オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、Yohji Igarashi、宮崎敬太 presents「レイジ、ヨージ、ケイタのチング会」20

今回はNewJeansの東京ドーム公演の感想と、ミーガン・ザ・スタリオンの「Mamushi feat. 千葉雄喜」などについて3人の独自視点で話していきました。

 

これまでのチング会はこちらから読めます!

 

取材&文/宮崎敬太

 

アイドルとしてのRawnessのハンパなさ

 

ケイタ:2024年も、もう後半ですよ……。

 

レイジ:ま、今日は7月12日なんですが。

 

ヨージ:ずいぶん早い取材ですね。お盆を挟むからかな。

 

ケイタ:かもね〜。カレンダーとかけ離れた生活を送っている我々3人でございます。今回は5〜7月の話題が中心になるのかな。

 

レイジ:そうなるとやっぱNewJeansの東京ドームじゃないですか。

 

ケイタ:俺は2日目だけ行って、もう最初からずっと泣いてた。理由がよくわからないけど、勝手に涙腺が刺激されちゃって。

 

ヨージ:ドームみたいにデカい会場だとあんまりそういう感じになりづらいイメージですけどね。

 

レイジ:俺もケイタさんが言ってることが結構わかるんだよね。ほんとあれなんだったんだろう。

 

ケイタ:歌がうまいとか、ダンスがすごいとか、曲が良いとかそういうことじゃなかったんだよ。俺が言うと死ぬほど気持ち悪いのは重々承知してるんだけど、すげー甘酸っぱかった。

 

ヨージ:ケイタさんはマジでNewJeans好きなんすよ。

 

ケイタ:俺、いわゆる女性アイドルのライブって実はそんなに行ったことなくて。

 

レイジ:Red Velvet一緒に行ったじゃないですか。あとaespaとか。

 

ケイタ:行ってる。けどRed Velvetもaespaも、そもそもK-POP全般をあんまりアイドルとして認識してないんだよね。便宜上そういう言葉を使ってるけど、俺の中ではビジュアルも優れたアーティストみたいな感覚なの。ライブに行ったらもちろん「キャーッ!」な瞬間もあるけど、「ヤバッ!」ってなるほうが圧倒的に多いっていうか。でも今回のNewJeansは終始「キャーッ!」だった。「これがアイドルのライブなんだ!」って初体験の衝撃もあった。

 

レイジ:それ逆っすよ。ほとんどの人がNewJeansをアーティストとして観に行ってると思います。俺もケイタさんは自分で思ってる以上にNewJeansに対して特別な気持ちを抱いてるんじゃないですかね。

 

ヨージ:本当に好きすぎると泣いちゃうことあるんですよ。中村俊輔選手の引退試合に行った時、選手入場前の煽りSEの映像で泣いちゃいましたもん。しっかり観られないというか。

 

ケイタ:あ、その感覚に近い。今日2人に言われるまで自覚してなかった。レイジくんはどうだった?

 

レイジ:ミンジがカバーした「踊り子」(Vaundy)が超良かったですね。バンドっていうのも良かった。

 

ヨージ:「踊り子」をバンドでやったの? それめっちゃ良いね。ケイタさんはライブの演出を通してNewJeansの少女性に惹かれたんですか?

 

レイジ:というより、アイドルとしてのRawnessのハンパなさにくらってるんだと思います。

 

ケイタ:まじでそれ。俺はずっとミン・ヒジンのファンだから、どっちかっていうと彼女がどんな演出でライブを作るのかということに興味があったの。そしたら、ライブ後に自分の中に残ったのはNewJeansの5人の実存だったんだよね。ミン・ヒジンの世界観じゃなくて。NewJeansってそれこそ村上隆のアートワークをフィーチャーしたり、ギミック満載の作品を発表してきたけど、ミン・ヒジンにとってはとにかくあの5人が主役で後はおまけみたいなものなんだってことに気付かされた。良い意味で裏切られた楽しさもあったし、「Ditto」で意図してたこともようやく理解できた気がしたんだよね。

 

[Light Jeans] Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome Behind EP.2 | NewJeans

 

両方の視点大事だよね

 

ケイタ:めっちゃ語っちった……。2人の中で最近アツい話題を教えて。

 

ヨージ:ミーガン・ザ・スタリオンの「Mamushi feat. 千葉雄喜」じゃないですかね。いろんなチャートに入ってるみたい。ただ僕はTikTokとかの再生数を250kみたく表示されるとすごさがわからなくなる……。

 

レイジ:それ面白い(笑)。kだったら0を3つ付ければいいのよ。mだったら6コ。ちなみに「Mamushi」はどれくらいバズってるの?

 

ヨージ:もうすごいことになってるんじゃないかな。アルバム(『MEGAN』)はビルボードのR&B/Hip-Hopアルバムチャートで1位になったみたいだし。

 

ケイタ:千葉雄喜すごいね。いろいろ飛び越えていく。

 

レイジ:なんか突然、昔DEV LARGEが「アイドルがラップしても良いと思う。でも同じ棚にBUDDHA BRANDみたいなハードコアなラップが並んでるべきだ」って言ってたのを思い出しました。リスナーが選べるようにすべきだって。俺、最近ウーマンラッシュアワーの村本さんのドキュメンタリー(『アイアム・ア・コメディアン』)を観たんです。

 

ヨージ:全然知らなかった。それすごく観たい。

 

レイジ:すごい面白かったよ。村本さんの芸風が社会派になったのは2017年にABEMAの番組で福島に行ってからみたいで。2013年の年末にTHE MANZAIで優勝して、次の年からテレビに出まくってたんだけど、ABEMAの仕事から意識が変わったんだって。

 

ケイタ:社会的になったよね。

 

レイジ:アメリカのスタンダップコメディだと、アフリカ系のルーツを持つ人が「なんで黒いバンドエイドがないんだ? 俺たちに怪我するなってことか?」みたいなギャグを言うんです。同じルーツを持ってて、似たような境遇にある人が共感できて面白い話、みたいな。日本のお笑いにはそういうのがなさすぎるって感じたらしくて。

 

ケイタ:たしかに最近の日本だとちょっとした風刺でも受け入れられにくい。

 

レイジ:村本さんは、不謹慎かどうかはやるほうじゃなくて、観るほうが決めるべきだってさっきのDEV LARGEみたいなことをドキュメンタリーで言ってたんですよ。

 

ヨージ:T-Pablowさんも昔「高校生RAP選手権」に出場した時、ウーマンラッシュアワーの村本さんが好きって言ってたような気がする……。

 

ケイタ:BAD HOPのリリックにはユーモアがすごいあるもんね。「リバトーク」も大好きだった。あれも捉え方を変えると社会的と言えるよね。俺なんか同じ神奈川県民なのに、彼らのような境遇があることすら知らなかったし。あっけらかんと話してくれたから毎回爆笑してた。そういえば2人はケンドリック・ラマーの「Not Like Us」のMVは観た?

 

レイジ:観ました。でも俺、意味を汲み取りきれてないです。

 

ケイタ:俺もYouTubeでShotGunDandyさんの激アツ解説を観て「すげー」ってなってた程度。

 

レイジ:俺、まだ観てないんですけど、ShamaStationもこのビーフの経緯を1時間40分くらいの動画にまとめてるんです。本人は「逆にドレイク好きになっちゃいました」って言ってた(笑)。

 

ヨージ:両方の視点大事だよね。

 

リバーブの深い世界

 

ケイタ:Red Velvetカムバしましたね。

 

レイジ:普通に最高でした。「Cosmic」のMVも今更「ミッドサマー」オマージュだったし。逆に早すぎ(笑)。MV観てみようか。

 

Red Velvet 레드벨벳 ‘Cosmic’ MV

 

ヨージ:あいかわらずRed Velvetはすごいですねえ。別の曲でも思ったけど、曲の中で「ふぁ〜」って広がっていく感じあるじゃないですか。音の距離感が絶妙なんですよ。Aメロはシンプルだけどしっかり真ん中にあって、バックトラックも結構主張が強いんだけどうるさくない。

 

ケイタ:俺なんかは「普通に良い曲だな〜」って聴いちゃうけど、作り手としてはこういうのって難しいものなの?

 

ヨージ:難しいと思いますし、絶妙って感じですね。僕の勝手な印象ですけど、K-POPの楽曲を聴いてると(作り手の)ドヤ顔が見えてくることがあって。でもRed Velvetのビートは毎回かなりかましてるんだけど、あまりドヤ顔が見えてこないんですよね。そこがすごいというか。

 

レイジ:(他のグループは)ジャージークラブとかマイアミベースとかニュージャックスイングとかやってますけど、「うちらアイドルなのでそういうのわかりません」ってスタンスがめっちゃいいんですよ。

 

ケイタ:Red Velvet=ラモーンズ説。

 

レイジ:で、ヨージが言ってた音の広がりって話と繋がるかわかんないけど、この前Givvnとリバーブの話になったんです。USのトップ10に入ってる曲はめちゃくちゃリバーブがかかってるんですけど、日本は全然で。「なんでだろう?」みたいな。

 

ヨージ:確かに日本のYouTubeのDTMチュートリアルでも「リバーブはかけすぎないように」的なことを言ってた気がするな。でもアリアナ・グランデの曲とかすごいかかってるよね。あの感じって難しいんだよなあ。

 

レイジ:バレない深さがあるんだよね。

 

ヨージ:うん。大前提としてアリアナ・グランデがものすごく歌がうまいっていうのも関係してるのかもしれないけど、深くナチュラルにリバーブをかけるのてすごく難しい。

 

レイジ:あと広いところで歌ってる感じもある。

 

ヨージ:USのトップチャートに入る曲は、ビッグルーム的なところで鳴る想定で作られているだろうしね。でもUSそのレベルでいざリバーブをかけちゃうと、残響が大きすぎて他の楽器を邪魔しかねない。僕はリバーブされた成分にEQをかけられるリバーブを使ってバランスをとっているんですけど、いい塩梅を見つけるのはすごく難しいですね。

 

レイジ:N.E.R.Dの「Lemon」とかですらめっちゃリバーブかかってるんです。

 

ケイタ:え、意外。

 

ヨージ:わりとドライなイメージだった。

 

レイジ:だよね。だけど意識するとめっちゃ深かったっすね。でもレッチリなんかは意外とドライだったり。こういうのってAirPodsだとわかりづらいんですよ。あともう一個はカラオケの影響で、日本には「リバーブ=歌をごまかす」みたいなイメージがあって、同時にドライであればあるほどうまいみたいな風潮もあるじゃないですか。これって一概にどっちが良いみたいな話じゃないんだけど、リバーブの世界は奥深いなって思いました。

 

ヨージ:僕的には「テルーの唄」が理想なんですよね。

 

レイジ:手嶌葵の?

 

ヨージ:そうそう。今日も2回連続聴いてきました。世界で一番いい歌の可能性すら出てきてます。歌詞も良いし、超かっこいい歌なんですよね。

 

 

Red Velvetを芸人に例えると……

 

ケイタ:もうちょっとレドベルの話をしたいんだけど、彼女たちは今年で10周年なんだよね。

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TV Bros.編集部
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