いわい・ひでと●ミュージカル「おとこたち」、現在PARCO劇場にて4月2日(日)まで公演中。その後、大阪(4/8〜9)と福岡(4/15〜16)をツアーします。また、岩井秀人・森山未來・前野健太+金氏徹平による「なむはむだはむ展」が太田市美術館・図書館で開催中(〜5/7)。
ミュージカル「おとこたち」、晴れて劇場入りしました! ひっさびさのPARCOでございます! みんな、PARCOのビルって、ビルの外側をぐる〜〜って回っていける、めちゃ眺めのいい外階段で、8階まで歩いていけるからぜひ観劇前、観劇後に歩いてみてほしい! これはほんと素晴らしいぞ! 楽しいバベルの塔だ!
最初にPARCOで公演させてもらったのが2012年のことで、まだ30代の男岩井は、ほんとガクブルで初PARCOさせてもらったのでした。衝撃だったなあ、吹越満さんに引きこもり役の衣装を着せた瞬間に、歩き方から喋り方まで「ア,ドモ,,,フキクシッス,,」みたいにさ、絶妙に変化して。「生き物としての俳優」という存在を目の当たりにしましたわ。あの時出演してくれた岸井ゆきのちゃま、多分10代だったし。今じゃもう大女優ですよ。でも昔から立派な俳優さんでした。プロでしたわ。うおめでとうございます! 全てが懐かしいのう……。
ところで全然話は変わるのですが、本日劇場入りして、意外と時間があったから買おう買おうと思っていた「MacBook Air」を、ようやく購入。そして試運転でこの連載を書かせてもらってるのですが、これこれ! このキーボードだよ! 一応今まで使ってたのはコロナ冒頭で購入した「MacBook Pro」だったんだけど、そりゃ映像編集等にはめちゃお役立ちでしたが、このTV Bros.の連載書くとかなったらもう、オーバースペックも甚だしいわ重いわ、そしていつからかキーボードの感触も「カチカチ」から「ヌンヌン、ヌンヌ」の時代に。こんな煮え切らないキーボード、なんだかな〜だった。そこに来て、このAirのキーボードは気持ちいいです。もしかしてキーボード全く変更ございません、とかだったらすみません。そしたらプラシーボだわ。
プラシーボといえば、以前新聞で「20年以上、鼻炎の薬の中でも一番の売れ行きを誇っていた薬に、効き目がないことが判明」というニュースが載っていて、「そんなことあるんか!」とド肝抜かれたんだけど、その記事にとても興味深いことが載っていた。
その20年間大人気だった薬の効果を調べる方法ってのが、「100人ずつ鼻炎持ちの人を集めて、片方の100人には、なんの効果もない『偽薬』を飲ませ、もう片方の100人には、問題になった『20年間使用され続けた薬』を飲ませて、その効果の差をみる」という、これ以上なくアナログな検査なのだ。いや、もうちょっと例えば「この成分が何ミリ以上入っていれば、鼻炎に効果があるということになる」とか、そういった科学的な面が少しはあるんじゃないかと思ってたけど、つまるところ、「みんなに効いたみたいです」的な統計学で締めくくられていることにビックリしたのでした。まあ、まずは科学的根拠をチェックしてからの最終チェックなのかもだけど。それにしてもよね。
で、さらにビックリしたのは「結果、両組ともに50人ずつの改善が見られた。よって20年来使われていた鼻炎薬に効き目がないことが分かった」というもの。え? すごくない? 結局効き目がなくても、100人中半分の人が症状に改善がみられたっていうこと自体、かなり珍妙だよね? だってこれ、200人に嘘で「鼻炎にいいよ」つって、意味わかんないもの飲ませて半分の100人が鼻炎改善されたって喜んでるって話ですよ? そんなもんなのか! 人間!
と思い、ちょこっと調べ物などしてたら、この「偽薬」、結構お役立ちのようで、例えば老齢の方の薬の過剰摂取を止めるために一役買っているとのこと。なるほど。「ワシは胃腸薬をもっと飲まないとダメなんじゃ」つって、さっき飲んだばっかりなのに再び薬を求め出したりもあるわけで、そういう時はもう「逆プラシーボ」が起きて、なんならお腹痛くなったりまでしそうなもの。そんな時にこの「偽薬」があれば、実際にはなんの効果がなくても、本人に胃腸が休まった気さえ起きればいいのである。
思えば我が娘も車酔いが酷かったが、ラムネを渡して「これ飲めば酔わないよ」って言っておいたら、3〜4年は騙し通せた。その後、突如吐き始めたけど。すまねえ、どこかで気づいたのかな。
いずれにしてもこのプラシーボの世界、面白い。以前テレビで、笑福亭鶴瓶さんが真っ赤になって酔っ払った後に、今まで自分が飲んでいたものがお酒じゃないと知って正気に戻った姿も記憶に刻まれている。自意識で人は酔っ払い、顔を赤くまでできてしまうのだ。思いこみとは凄まじい。もはや事実を無視してアレルギー的な反応さえ作り出せてしまうのだ。
でも、考えてみたら自分が長いことやってきたお芝居だって、「そこでは実際に起きてない」ことを「起きてる」かのように感じさせる的なお仕事である。プラシーボの塊だ。おっさんがお母さん役をやっているうちにお客さんが「うちの母のようでした」とか、すげえ発言が飛び出したりするのだ。人間が人間に感情移入する、ということ自体、科学的にはなんら説明できないことのように思える。優れた俳優さんは、目の前で倒れている人を「死んでいる」と設定するだけで、生理現象であるはずの「涙を流す」なんてことができてしまったりもする。
この記事の続きは有料会員限定です。有料会員登録いただけますと続きをお読みいただけます。今なら、初回登録1ヶ月無料もしくは、初回登録30日間は無料キャンペーン実施中!会員登録はコチラ