押井守のサブぃカルチャー70年「短編SF小説の巻」【2021年1月号 押井守 連載第11回】

今回は押井さんがハマったSFものの映像作品や短編小説などをうかがいました。“短編”とついているところが、今回のミソです。
取材・構成/渡辺麻紀

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まともな文章すら書けないのに、SF作家になろうと思っていた中学生時代

――今回は円谷プロダクションについてお願いします。押井さんは、ウルトラシリーズなら『ウルトラセブン』(1967~1968年)、一番好きなのは『ウルトラQ』(1966年)だとおっしゃっていましたね。

円谷プロダクションの前身は東宝の特撮部だよ。そのあと独立して円谷プロダクションになった。東宝時代は『ハワイ・マレー沖海戦』(1942年)等の特撮部分を担当していた。私は特撮おたくでも怪獣おたくでもないから、この手の知識の多くはしんちゃん(樋口真嗣)からの受け売りが多いけどね。しんちゃんは実家が東宝のスタジオに近かったことも手伝って、子供のころから入り浸り、着ぐるみやミニチュアのなかで育ったと言ってもいいくらい。言うまでもなく彼は、根っからの特撮マニアですよ。
『ウルトラセブン』が好きなのは、シリーズのなかではもっともSFしていたから。でも、一番はやっぱり『ウルトラQ』。

――私も観てました! 石坂浩二のナレーションで始まりますよね。

あのナレーションは何の真似か分かる?

――『ミステリー・ゾーン』(1959~1964年)のロッド・サーリングです。

そうです。当時の私は『ミステリー・ゾーン』の大大大ファンだった。毎週、あの30分だけが生きがいという時期があったくらい大好きだった。
『うる星やつら』のTVシリーズ(1981~1986年)をやっているとき、ファンレターのなかに「毎週水曜日の19時からの30分だけが僕の生きがいです」というようなのがあって、「これは責任重大だ」と思ったんだけど、考えてみれば、自分も中学生のころ『ミステリー・ゾーン』が生きがいになっていたので、そういう気持ちがよく分かった。そのとき、自分もそういう仕事をしたんだと、しみじみした気持ちになったし、そういうファンを大切にしたいとも思ったんですよ。
だからと言っておもねったり、こびることはしなかったけど、その気持ちだけは自分の経験を通してよく分かっていた。

――なるほど。で、『ウルトラQ』はどうなんでしょう?

やっぱりさ、まずは『ミステリー・ゾーン』の話をしない? それを語らないと円谷に行けないかな。

――だったら今回は方向転換して『ミステリー・ゾーン』のお話にしますか? 同じようなシリーズに『アウター・リミッツ』(1963~1965年)もありましたが。

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