オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、Yohji Igarashi、宮崎敬太 presents連載「レイジ、ヨージ、ケイタのチング会(仮)」02

オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、トラックメイカー・Yohji Igarashi、音楽ライター・宮崎敬太のチング(友達)同士による、K-POPをサウンド面から深掘りしていく連載。Kカルチャーに造詣の深い2人がサウンドの面からK-POPを分析しつつ、トラックメイカーYohji Igarashiと共に元ネタを探りながら理解を深めていこうという企画。2回目いってみよ〜!

取材&文/宮崎敬太

 

●連載1回目で話した「STICKER」ってじつはリメイクだったんですよ…

 

宮崎敬太(以下ケイタ):今日何話そうかね。

 

Yohji Igarashi(ヨージ):衝撃的な新譜はないんですか?

 

オカモトレイジ:新譜じゃないけど、最近衝撃的な話を知って。俺らが大好きなNCT 127の「STICKER」が買い取りだったという……。

※連載1回目でその話題について話しています↓

https://tvbros.jp/hit/2022/02/12/29958/

ケイタ:どういうこと?

 

レイジ:実は「STICKER」ってリメイクだったんですよ。オリジナルはCalixteというラッパーが2018年にリリースした「Jack Move」って曲。ちょっと調べてみたけど、YouTubeには公式のMVがなくて、Spotifyでも見つかんなかった。でもファンの人が比較した動画あって。これなんですけど……。

 

(YouTube視聴中)

 

ヨージ:Mura Masaっぽい笛の音もまんまですね。

 

レイジ:さすがにこれはビビりましたね。状況から想像するに、SMは「Jack Move」をCalixteから買い取って、リメイクしてるんだと思うんですよ。「STICKER」のソングライタークレジットにはCalixteの名前が最初に入ってますし、対価はちゃんと支払われてるだろうし。俺、単純にびっくりしちゃって。だってこれって、例えばある日突然ヨージのところにSMから「(2018年にYoji Igarashiが出した)EP『PINK』の曲を買い取りたい」って連絡がきて、売った数年後にサビが追加されて世界的に大ヒットした、みたいなことだからさ。

 

ヨージ:あー、なるほど。

 

レイジ:CalixteのYouTubeを見ると、他の曲は全然再生されてないので、おそらくそんな有名な人ではないと思うんですね。例えば「1曲30万円で買い取ります」ってオファーで権利関係もしっかりしてたらヨージは売る?

 

ヨージ:売っちゃうかも。僕の場合は自分の音楽をいろんな人に聴いてもらいたいって気持ちがまずあるから。それに大きいところだと尚更メリットはありそうだね。

 

編集部:ちょっと違うかもしれないけど、ダンスでもそういうのあるみたいですよ。NCT Uの「Make a Wish」とかNCT127の「Favorite(Vampire) 」の振り付けを作ったReiNaさんがこの前「マツコ会議」に出ていて。1曲に対していろんなダンサーさんからいろんな振り付けを買い取るらしいんです。どこが採用されるかはMVが完成したときにわかる、みたいな。

 

レイジ:振り付けもコライトみたいな感じでやってるんだ!

●K-POPの裏方たちの思考の柔軟さと大胆さには驚かされることばかり(ケイタ)

 

ケイタ:豪快な編集感覚だよね。まさにビビンパ。

 

レイジ:だけどやっぱ SMって独特だと思うんですよ。公式の情報じゃないけど、SMってカバー曲が異常に多いみたいで。シャヲルの方のブログで知ったんすけど、SHINeeも結構カバーが多いみたいです。その中でも驚いたのが、2 Muchとかいう超マイナーなグループのカバーで、ブログを書かれた方はマジでヤバいディガーっす。元曲がサブスクに入ってないんで2 MuchのCDを探してます(笑)。この方の記事を読むと、SMは作曲を依頼してる海外のプロデューサーが過去に別の人に書いた曲をカバーしたりしてるっぽいです。全然聞いたことない謎なアーティストの謎な曲を数年後に表題曲としてリリースしてたり。身近な例でいうと、ヨージがHIYADAM向けに書いた曲だけどボツになっちゃって、でも DAOKO が聴いたら気に入ったから、みたいな。

 

ヨージ:あー、そういうことか。そういうことなら普通にあるね。

 

レイジ:でしょ。権利的なとこをクリアにしてれば何の問題もないんだよ。「STICKER」ってペンの人たちにはチャルメラ曲って言われてるっぽくて(笑)。俺も相当かっとばしためちゃくちゃな曲だと思う。そんな変な曲をあのタイミングでNCT127にやらせてるところがヤバい。思い切りの良さというか。しかもチャルメラがあったから、ど真ん中K-POPの「Favorite(Vampire) 」も映えまくって「最高!」ってなっちゃったわけじゃないですか。最初「STICKER」がオリジナルじゃないと聞いたときに、(ちょっとネガテイブな)ショックがあったけど、考えれば考えるほどやっぱり「STICKER」はすごいと納得させられちゃいました。

https://www.youtube.com/watch?v=1oYWnbTSang

ケイタ:つまり誰も知らないヤバいものを見つけて、寝かせて、見せ方を工夫して、適切なタイミングで出してるってことでしょ。それってめちゃくちゃ高度な編集者のスキルだよね。

 

ヨージ:「勝手にシンドバッド」のあとに「いとしのエリー」を出すみたいな?

 

レイジ:サザンオールスターズの感覚に近いかもね。「マンピーのGスポット」もあるけど「真夏の果実」もあるよ、みたいな。しょっぱいのと甘いのを交互に出される気持ち良さ(笑)。

 

ケイタ:K-POPの裏方たちの思考の柔軟さと大胆さには驚かされることばかりだな。

●SMの裏方はこの世のすべての音楽をデモとして捉えてる?!(ヨージ)

 

レイジ:ほんとっすよ。どういう流れで「次は『STICKER』でいこう!」となったんだろ。その決定をした人たちが知りたい。普通の会社だったらあんな変な曲では会社の上層部を押し切れないと思うんすよね。

 

ヨージ:全然トレンドの音じゃないもんね。

 

レイジ:そうなんだよ。トラップじゃないし、わかりやすいドロップ(サビ)があるわけでもない。なんというか、カテゴライズできないビート。でもインパクトはものすごい。なんなんだろうっていう(笑)。SMには想像を絶するクレバーなプロデューサーがいるんだと思うな。

 

ケイタ:前回は「BANG BANG BANG」の元ネタを紐解いていったら、実はアメリカのアンダーグラウンドとオーバーグラウンドのクラブカルチャーを横断しつつ、しっかりと踏襲してるのがわかって、みんなで「おぉ〜」ってなったじゃん。でも今回のはそれともまた全然違うショックだね。

 

レイジ:ですね〜。あと個人的に思うのは、YGは事務所のカラーとしてアーティシズムを大事にしてると思うんです。ずっとTeddyがプロデューサーとしている感じとか。海外のアーティストとやるときも絶対にTeddyが噛んでたりするじゃないですか。一方のSMはアイドルに振り切ってますよね。カバーだろうがなんだろうが(曲が良ければ)関係ないっていう。いい意味でアーティシズムへのプライドはないんでしょうね。

 

ケイタ:うちはそっちじゃないんで、と。

 

レイジ:そう。あの振り切り方はかっこいいですよ。アイドルの極め道(笑)。完全無欠のアイドルを作ることしか考えてませんよっていうか。

 

ヨージ:そうなると、SMの裏方はこの世のすべての音楽をデモとして捉えてるってことだよね。あらゆる時代のアングラからヒット曲にいたるまで。

 

レイジ:「いいな」と思ったら買い取っちゃうスタイル(笑)。でもさ、これってカニエ・ウェストがやってることと同じだよね。ちゃんとクリアランスを取って大ネタをサンプリングして曲を作る、みたいなさ。

 

ケイタ:「STICKER」からカニエにたどり着くとは思わなかったよ(笑)。てか、レイジくんもいつもビートを作ってインスタのストーリーズにあげてるじゃない? それがNCTの曲になる可能性もあるってことだよね。誰でもエントリーできる世の中って素晴らしいな。なんか俺、最近めちゃくちゃ心が満たされてるんだよね。

 

レイジ:いいですねー。K-POPにはそういう力が本当にありますよね。

●Red Velbetというグループの存在感に圧倒されて、スルギ単体でどうこうみたいな気持ちじゃなくなるんです。でもインスタでスルギの新しい投稿を見ちゃうと「やっぱスルギが一番かわいいな」って戻ってくる(笑)。(レイジ)

 

ケイタ:あるー。てか「推し」だよね。推す心ってめちゃくちゃ大事だということに気づいた。いままで俺はK-POPを音楽として好きだったの。俺にとってNCT127のテヨンはデヴィッド・ボウイと並列で、アイドルというよりカリスマティックなフロントマンとしての存在感に魅了されてたんだよね。でも最近俺、乃木坂46にハマっててさ。

 

ヨージ:えー、意外。

 

ケイタ:自分でもこれは完全に想定外(笑)。

 

レイジ:何きっかけですか?

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