“新しい時代になったんだな”ということを私たちのライブでも表現できたら!【2021年9月号 Perfume 連載】『たちまち、語リンピックせん?』

8月14日(土)・15日(日)、神奈川・ぴあアリーナMMにて約1年半ぶりの有観客ワンマンライブ「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」を開催したPerfume。巨大なLEDモニターを駆使し、アリーナ部分をすべて使った広大なステージで繰り広げられるパフォーマンスは息を呑むほど圧倒的な美しさでした。Perfume、演出のMIKIKO先生、Rhizomatiks、いつも支えるスタッフ、そして会場やライブ・ビューイングに集まったお客さんみんなの力で成功させたライブ。その模様は今年12月にAmazon Prime Videoで独占配信されることが決定したので、ぜひとも楽しみにお待ちください。

今回もライブの感想や、Amazon Prime Videoで配信される音楽バラエティ番組『ザ・マスクド・シンガー』のお話など、盛りだくさんでお届けいたします。

取材・文/照山紅葉

https://tvbros.jp/regulars5/perfume-%e9%80%a3%e8%bc%89%e3%80%91%e3%80%8e%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%be%e3%81%a1%e3%80%81%e8%aa%9e%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%94%e3%83%83%e3%82%af%e3%81%9b%e3%82%93%ef%bc%9f%e3%80%8f/

[テーマ]「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」

[言い出しっぺ]TV Bros.編集部

 

「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」
2021年8月14・15日 ぴあアリーナMM

<セットリスト>
intro システムリブート
01. 不自然なガール
02. Pick Me Up
03. 再生
04. Future Pop
05. TOKYO GIRL
06. I still love U
07. マカロニ
08. ポリゴンウェイヴ
09. 無限未来
10. GLITTER
11. FAKE IT
12. ポリリズム
13. Time Warp
14. Miracle Worker
15. MY COLOR
16. 新曲(未発表)

https://twitter.com/Perfume_Staff/status/1426862451606253575?s=20

  • あれは私たちだし、みんななんですよね。みんなが立ってる。あそこに(あ〜ちゃん)

──「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」、素晴らしいライブでした!

かしゆか  リハーサルに入ったときから、楽しみでしょうがなくって。今回リハーサルしたのがいつもより大きいスタジオだったんです。いままで使ったことないスタジオで、しかもそこがステージのLEDの床面ぴっちり、ジャストで入ってたんですよ! ステージの大きさを想像しながらできたから、実際にぴあアリーナに行っても大きさに緊張しなかったです。“うんうん。そうそう、このサイズ♪”みたいな。

あ〜ちゃん 普通だと絶対びびってたよね? 

のっち   びびってた!

かしゆか  いつも使っているリハーサルスタジオだとビニールテープで枠組みの線を舞台監督が貼ってくれて“大体ここを往復何回したらその距離です”みたいな感じで想像しながらやってたんです。今回はちゃんと一面でできたから久しぶりの大きい会場でのライブだったけど、緊張せずに挑めました。

──ステージがあれだけ広く、しかもフロアのLEDに映像も流れるからバミリ(立ち位置の目印テープ)もいつと勝手が違って大変だったんじゃないかなと思ったんですけれども。

あ〜ちゃん 初めてだったよね? +1と−1があるって。前後であんまり立ち位置つけないから。

のっち   ね? 

かしゆか  普段は大体エンドステージから花道っていうスタイルだったから奥行きに対してそんなに気にする必要なかったんですけど、今回はお客さんがみんな上から観て、全面がステージだから真ん中にいるのが一番きれいっていうことで、前の番号もあるし、後の番号もある、みたいな。でも、LEDが真っ白になったときに番号が光ったらちょっとダメだよねってことで、バミリも最小限にして頑張った結果です。

あ〜ちゃん デジタルの子(機材)たちはちゃんと約束通り全光りしてくれてるのに、アナログの私たちがそんなアナログなものをつけちゃったら、デジタルちゃんたちや、それを働かせてくれてるスタッフさんにも申し訳ないし。だからなるたけ無しで行きたいよねっていうのはありつつ、交渉、交渉だったね。

のっち   いつもだったらバンバンお願いするんだけど、今回はバミリひとつお願いするにも気をつかうみたいな感じでした。

──以前、今回のライブ会場について「発明だよね」っておっしゃっていたのは、アリーナをフルに使ったステージにすることだったんですね。

あ〜ちゃん チケットを販売する時点では収容人数の半分ではなく5000人という規定だったんです。いつもよりお客さんの数も少ないし、1万2000人入るぴあアリーナMMの会場に5000人しか入れないとなると、たぶんスカスカに見えると思うんですよ。でも、だとしたら日本武道館みたいに縦に高いぴあアリーナの会場を活かした“高いところから見るとステージの全貌がわかる”演出をMIKIKO先生は考えてくれて。じゃあ高いところから見る方が良い演出ってなんだろう? アリーナ全部を自分たちのフィールドにして、そしてお客さんたちに高いところから私たちのダンスの美しいところ──立ち位置だったり、3人がコロコロコロコロ変わっていくさまを演出とともに見せられたら面白いんじゃない? みたいな話を最初にされて。本当に発明だと思いました。

のっち   回廊のデザインと演出も天才だったよね。演出によって雑踏に見えたり、夜景に見えたり。森とか葉脈、シナプスみたいに見えるときもあれば、広がっても見えるし、迫っても見えるし。

あ〜ちゃん 不思議だよね。根が張ってるみたいにね。で、お客さんとつながっていってるみたいに見えるしね。確かに素晴らしかった。この箱(会場)でしかできないこと、この日にしかできないことを考えるのはやっぱり天才だなと思いました。中田さんもリクエストに応えるのが本当に天才だけど、MIKIKO先生もこの場でこうなるっていう注意点とか、普段ならマイナスになるようなことを全部プラスに変えて、そのときにしか観られない特別なものにする。天才だな、発明だなって思いましたね。それをリハに入る前から聞いてて大興奮してたし、自分たちもMIKIKO先生の演出が本当に大好きだし、観たかったから。この1年半ずっと締めくくりができなかったステージがいっぱいあったから、自分たちも心から楽しみにしてて。リハーサルも鬼楽しかったね?

のっち   楽しかったねーっ!

あ〜ちゃん 毎日ミルクティー頼んで。コーヒー頼んで。3人でそれぞれが担当して飲み物をウーバーで頼んで、スタッフさんの分も買って。

──冒頭から「不自然なガール」でELEVENPLAY(MIKIKO先生が主宰する女性のみで構成されたダンスカンパニー)のメンバー16名とパフォーマンスする姿にも度肝を抜かれました。

あ〜ちゃん 初めての武道館(2008年)のときかな? 初めて大きなところでやるとき、MIKIKO先生に「ダンサーを入れないってことでいいんだよね?」って確認されたんです。私たちは当然のように「はい!」って言ったんだけど、演出をする人にとっては結構きついお題で。

あんな広いところを3人だけで埋めるのはすごく大変なことだったと思うんですけど、それをやり遂げてくれたことで“ステージに立つのは3人だけ”という私たちのポリシーみたいなのがそこで生まれて。それまでバックダンサーさんなんて付けられるお金もないし、そんなアイデアもなかったけど、いざそうなったときに、これがポリシーになった。

そこからアリーナに立つときも、ドームに立つときも、ワールドツアーに行くときも、どんなときも3人だけで立ってきたんですけど、それが今回のライブを作るテーマの中で、私が私たちとなって、私たちがみんなになって、みんなが私たちになる。自分たちが思っていることや考えていることをみんなが補ってくれる。みんなが考えていることを私たちも考えてるよって。そういう重なる部分──私はあなたで、みんなが私たちになる。そういう廻りを可視化する。

それが見えた状態を表現できないかなって。それがイレブンのみんなが出てくれて実現できた。だからあれは私たちだし、みんななんですよね。みんなが立ってる。あそこに。……しゃべってると涙が出そうになってくるけど。

──聞いているだけでも涙が出そうになります。

あ〜ちゃん だから“どんなときでも思いは一緒だし、傾けてくれる気持ちも全部受け取っているし、感じてるよ。だって私たちもそう考えてるもん、みんなのこと”みたいな。そういう私たちとファンの人たちとの関係性を表現する一環で出てくれたんですよね。だから私たちの“影”になってくれたりとかして。「I still love U」という曲でも白い私たちで踊ってるんですけど、その上を影のイレブンが踊ってる。でもあれはみんななんだよ、みたいな。

「マカロニ」の演出もそうですよね。こうあってほしい、3人にこういう人たちでいてほしいっていうみんなの理想とか夢が影として現れて、ずっと踊り続ける。でも私たちはそれをも楽しんで、いい意味で裏切る。そういう楽しませ方を信頼がある上でずっとやってきたよねっていう。自分たちの言葉とか思いを代弁してくれたなぁと思います。

のっち   ただ空間を埋めるためとか、ただ大勢で踊る迫力を見せたいとか、そういう意味合いだったら絶対一緒には立ってなかったよね? だからバックダンサーではなく、いままでも一緒にステージに立ってたPerfumeを支える人たち。ファンもスタッフもみんなの姿が今回は見えた、みたいな。そういう感覚でした。

あ〜ちゃん 見えない力だよね。自分たちには見えてない恩恵。いままで出てなかったけど、実はこうだったよっていう。

のっち   うん。だからバックダンサーという言い方もすごい違和感がある。

あ〜ちゃん わかる! 初めて言ったね。

のっち   初めて言う。

あ〜ちゃん なんて言えばいいんだろう? 

のっち   先生たちはずっと黒子さんって言ってて。衣装を決めるときも。その言い方がしっくりは来てるけど……なんかわかんないね。言い方が。

かしゆか  ELEVENPLAYさんと一緒にやったよって話ではないので。コラボでもない。

あ〜ちゃん 体を分けたというか。分身みたいな感じかな?

──つまり“Perfumeである”ということですよね。

あ〜ちゃん そうそうそう! だからMIKIKOはPerfumeだ。PerfumeはMIKIKOだ。みたいな感じで、イレブンはMIKIKOだ。MIKIKOはイレブンだ。だからイレブンはPerfumeだ。Perfumeはイレブンだ。っていうくらいのつながりなんですよね。イズムをめちゃくちゃ継承しているので、フィーリングが一瞬でピタッと合うんですよね。“あっ、私たちだ……”みたいな。そういう瞬間がいっぱいありましたね。

とにかく見せてもらってるパフォーマンスでこっちの心がめちゃくちゃ震えるんですよ。で、その震える感情があっちもうしろからすっごい感じるんですよ。だから共鳴する。うわーっとなる瞬間があっちにも伝わってピタッと合う。すごい独特な感覚でしたけど、パフォーマンスする人とメンバー以外でそういうふうになるのは初めてだったかも。だから……なんて言えばいいんだろうね? “黒子さん(分身)”みたいなことなのかな? 字で表現するの難しいね。

のっち   ムズいねー。

 

  • 次の自分たちを見せられたのが嬉しかったし、きっとびっくりしてもらえたんじゃないかな(のっち)

──演出の端々にMIKIKO先生のイズムを感じるステージでした。中でも「ポリゴンウェイヴ」のパフォーマンスの完成度はすごかったです。“ついにこの曲が本当の姿を見せた!”みたいな。

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