【2023年7月号 爆笑問題 連載】『G7+1+ニャン』『ガーシーには似てないよ小沢』天下御免の向こう見ず

シン・爆笑問題「ぼくたちYouTubeを始めました!」【前編】

シン・爆笑問題「ぼくたちYouTubeを始めました!」【後編】

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※本連載はTV Bros.8月号離婚特集号掲載時のものです

<紙粘土・田中裕二>
ガーシーには似てないよ小沢

先日ドバイから帰国して逮捕されたガーシーだが、スピードワゴンの小沢がガーシーに間違えられて心外だったというニュースが話題に。「いや、全然似てないじゃん。オザはむしろガーシーに暴露されてた綾野剛の方が似てるし」って小沢の紙粘土を作ったのだが、「ごめん、オザ。ガーシーにちょっと似ちゃった」

 

<文・太田光>
G7+1+ニャン

 海の見えるその部屋には、七つの国のリーダーと、もう一つの国のリーダーが集まって会議をしていた。

 議長国のリーダーが言う。

「本日は皆さんを私のふるさとにこうしてお招きすることが出来て、本当に嬉しいです。そしてまた、今回は特別に、戦時下から勇敢なる指導者も参加していただいて、共同で話し合うことで、我々の結束を改めて強くすることになると思います」

 議長国のリーダーは若い勇敢な指導者を見つめる。

「こちらこそ、皆さんにお会いできて嬉しいです。私達の国民は現在、大変な思いをして戦いを続けています。皆さんの声が、我が国の国民の励みになることを信じています」

 精悍で勇敢な若い指導者は答える。

 他のリーダーが言う。

「私はあなたとあなたの国民の勇気に敬意を表する。今まで同様、引き続き支援は継続させてもらいます」

「感謝します」

 全ての国のリーダーが微笑んで言った。

「私達は同じ秩序を共有する仲間だ。この秩序を揺るがすような、力による一方的な現状変更は断じて許されない」

「ケケケ」

 部屋のどこからかヘンテコリンな声がした。

 リーダー達が声のした方を見ると、そこには奇っ怪で白い小さな動物がいた。耳が長くてウサギのようだが、顔は完全にネコのウサギネコだ。

「ふニャ? 同じ秩序を共有してるだって? だったら、そこにいる勇敢な指導者をお前たちの機構に入れてあげたらどうだニャ?」

 勇敢なリーダーは顔をしかめ、議長国のリーダーに言う。

「何だね、これは? 何かの趣向か?」

「い……いえ」

 議長国のリーダーの顔が青ざめる。

「おい! 誰か……」

 と言いかけて考える。仮に自分が目の前の変な動物の存在を知らなかったとしたら、この動物の侵入を簡単に許してしまった議長国としての安全対策の資質を疑われるだろう。それは世界の恥になる。

ここは何とか誤魔化した方がいい。

「ハハハ……これは、この会議のキャラクターでして……」

「キャラクター?」

「そうです。最新のAIロボット技術を使ったキャラクターの猫でして……」

「フギャ? おれはネコじゃニャイ! ウサギだニャ!」

 勇敢なリーダーが言う。

「ふん……得意のアニメとロボットか……」

「ケケケ、どうニャンだニャ? 同じ秩序を共有してるんニャら、おまえ達のニャトーに、この国を入れればいいニャ」

 議長国のリーダーはさえぎるように言う。

「我が国も……」と、勇敢なリーダーを見て言った。「あなたの国への人道支援を続けさせていただきます」

「ふニャ? 人道支援?……それってニャンだニャ? 必勝ってハチマキでもして声援を送るってことかニャ?」

「私達はとにかく、永続的な平和をもたらすべく努力をしていく」

「ダメだニャ。他の国はもっと踏み込んでるニャ。その国が求めてるのは武器や援軍だニャ……一方的な現状を許さニャイためにもお前は早く法律を変えて、援軍を送れるように約束するべきだニャ、それが永続的ニャ平和のためにニャるんだニャ」

「……」

 他の国のリーダーが言う。

「とにかく、核による威嚇は絶対に許されることではない」

「そのとおりだニャ! 向こうがその気ニャらこっちも撃ってやるって言ってやれ! そうじゃニャイとせっかくの抑止力が効かニャイニャ……それでも黙らなきゃ、かまわニャイから撃っちゃえ撃っちゃえ! 早いとこやっつけニャイと、ますます被害が広がるだけだニャ」

 勇敢なリーダーが言う。

「我々が重要とするのは、この77年間に及ぶ核兵器の不使用の記録だ。核戦争に勝者はなく、核戦争は決して戦ってはならない。私達はこの不使用の歴史を繋いできたことを誇るべきだ」

「ふーん。ニャるほど。それもそうだニャ。だったら相手の国も77年間不使用できたんだから、アイツもたたえてやるべきだニャ」

「おい」と、勇敢なリーダーが不機嫌な顔で、議長国のリーダーを睨む。「君の国の、この高性能なロボットを少しの間だまらせることは出来ないのか」

 議長国のリーダーはますます青ざめる。

「ハハハ、これは、会議の緊張を和らげる為のほんの冗談というか……余興のようなものでして……」

「冗談にしては悪い冗談だな」

「悪い冗談?……ケケケ、ニャんのことだニャ? おれか? それとも、この茶番みたいニャ会議のことかニャ」

「おい!」

 勇敢なリーダーは強く机を叩く。

「は、はい!」

 議長国のリーダーがウサギネコを捕まえようと飛びかかった。しかし一瞬早くウサギネコはヒョイっと身をかわし、テーブルの真ん中にピョコンと飛び乗った。

「ケケケ、かんべんしてくれニャ。言葉で茶化してるだけの動物に対して暴力を使うのは、国際秩序を揺るがす行為だニャ」

 しばらくの静寂のあと、勇敢なリーダーが口をひらいた。

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