「8、9割はわからないけど10回聴きました、みたいに言われます(笑)」TBS Podcast「Y2K新書」 柚木麻子、竹中夏海、ゆっきゅん インタビュー 02

2023年3月31日にTBS Podcastでスタートした「Y2K新書」。小説家の柚木麻子(1981年生まれ)、振付師の竹中夏海(1984年生まれ)、DIVAのゆっきゅん(イマジナリー1989年生まれ【リアルでは1995年生まれ】)の、「Y2K(2000年代)のカルチャーが大好き」という一点で繋がったゆかいな3人が、Y2Kへの愛を語る番組。

前回は、3人の出会いや、00年代のカルチャーを昨日のことのように覚えてフレッシュに話せる柚木さんのすごさ、95年生まれなのに完璧に会話についてけるゆっきゅん、そしてさりげなく番組を回している竹中さんという、3人のスペシャルな関係性が垣間見える内容に。

今回は、その続き。まもなく終了する1クールを振り返ったり、さりげなく名言が飛び出しているテキスト版「Y2K新書」、お楽しみください。

文/南波一海 撮影/米玉利朋子

 

01はこちらから!

「アウェーの場に出かけていって出会った、普通に生きてたら会えなかったふたりです」TBS Podcast「Y2K新書」 柚木麻子、竹中夏海、ゆっきゅん インタビュー 01

 

おじさんを輝かせるためのレフ板に使われた日は、女子を輝かせるためにおたおたする溝端淳平を見るに限る

 

――みなさんが好きなものを好きだと堂々と言った結果、それが付加価値を生んだらどうなるんだろうとは思います。番組を聴いていると、その可能性もある気がしてくるんですよね。

 

柚木麻子 ええ? じゃあ何を紹介していく? やっぱりBeeTV?

 

竹中夏海 BeeTVがオシャレになったら大したもんだよ。

 

ゆっきゅん BeeTVはもう配信されてないから、DVD-BOXを買うことになるわけでしょ? マーケットプライスがどんどん上がっていくの?

 

柚木 そうだよ。『エセ肉食女の恋愛事情』が急に注目されるんだよ。そうしたらいいね。ゲストも呼ぼうよ、平岡祐太さんとかさ。
「今日のゲストはミスター男友達、平岡祐太さんです!」って。

 

竹中 ミスター男友達(笑)。

 

――こうやって固有名詞が次々と出てくるのも最高ですよね。何を言ってるかわからない時も多々あるけど、ただただ楽しそうに喋ってるのがいい、という。

 

竹中 8、9割わからないけど10回聴きました、みたいに言われます(笑)。

 

――きっと検索しながら聴いたりするのも楽しいでしょうね。

 

柚木 そうであってほしいですよね。検索して何かに辿り着いてほしいです。

 

ゆっきゅん もはやその作品じゃなくてもいいしね。調べてたら、「あれ? なんかヤバそうなのある」って逸れていってほしい。

 

竹中 ネトフリとかでも目当てのものを検索すると、それはないんですけどこれがおススメです、って出てきたりするしね。

 

柚木 ただ、今は何かをちょっと触ると、おすすめで100点の解答をいっぱい出されちゃうじゃないですか。その中にジェンダー的にアップデートされたいい作品とかもいっぱいあるけど、ネトフリだけでもあまりにも世界に作品が溢れすぎていて、『エブエブ』みたいに「すべてに価値があるけどすべてに価値がない」という虚無感に襲われる時があって。
そんな時、本当にダメだと思うんですけど、『美味しんぼ』ばっかり見ちゃうんですよね。そういうことってありません? 見るべきものがありすぎると選べなくなっちゃうことがある。

 

――よくわかりますが、柚木さんでもそういう時があると知ってホッとしました(笑)。それから、こうしてネアカの肯定をしている番組もあるようでない感じがします。

 

竹中 ああ、たしかに。ゼロ年代が明るかったという話で言うと、テン年代はその否定の時代というか。もちろんそれで救われた人もいるし、どこにも居場所がなかった子たちの救いになるコンテンツや人が現れたのはいいことだと思っているんですけどね。

 

柚木 それは当時のマスメディアの上に立つ権力者たちの狙いだったとも思うんですよ。群れで騒いだり、同世代と頻繁に情報交換している若い子をよくない存在、孤立化している人を素敵と植え付けることで、自分にもつけ入る隙がある、大人しそうないつも1人の若い子どんどん増えてほしい、みたいな。昔、年長者に言われたもん。「柚木さんって俗っぽいんだね」って。「それが何か?」って思いましたもん。聖なるやれやれおじさんがよ!

 

ゆっきゅん 聖なるやれやれおじさん(笑)!

 

柚木 なんだその「変わった人が出てきて振り回される僕」みたいな態度は!

 

ゆっきゅん やれやれおじさんって、(『涼宮ハルヒの憂鬱』の)キョンですよね。

 

柚木 キョンはいいのよ。ハルヒがキョンのことを気に入ってるんだから、私はキョンを悪く言わないよ。
とにかく、なぜか主役になりたい人に、唐突に現れたすごく変わった女に振り回されちゃった! やれやれ! みたいなフォーマットを求められるんですよ! 私は唐突に窓を叩き割って入ってきたんじゃなくて、呼ばれたから時間通りに現れただけで、めんくらうんですよ。

 

ゆっきゅん アイドルオタクでもあるもん。やりたい放題やってる推しを見て、「うちの子がすみません」みたいに言ったりとかね。

 

柚木 そういうのを見ちゃうと、「よし。今日は主役を輝かせるために溝端淳平がおたおたしているドラマを見よう」ってなりますよ。
長澤まさみが天才的な行動をすると「何やってるんですか~!」って言ったり(『都市伝説の女』)、米倉涼子が一刀両断すると「そんなこと教頭にバレたら大変ですよ~!」(『35歳の高校生』)、綾瀬はるかがサイコパスになると「先輩、何があったんですか~!」(『天国と地獄』)って言っているやつ。
おじさんを輝かせるためのレフ板に使われた日は、女子を輝かせるためにおたおたする溝端淳平を見るに限る。

 

竹中 おじさんを輝かせるためのレフ板に使われる(笑)! わかるわ~。

 

柚木 仲里依紗が普段はメイドだけどじつは天才の棋士で……なんだっけな。

 

――『ハチワンダイバー』ですね。

 

柚木 ユッキーナも出てた『ハチワンダイバー』! あれで最っ高に魅力的な仲里依紗を引き立たせるために「こんな可愛い子がこんなに強いなんて、ヒィィ!」みたいになっている溝端を見ると、ああ、ホッとする~ってなります。そこでプラマイのバランスを取ってました。魅力的な女性がいて、でも恋にはならないというのがすごい好きなんですよね。
溝端淳平さんご本人にお会いした時にも力説したんですが、でも、溝端さん自身は当時、大河(『どうする家康』の今川氏真役)で活躍されたように、マスキュリズムの物語でも存在を示すようなタイプの名優を目指していらっしゃるから、ああいうラブコメはそこまでなのかな……というのが伝わってきたんだけど、私はそれがマシュー・マコノヒーみたいだなと思って。
まこっちゃんは『10日間で男を上手にフル方法』とか『恋するレシピ ~理想のオトコの作り方~』は気に入ってないんだよ。

 

――マシュー・マコノヒーをまこっちゃんって言うんですね(笑)。

 

柚木 まこっちゃんと溝端さんは同じだから。それで「あなた、マシュー・マコノヒーですよ」ってお伝えしたら、好意的に受け止めてくださって。

 

竹中 喜んでたんだ!

 

柚木 ご本人は『ダラス・バイヤーズクラブ』あたりを思い浮かべていたかもしれません。でも私が好きなのは『10日間で男を上手にフル方法』の方のまこっちゃんなんだけどね。

私たちのことを『パワーパフガールズ』に例えてくれてる人がいたんだよね

 

――最高(笑)。このインタビューで、番組一本分の収録をしているみたいです。

 

柚木 ああ、ごめんなさい! ベラベラ喋っちゃって。

 

竹中 今日は「おじさんを輝かせるためのレフ板に使われる日」っていうパワーワードが出ましたから。でも、私たちはレフ板にされないものが好きなのかもしれないね。

 

――番組では話が次々と脱線していくのを誰もまるで止めようともしないのも新鮮で。

 

ゆっきゅん それは全員のせいです。

 

柚木 『さよなら、小津先生』クイズ(※4月28日配信「出演してみたかった、あの頃のテレビ番組の話。」)、やってないよ!

 

竹中 やるって言ってもう4週やってないよ。

 

柚木 次絶対やろう。

 

――『エブエブ』もそうでしたよね。宇宙の危機が近づいているのに、目の前の確定申告が大事だったりして。

 

柚木 それってハロプロっぽくないですか?

 

竹中 ハロプロっぽい(笑)。

 

ゆっきゅん 私の作詞もまったく一緒。話が戻ってくるとしたらお便りを読む時くらいだもんね。

 

竹中 私たちのことを『パワーパフガールズ』に例えてくれてる人がいたんだよね。

 

柚木 子供みたいなんだよ。それをエモく言うと、少女性を失ってないってことよ。

 

竹中・ゆっきゅん あはははは!

 

ゆっきゅん 柚木さんの喋りは誰が聴いてもおもしろいのよ。居心地がいいと感じる人と、そこに入りはしないけど楽しいという人がいるんじゃないですか?

 

柚木 それはいいことですね。誰も聴いてないと思ってペラペラしゃべってたら、思いのほか色んな人が聴いていた。
やっぱり2000年代のさ、『ハービー/機械じかけのキューピッド』とか、リンジー・ローハンみたいな時の人を使って全力で作られた超名作を語る場所がないっていうのが問題なんだよね。『ハービー』はリスナーさんも指摘されたように日本のメディアはまったく取り上げてくれなかったですよね?
私の大好きなリンジー・ローハンがお母さんと入れ替わっちゃう『フォーチュン・クッキー』という名作があるんだけど、そのお母さんが今年のアカデミー賞の助演女優賞を獲ってたよね。『エブエブ』の税務署のおばさん(ジェミー・リー・カーティス)だよ。お堅いママとロック少女が入れ替わって、お母さんが「アタシ!?」って言って、少女が「こんなことおかしいざます」みたいになった一時間半を楽しむ最高の映画なの。

 

ゆっきゅん 私はその予告を見た後に『めがね』を見たから。

 

柚木 そうなんだ!

 

竹中 日本も浅野温子と野村佑香でやってたよね?(『チェンジ!』)

 

柚木 やってたやってた、それみたいなやつよ。娘と入れ替わった芝居ができる人は名優と思ってたのよ。だから『エブエブ』の税務署の人も完全にそれで、普段はお堅いのに、じつは異世界では色んな面がある、みたいなのは『フォーチュン・クッキー』と同じなのに、でもその映画の話をする著名人は観測範囲では山崎まどかさんくらいで。

 

ゆっきゅん 私は『笑う大天使』の話をしたくなったよ。『笑う大天使』の最後の展開をちゃんとやったらこれになるって。

 

柚木 そうだよね。だから『キューティーハニー』とか『笑う大天使』とか『のんちゃんのり弁』が果たせなかった夢が『エブエブ』で果たされてるんだよ。

 

日本の2000年代のカルチャーを牽引した女優たちを語りたい、てかキャスティングしたい

 

ゆっきゅん 『のんちゃんのり弁』は普通にいいもん。小西真奈美の代表作。

 

竹中 代表作だね。

 

柚木 小西真奈美の話は一回ちゃんとしておかなきゃいけないな。

 

ゆっきゅん 歌もうたってるから。

 

柚木 なんでもできすぎちゃうタイプ。日本の2000年代のカルチャーを牽引した人たち……白石美帆とかね、そんな人っていっぱいいるじゃない。

 

ゆっきゅん そういうドラマ女優をちゃんと語れる人がいないんですよ。山口紗弥加とかね。

 

柚木 そういった人たちが今も第一線で活躍していることをちゃんと讃えないとダメですよ。

 

ゆっきゅん 映画は名作に出たら俳優としての功績が認められるんだけど、ドラマに出続けている人はそうでもなくて。山口紗弥加はほぼ休みのクールなしでずっと出ているというのに!

 

柚木 朝から晩までね。紗弥加が主演を初めてやったやつもちゃんと見てたよ。自分を陥れたやつらひとりひとりを復讐していくだけど(『ブラックスキャンダル』)、紗弥加のすごい演技でシェイクスピアみたいになっていくの。

 

ゆっきゅん 男性の名脇役が持て囃されて主演をやる、みたいな流れがあったじゃないですか。

 

竹中 松重豊さんとかね。

 

ゆっきゅん それの女の人版はないよね。

 

柚木 可愛いおじさんの文脈が出てくると私、いつも杉浦茂の『コロッケ五えんのすけ』みたいな顔になっちゃう。「柚木さん、ドラマ好きだから『バイプレイヤーズ』好きでしょ?」みたいに言われると、(杉浦茂の描くキャラのような目になって)「ふぅーん」ってなる。

 

――顔芸がヤバすぎます(笑)。

 

竹中 『バイプレイヤーズ』を愛でる女の人もすごく多いからね。でもきっと、女性のバイプレイヤーたちを集めた作品を愛でる男の人は少ないってことなんだよね。

 

ゆっきゅん ああ!

 

柚木 それは鋭い指摘だね。

 

竹中 『バイプレイヤーズ』は汲む力のある女の人が推すけど、山口紗弥加さんを推す男の人の需要が少ないと思われているから今のところ作られていないのかな。だから、私たちがやるしかないのよ。

 

ゆっきゅん キャスティングやろうよ。

 

柚木 私たちの力で女性の『バイプレイヤーズ』をやる。

 

竹中 さっきも「世界が変わる」って大ごとを言ってもらったけど、ポッドキャストの賞みたいなやつがあるんですよね? スタッフさんがおもしろがって「いけるかもしれないっすよ」みたいなことを言うんですよ。

 

ゆっきゅん 何の賞なのかも全然わかってないんですけど。

 

竹中 わかってないんだけど(笑)、万が一、私たちが賞をもらった場合の話をしていた時に、ゆっきゅんが「『シニアイヤー』の日本版のキャスティング権を正式に得られるのでは?」って言い出して。

 

――ポッドキャストの賞とNetflixは関係ないでしょう(笑)。

 

ゆっきゅん 沢尻エリカ主演でね。

 

竹中 完璧。私たちのなかで結論が出ました。

 

柚木 あとは副賞で『アフリカの夜』のDVD-BOX。

 

竹中 マシューのDVD-BOXとかも得られる前提で話してるから、本当にそうかもって思えてきた。

 

柚木 でも、おしゃべりってそういう力があるよね。

 

おしゃべりしてるだけなのになんか有意義みたいになってて、マジでここが世界の中心かもしれない

 

――無茶苦茶ですけど(笑)、たしかにそう思います。

 

竹中 その力を感じさせるポッドキャストではあるかも。

 

柚木 宇宙を変えられる力を持ってるかもしれない。女同士とか気の合う人同士のムダなおしゃべりをバカにする文化がマスメディアにあった時に、私、権力側は喋ってほしくないのかなと思ったの。会うからには有意義な話とか先に進む話じゃないと、みたいなのってさ、どうでもいい話を市井の人にしてほしくないのかもって。

 

竹中 そうじゃない? 都合が悪いんじゃないかな。

 

ゆっきゅん せめて恋愛の話とかね。

 

柚木 そうそう。要は市井の人を資本主義を肯定する装置としてみなしてる人は、どうでもいい話で時を止めたり、時を逆にかけのぼったり、違う人たち同士を繋いだりするのをやってほしくないのかなって。

 

竹中 性教育のイベントに出演した時にまったく同じことを聞いた。性のことを女性や子供たちに教えないようにするのは、困る男たちが出てくるからだと言っていて。結局、教えると考える力が身につくから、考えなくしてほしいんだ、って。『セックス・アンド・ザ・シティ』を見てると、彼氏が「やれやれ、勘弁してよ」みたいなことを言ったりすることがすごく多いのはなぜかと考えたら、女同士でおしゃべりをして性のことを明け透けに話すのを困る人がいっぱい出てくるからで。

 

柚木 そうだろうね。私の選書としてタレントムック本が雑誌に載ることで、メディアは一体何に困るのがって真剣に考えたんですよ(※5月19日配信「私たちがメジャーだと思っている作品が語られないワケ」)。
もしかしたら、みんながそういう本を家に持っていて、著名人たちが一斉に持ってくる可能性を感じ取ったんじゃないかって。違ったらごめんねなんですけど。

 

竹中 違うんじゃない?

 

柚木 ……(再び杉浦茂のキャラの顔に)。

 

竹中 あはは。性教育の話で言うと、男たちは性行為のなかでもかっこよくあるべき、リードすべきという考えが根付きすぎているから、女が主体的に性のことを話したり知識を持ったりすると、その関係値が逆転してしまう可能性を恐れる人たちがいるんですよね。まずは恐れる必要がないという話をすべきという話題になったんです。でも、さっきの柚木さんが言っていた説もあるかもしれない(笑)。

 

柚木 ごめんごめん。みんながともさかりえの話をしすぎるのを恐れているんだと思ったから。

 

――それは陰謀論かもしれないです(笑)。

 

柚木 『エブエブ』だって世界を握っていたわけですから。ここが世界かもしれないよ? BeeTVの話をすることが何かの暗号に聞こえちゃうかもしれない。

 

ゆっきゅん だってさ、ただおしゃべりしに来ただけなのになんか有意義みたいになっててやばいからさ、マジでここが世界の中心かもしれないよ。

 

竹中 そういえば、さっきの収録でゆっきゅんがすごい結論に辿り着いてたよね。

 

ゆっきゅん そうそう、「Y・2・K」は「ゆ・ず・き」なんですよ!

(Y2Kポーズ!)

 

柚木 え? 私が銀河系のすべてを握ってたってこと? 私が若くて、自由に動けて、とても元気だった頃に見たもののすべてに私が影響していたということ? 
私、高校生の頃、すべては『ブリジット・ジョーンズの日記』の一冊にあると思ったんですよ。リア・ディゾンの歌もそう。日本で起きたY2Kは『ブリジット・ジョーンズの日記』から始まったと踏んでいるんですよ。高校生の時に渋谷駅にあった本屋でヘレン・フィールディングを立ち読みしていたんです。ふふふ、おもしろいって。私があの本を立ち読みしなければ……。

 

竹中 Y2Kはなかったよ。

 

柚木 ヘレン・フィールディングと私の出会いがなければ、すべてがなかったってわけ? 私が買わずに立ち読みして、棚に戻したことで識者の誰かが手に取って、雑誌で紹介したら爆発的に火がついて、『ブリジット・ジョーンズの日記』が公開されたときに、映画の販促公開サイトにでていたブログで、小悪魔蝶々さんは有名になったんですよね。

 

――知らなかった……。

 

柚木 私があの本を棚に戻したことによって時空が変わっていったんだ。

 

竹中 もしかしたらディストピアだったのかもしれないね。あんな明るい2000年代は通らなかったのかもしれない。

 

柚木 2000年代はなかったし、うちらは出会ってなかった。作ってる方はきっとそこまで深く考えないで、「全部アメリカの真似しときゃ女子供は喜ぶでしょ。なんとかなるっしょ」って思ってたかもしれないけどそこからいろんなものが生まれてしまったということが、あの立ち読みに全部、全部!

 

竹中・ゆっきゅん はっはっはっは!

 

柚木 ぶつぶつぶつ……。

 

体力的な面でも、話題の面でも、2クール目、正直できるなって思ってます

 

――素晴らしい〆ですね(笑)。番組は一応1クールの予定とうかがっているのですが、きっと続くだろうと思っています。

 

竹中 TBSさんは懐が深いから、いくらでもやっていいですよという空気を出してくれているんですけど、開始当初は私たちはスタミナが持たないんじゃないかということで、とりあえずシーズン形式で、またパワーが溜まったらシーズン2をやろう、みたいに思っていたんです。

 

柚木 忙しくなったら毎週は無理だし、生放送なんてもっと無理だしね。

 

ゆっきゅん でも、このペースならできますけどね。

 

竹中 正直、できるな(笑)。思った以上に話すこといっぱいあるなって気づいたし。

 

――番組名通り、話した内容をまとめて新書として出すのはどうですか?

 

ゆっきゅん ぜひお願いします! 『Y2K新書』というタイトルがついたのって、企画会議の時に柚木さんがずっと新書のタイトルみたいなことを言い続けたからなんですよ。

 

柚木 「ラデュレはどうしてコスメブランドになったのか」とか。

 

ゆっきゅん 「山口紗弥加のアイシャドウはなぜ水色なのか」とか、ずっと言ってて。それって新書だねって。

 

竹中 それでこのタイトルになりました。かといって新書っぽい話をしているわけでもなく。でも、第8回はちょっと新書っぽい内容になったよね?

 

柚木 メディアの功罪の話だからね。

 

ゆっきゅん でも、いつも話が終わる前に逸れてるから、ちゃんと語り切ってることがあるかわからない(笑)。「あの話どうなったんですか?」ってやつがすでにたくさんあるし。

 

柚木 そうだ。もしイベントをやるとしたら、まずはみんなで『さよなら、小津先生』クイズをやらないといけないな!

 

「Y2K新書」podcast

Apple
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/y2k%E6%96%B0%E6%9B%B8/id1678964041

spotify
https://open.spotify.com/show/7CzmXMRCpfZJTju4yMHKTT?si=giMOmklRSSOCGjQZbTQKYg&nd=1

 

柚木麻子●2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』、新作「オール・ノット」などがある。

竹中夏海●2009年に振付師としてデビュー。その後、テレビ東京「ゴッドタン」の人気キャラクター”ヒム子“をはじめとする多くのアイドルから、様々なアーティスト、広告、番組にて振付を担当。コメンテーターとして番組出演、書籍も出版している。現在、"女性の身体も心も軽やかにしたい”という思いから「竹中夏海のココロオドル フェムケア日記」を連載中。最新著書「アイドル保健体育」(CDジャーナルムック)が発売中。演者の心と体をケアするアイドル専用ジム「i ウェルネス」を主宰。

ゆっきゅん●1995年、岡山県出身。青山学院大学文学研究科比較芸術学専攻修了。サントラ系アヴァンポップユニット「電影と少年CQ」のメンバー。J-POP歌姫の申し子として2021年にソロ活動「DIVA Project」を始動。ジャニーズWEST、でんぱ組.incへの作詞提供、映画批評の執筆など活動は多岐に渡る。松井寛プロデュースによる新曲『隕石でごめんなさい』が好評配信中。

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