『トーセントラム、日本ダービーの鞍上は藤田菜七子』
突然、WEBで流れたこのニュースに驚かれた方がたくさんいらっしゃると思います。でも、一番驚いたのは、私です(笑)。
「菜七子で行こうと思っているから」
トーセントラムを管理する小桧山悟先生から告げられたのは、先生が記者の方にお話しした前日のことでした。
小桧山先生は、師匠・根本先生と仲が良く、私もデビュー当時からお世話になっている先生です。でも、だからと言って……まさか、そんな、です。
“回避馬が出れば”という条件付きとはいえ、選ばれし18頭と18人のジョッキーだけに許される夢の舞台、日本ダービーです。そこに、この私が!? 先生の真摯な声を聞くと、とても冗談とは思えませんが、 だとしたら、私をからかっているのかも? すぐには信じられない私がそこにいました。
日本ダービーは、すべてのホースマンの憧れであり、私の夢です。
いつかは――。
騎手になる前から、ず〜〜〜〜〜っと、思い続けてきた夢のステージです。それが、降って沸いたように今、私の目の前にぷらぷらとぶら下がっていて……。
見上げるスタンドは私の目にどう映るんだろう? 風は? 匂いは? コースの表情は? あれこれ想像するだけで、ドキドキが止まりません。
「出られるといいね」
いつもお世話になっている調教師の先生、厩務員の方たちから掛けていただく声に、心が弾みました。
残念ながら今回、回避馬は出ず、夢は夢のまま終わってしまいましたが、この数日経験させていただいたことは、これからの私にとって大きな励みになります。
「菜七子に」と声を掛けてくださった小桧山先生。そして、それを認めてくださった島川隆哉オーナーには、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。
ずっとずっと遠いところにあると思っていた夢が、懸命に手を伸ばせば届くかもしれないところにある――。
その日が来るのを信じて、これまで以上に、1レース、1レースに全力騎乗でいつか来るその日を待ち続けます。
藤田菜七子第2章へ。
4月に挙げた2つの勝利でその足掛かりを掴み、新潟に舞台を移した決戦の5月。最初の勝利は、13日新潟、ダート1200mで行われた6Rの3歳未勝利戦でした。
パートナーのサンスレッドとコンビを組むのは、今回が4度目。過去3戦は、ずっと芝1200mを走ってきましたが、スタートがものすごく上手で、乗った感じ、ダートも苦にしなさそうです。
「一度、ダートを試させてください」
管理する深山雅史先生に進言して実現したレースは、私の予想を遥かに上回る好スタートから、そのまま逃げ切り。芝でもダートでもいけますし、逃げでも、2番手からでも勝負できるサンスレッドは、階級が上がっても十二分に勝負できそうです。
2個目の勝利は、翌週の20日、土曜日。これが6度目となる自厩舎、根本厩舎のドラゴンゴクウと一緒に掴んだ白星です。
「ためて外に出せば、最後はいい脚を使ってくれる」
馬の力を信じて乗った結果、最後に期待通りの伸びを見せてくれました。ドラゴンゴクウとは6度目の正直。私自身にとっては、2週連続のVです。
――もっとこうすれば。
反省点はあるし、工夫しなければいけないこともたくさんあります。それは自分自身が一番よくわかっています。
もっと、もっと、上手くならなければいけない。それは、ジョッキーを続ける限り、永遠に追い求めなければいけない課題です。
でも、その中でも、2週続けて勝てたことは、胸を張れるし、少しだけですが、自信にもなっています。
いつも競馬中心の話になってしまうので、今月は、ちょっとだけプライベートにも触れておきます。
Instagramにアップしましたが、元アイドリングの森田涼花ちゃんと動物園デートを楽しんできました。
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