【11月号 大森靖子 連載】『大森靖子の超一方的完全勝利』

 悲鳴とかやるせなさとか、一番近しい人なんて確実にわかってはくれないこと、どうしようもないことを歌にして、自分が歌うだけならまだしも、それを表現する女の子を増やすようなことをしていて、感情を歌にすることは、感情を歌にする側にとってはそんな聞こえのいいような現象ではない。自分すぎて気持ち悪いものを自分から引っ剥がして、他人に見える場所にさも高尚であるかのように、高い純度であればあるほどそれは生々しさ、まだ生まれたばかりであったり、例えば子宮にこびりついていた内膜の血液のように、サラサラなんかじゃなくて赤色が混じったようなしこりを帯びて、風呂でそれらを指突っ込んで掻き出した時に出てくる透明に混じった液体、指ハートシステムで捕まえて捻り潰すの、今出てきたばかりのものを今潰すの、消えてしまったようでそれでも無くなることはないのだから。

 一等にどうしょうもないものを、勝手に尊くしないで。

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