリック・フレアーと歴史に残る名勝負を繰り広げた。この試合の立会人としてモハメド・アリも訪朝した。新日本の佐々木健介と全日本女子プロレスの北斗晶は、この遠征で出会い、後に結婚。
注2・UWFインターナショナルとの対抗戦 1995年10月9日、東京ドームで新日本と高田延彦率いるUWFインターナショナルとの対抗戦「激突!!新日本プロレス対UWFインターナショナル全面戦争」が行われ、6万7000人(超満員札止め=主催者発表)のプロレスファンが熱狂した。メインイベントでは武藤敬司と高田がIWGPヘビー級選手権試合で激突。ドラゴンスクリューからの足4の字固めで武藤が勝利した。また、長州力は安生洋二を相手に4分45秒で完勝。今でもモノマネされる「キレちゃいないよ」発言が飛び出したのは、この試合後である。ちなみに、筆者も東京ドームで観戦したが、帰りの電車内でパンフレットを読んでいたところ、見知らぬサラリーマンに「試合結果を教えてください」と声をかけられた。インターネット普及前の良い思い出である。
<プロフィール>
神田伯山(かんだ・はくざん)●1983年東京都生まれ。日本講談協会、落語芸術協会所属。2007年、三代目神田松鯉に入門し、「松之丞」に。2012年、二ツ目昇進。2020年、真打昇進と同時に六代目神田伯山を襲名。講談師としてもさることながら、講談の魅力を多方に伝えるべく、SNSでの発信やメディア出演など様々な活動を行っている。現在は『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)などに出演している。
清野茂樹(きよの・しげき)●1973年兵庫県生まれ。広島エフエム放送(現・HFM)でアナウンサーとして活躍。『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)で数々の名実況・名言を生み出した古舘伊知郎アナウンサー(当時)に憧れ、宿願だったプロレス実況の夢を実現すべく、2006年フリーに。2015年には新日本プロレス、WWE、UFCの実況を行い、前人未到のプロレス格闘技世界3大メジャー団体を実況した唯一のアナウンサーになる。『真夜中のハーリー&レイス』(ラジオ日本)のパーソナリティーとしても活躍。
『神田伯山の“真”日本プロレス』
CSテレ朝チャンネル2 毎月第3土曜午後10・00~(6月回は6/18土曜午後10・00~)
出演 神田伯山 清野茂樹(実況アナウンサー)
“最もチケットの取れない講談師”の神田伯山と、プロレスに魅せられた実況アナウンサーの清野茂樹が、テレビ朝日に残された貴重な映像を観ながら、プロレスの歴史をマニアックに語り尽くす。そのほか、当事者を招いて真相を探る「真のプロレス人に訊け!」や、現役プロレスラーの魅力を深掘りする「最“真”日本プロレス」といったコーナーも。
番組HP:https://www.tv-asahi.co.jp/ch/recommend/hakuzan/テレ朝チャンネル至極のプロレスラインアップ
番組HP:https://www.tv-asahi.co.jp/ch/wrestling/
滝沢秀明さんを本当に蹴るんじゃないかという狂気を出せる人って、猪木さんしかいない(伯山)
――1995年は北朝鮮遠征とUWFインターナショナルとの対抗戦という重要なトピックスがつまった濃厚な1年でした。
伯山 アントニオ猪木さんとお話した時、北朝鮮でのリック・フレアー戦について「俺も捨てたものではない」と振り返っていたんです。師匠の母国で19万人もの観客を集めて、初めてプロレスを観る北朝鮮の人たちを手のひらの上に乗せるという、猪木さんにとって集大成のような興行だったんじゃないかと。だから、2億円とも言われる借金ができても、結果的にやった意味はあったと思います。北斗晶さんと佐々木健介さんが結婚するきっかけになったという話もありますし(笑)。
清野 うわさで聞いたんですけど、あれ以降、猪木さんには北朝鮮からすごいマツタケが送られてくるらしいですよ(笑)。フレアー戦は猪木さんの現役晩年の傑作だと思います。「猪木ファイナル・カウントダウン」(注3)以降、フレアー戦とベイダー戦は珠玉ですよね。
伯山 これは引退後ですけど、ジャニーズの滝沢秀明さんとの試合(注4)も良かったですよね。滝沢さんが蹴られそうになる時、ファンの女の子が悲鳴をあげるんです。本当に蹴るんじゃないかという狂気を出せる人って、猪木さんしかいないですよ。芸能人とのエキシビジョンマッチだから、おちゃらけちゃいますよね、どこかで。だけど、あの眼がやっぱりすごいんだよなぁ。
清野 “ホウキ相手でも…”(注5)っていうことですね。
伯山 まさにそうでしたね。すっかり引き込まれました。
清野 僕は試合のビデオを買っちゃいましたから(笑)。
注3・猪木ファイナル・カウントダウン 1994年のグレート・ムタ戦をはじめ、1998年の引退まで、ウィリエム・ルスカ、ウィリー・ウィリアムスらと対戦。なかでも、1996年のビッグバン・ベイダー戦は、ベイダーがとんでもない角度のジャーマンスープレックスで猪木を投げるなど、引退前とは思えない激闘となった。
注4・滝沢秀明さんとの試合 2000年3月、「メモリアル力道山」で猪木と滝沢がエキシビジョンマッチで対戦。和やかな雰囲気かと思いきや、いきなり滝沢を張り飛ばすなど、猪木は殺気に満ちた攻撃を展開。会場内は猪木コールと滝沢ファンの女性の悲鳴が飛び交う異様な雰囲気に包まれた。試合の模様を収めたVHS、DVDは中古で手に入るようなので、是非とも観て、猪木の狂気に触れていただきたい一戦。
注5・“ホウキ相手でも…” 「猪木ならばホウキと戦っても、観客を沸かせることができるだろう」と、アメリカで活躍した日本人レスラー、ヒロ・マツダは猪木のプロレスセンスを評した。
今の新日本があるのも、大変だった時期があるからこそ(清野)
――UWFインターとの対抗戦を、清野さんは東京ドームで生観戦されたんですよね。思い出を教えてください。
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