おとどちゃん連載・22「青春×ジャンクション」

創業92周年! 高知県桂浜にある小さな水族館から大きな声で、いきものたちの毎日を発信中!

広報担当・マスコットキャラクターのおとどちゃんが綴る好評連載第22回は、コロナ明けを実感させる今月の盛況ぶりと、ハマスイの重鎮が持ってきた、名物飼育員の青春時代の思い出について。

今月もおとどちゃんのたわわな胸をいっぱいにさせたキラーフレーズがぎゅんぎゅんです!

以前のお話はこちらから。

コバルトブルーの海が煌めいている。心地よい風がそよぎ、いのちが深く呼吸する。春と夏が交ざり合うこの季節が私は好きだ。

「いつも通ってる道の途中に田んぼがあるんですけど、水田に映る空がすごく綺麗なんですよ」

自転車で通勤している飼育員が教えてくれた。彼が切り取った詩的な一コマがどうしようもなく愛おしく感じる。少し前までひどく鬱々としていたのが嘘みたいに、ここのところ、私は、些細なことにもときめきを覚え、胸の高鳴りを抑えられずにいる。

季節を先取りするかのように熱を帯びた高知県。町全体が、大型連休を利用して訪れる観光客と、更なる盛り上がりに懸けて身構えていたが、どこの観光地や施設も期待以上の盛況ぶりに目を白黒させたことだろう。

特に、五月四日は、桂浜にも多くの家族連れやカップルがやって来て、皆、朝早くから浜辺を散策していた。就業開始時間である午前八時半には、すでにチケット売場に列ができ始めていて、現場は妙な緊張感に包まれたものだ。

三十分間の清掃作業を終え、事務局スタッフがそれぞれの配置につく。賑わうエントランスを避け、お土産ショップ「マリンストア」を通って浜辺に出てみると、丁字路になっている遊歩道に、見たことがないほどの行列ができていた。そうして、客足は終日絶えることなく、この日の来館者数は、桂浜水族館が年間来館者数十万人超えを達成した年の一日の来館者数をしのいだ。

この春、新型コロナウイルス感染対策におけるさまざまな規制が緩和され、マスクの着用も個人の判断に委ねられた。それにより、人々の不安や緊張もいくらかほぐれ、隔たりが和らいで素顔に会えるようになった。

「念願叶って、遊びに来ることができました」

嬉しそうに話す来館者の屈託のない笑顔にふれ、胸の内で硬く結んでいたなにかが優しくほどけるのを感じた。

雨天に挟まれたゴールデンウィークだったが、水族館は連日大盛況で、その様子が、もはや事件のようにネットで話題となって、テレビニュースにも取り上げられた。

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