ふとした瞬間に孤独死への恐怖が頭をよぎる49歳男性からのお悩みです【2021年12月光浦靖子連載「傷なめクラブ」】

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<今月のお悩み>
年齢を重ねるにつれて、人と関わるのが億劫になってきました。普段は1人が楽でいいやと思ってますが、夜中に唐突に怖くなります。不健康的な生活なのでそんなに長生きしないとは思ってるんですが、うっかり長き生きしまった場合、腐乱死体で発見される自分を思うと、家族のいない自分は何か準備しておいた方がいいんだろうかと考えてしまいます。(二郎・49歳・会社員・男)

<お答え>

何をすべきって、最低でも腐乱の前に発見されるようにしておくことですかね

私もこのまま1人の生活が続くと思います。が、腐乱死体で発見されるのは嫌だなぁ。なんか、死んだ後に迷惑をかけるのがね。死んだ後だからフォローできないでしょ。菓子折り持って「その節は腐乱しちゃってすいませんね」なんて。掃除が大変ですよ。残り香とかキツいですよ。何をすべきって、最低でも腐乱の前に発見されるようにしておくことですかね。
あと、物はできるだけ少なく、持たないようにしておくことですね。持ちたいなら「これ、俺がもらう!!」と、誰もが欲しがるすげぇいいやつだけです。

 

夏、留学するにあたっての荷物の整理を、清水ミチコさんと、清水さんのマネージャーさんと、たんぽぽの白鳥さんと、森三中の黒沢さんが手伝ってくれました。平均的国民よりは確実にセンスのいいこの私が厳選した数々の物を「あ、これ捨てていいよね」と彼らは捨てようとするんですね。びっくらこきました。自分にとっては宝でも人から見たらゴミに見えるんですねぇ。
「捨てちゃダメ!これには思い出があるの。私が22歳の時・・・」ゴミ袋から出しては思い出を語り、ゴミ袋から出しては思い出を語り、をしていたら、彼らは私に断りを入れずにゴミ袋に物を入れるようになりました。そして私が気付く前に袋の口を縛る。ただ、黒沢だけは何も入れませんでした。ああ、だから黒沢の家はかつてゴミ屋敷だったのか、と気づくとともに、物を捨てられる人が結婚してて、物を捨てられない人が結婚してない、という事実にも気づきました。

 

現在、私の住んでいるカナダ、特にバンクーバーは、おしゃれな人がいません。みんなヨガウェアで街を歩いています。これは大袈裟な表現ではなく真実です。そんなバンクーバーで私は、「郷に入っては郷に従え」じゃなくて、「郷に入ったら自然と郷に従っちゃうよね〜。結構自分って無いよね〜」で、パジャマと明確な境目のないスウェットで街を歩く人間になりました。東京で、あんなに毎朝「なに着ていこう?」と迷っていたのが嘘のようです。服もおんなじ物をずーっと着ています。それがなんだ?というより、それがかっこいいとすら思っています。
ホームステイなので、部屋もいじることはできません。自分好みの物は何一つない部屋ですが、それがどうした? なんですね。全然、快適なんです。

 

私の場合、留学のおかげで物を持たなくなりました。初めは怖かったので、東京の倉庫に半分に減らした家財道具などを預けていたのですが、それも全て処分することにしました。この歳になって、何も持たない人になりました。大切に集め続けた本も全て手放しました。

 

あなたも1人で生きてゆくなら、荷物の整理をして、持たない人になりなさい。それが無理なら、留学しなさい。強制的に荷物が処分できるわよ。

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