時代の閉塞感を吹き飛ばす最高のコメディ映画が誕生した。それが、3月12日(土)公開の映画『ウェディング・ハイ』だ。TV Bros.ではキャストによるリレーインタビューを敢行。初回は、主人公・中越真帆役の篠原涼子に話を聞いた。
撮影/桑島智輝 取材&文/横川良明
スタイリスト/宮澤敬子(WHITNEY) ヘアメイク/岡野瑞恵
ジャケット¥77,000 ショートパンツ¥28,600/共に、テラ(ティースクエア プレスルーム 03-5770-7068) タンクトップ、ブーツ/スタイリスト私物
余興のシーンは、どこを見ていいかわからなくなると思います
――作品を観終わって、久しぶりにシンプルに面白いと思えた映画でした。
そうなんですよ。私もこうやって作品の魅力をPRするときにもっといろいろ言わなきゃいけないけど、とにかく面白いんです!って、それが一番最初に出てきちゃう(笑)。理屈ではなく、とにかく面白いから観てくださいという気持ちです。
――曲者揃いの登場人物が揃っていますが、その中でも篠原さんのお気に入りは?
面白かったのは、尾美としのりさんと(高橋)克実さん。あと(皆川)猿時さんに、六角(精児)さんも! あれ、結局いっぱい挙げちゃってるな。1人だけというのはなかなか難しいですね…(笑)。
――お話もスピーディーに展開して、どれも笑えるシーンばかりで。
余興のシーンとか、本当にとんでもなかったですよね。太鼓から始まり、ダンスがあって、本当に盛りだくさん。きっとお客さんもどこを見ていいかわからなくなるんじゃないかな。あそこは見せ場だと思います。
――まさに目が足りない群像劇ですが、その真ん中に立つ人としてどんなことを意識していましたか。
私が演じるウェディングプランナーは、実際の結婚式でも一歩引いた場所から式の進行を見守る係。だから、私も自分が前に出るのではなく、一歩も二歩も引いた立ち位置からみなさんを支えて盛り上げる人物でいようと心がけていました。
――主演ではあるのですが、いい意味で前に出過ぎていないのは、職業柄を意識してのことだったんですね。
そうなんです。みなさんが楽しくやっているのを見て、私も便乗したくなるんですけど、そこはぐっと我慢して引いて(笑)。私は、この中ではあくまで普通の人。披露宴が無事終わるように一生懸命になっている姿がおかしく見えたらいいなという気持ちで演じていました。
いちばんトラブルに強そうなのは、岩田くんかな
――今回、篠原さんの他に中村倫也さん、関水渚さん、岩田剛典さんの4人にご登場いただくのですが、この中でいちばんトラブルに強そうな人は誰ですか。
岩田くんかな。岩田くんは硬派で、優しくて、土壇場で何かあったときには手を差し伸べて引っ張って助けてくれそうな雰囲気がありました。あまり動じないというか、現場での姿勢を見ていて、頼もしそうな人だなと。
――では、全キャストの中で最もハイだった人は?
六角さんですね。現場では、かなりやる気がみなぎっていて。マグロの解体ショーに挑戦するシーンがあるんですけど、そこも命懸けで頑張っておられるように見えました(笑)。
――マグロの解体ショーといえば、『ハケンの品格』の大前春子の特技のひとつ。篠原さんが先輩ですね。
そうなんですよ。私の方が上手なはずなんだけどな〜と思って見ていました(笑)。そのシーンでは、六角さんは準備段階からずっと現場についていて、真剣そのものでした。出来上がりもすごく面白いものになっているので、ぜひ注目してほしいです。
――本作は次から次にいろんなトラブルが発生しますが、篠原さん自身のトラブルやピンチに関するエピソードは何かありますか。
3年前に『アンナ・クリスティ』という舞台をやっていたんですけど、本番中に台詞を忘れたときはどうすればいいかなと思って。たぶん1分半くらい無言でした。
――えー。大ピンチじゃないですか。
相手役の方がフォローしてくださったおかげで、次の台詞が出てきて、なんとかそのまま進みましたけど、あのときはざわつきましたね。私の中では1分半くらいに感じただけで、実際のところは何十秒かという感じだと思いますけど、それ以上に長く感じました。
――それはめちゃくちゃ肝が冷えますね。
だから怖いんです、舞台は(笑)。でもそういうことを経験すると、次に同じようなことが起きたときはこうしようという対策ができるというか、どんどん機転が効くようになって、またひとつ怖いものがなくなるんですよね。だからどんなトラブルも経験だと思いますし、ピンチはチャンスに変わるんだと思って、なんでも飛び込んじゃうタイプです。
――篠原さん演じる中越にとっては、この披露宴が大仕事。篠原さんは大仕事を終えたとき、自分にどんなご褒美をあげるようにしていますか。
美味しいものを食べること。あとはお風呂に入ること。本当に平凡ですけど、そういうことでいいんです。
――今だったら何が食べたいですか。
お寿司が食べたいです。最近宅配サービスのメニューを見ていたら、たくさんのお寿司が載っていて、食べたいなと思いつつぐっとこらえているので。やっぱりお寿司はお寿司屋さんで食べたいんですよね。握りたてをぱっと食べてね。
――お風呂は何かこだわりがありますか。
最近はソルトの入浴剤を入れて、毛穴を広げて汗をかくようにしています。気持ちいいんですよね、あったまるし。バスタイムは好きですね。
自分が良く見えるより、みんなが良く見える方がうれしい
――中越は、あるウェディングプランナーとの出会いをきっかけに、ウェディングプランナーに転身しました。篠原さんは同じ女優さんの先輩で特に影響を受けた人はいますか。
素敵な方がたくさんいらっしゃいますけど、特に印象的なのは『北の桜守』でご一緒した吉永小百合さんです。いつまで経っても少女みたいな方で。あんなにすごい方なのに、絶対にえらそうにしない。現場でもずっと立ってらっしゃるんですよ。だから私も立っていたら、吉永さんが「私は立っていた方がいいだけだから、どうぞ座ってください」と優しく声をかけてくださって。すみません、じゃあってお言葉に甘えて座っちゃいましたけど(笑)。
お会いするまではどんな方なのかなとドキドキしていたのですが、本当に腰が低くて礼儀正しくて。すごい人ほど心まで美しいんだなと勉強になりましたし、私も見習わなきゃなと思いました。
――篠原さんも共演の関水さんからすると大先輩だと思うんですね。そうした年下の人と接するときに気をつけていることはありますか。
特にないんですけど、年齢とか男女にかかわらず、みんなが良く見えるようにというのは意識していますね。自分が良ければいいという考えは全然なくて。周りの人があっての自分だから。みんながそれぞれ主体となれる現場が私の理想なんです。
――自分が前に出たい気持ちがあんまりないんですね。
それはグループをやっていたときからずっとそうでした。だから今回のような控えめにしている役も全然苦じゃなかったし、自分が一歩下がることでバランスがとれて、いい作品になっているなら、それがうれしいというタイプです。
――今年に入って積極的に活動されていますが、こういう作品がやりたい、こういう方向に進んでいきたいというビジョンはありますか。
ないですないです。私はまだまだ役を選べるような立場ではないので(笑)。こうして求めてもらえることがいちばんありがたいなと思うんです。だから、私を必要だと言ってくださる方がいるなら、その想いに応えられるよう精一杯やらせていただきたいという、それだけですね。
――中越はNOと言わないウェディングプランナーですが、篠原さん自身もあんまりNOと言わないタイプなんですか。
言わないですね。NOと言ったら相手に悪いかなと思っちゃうので。なるべくNOと言わず、どんなこともYESと言う意気込みでやってきた気がします。
――じゃあ、そんな篠原さんのこれだけはNOですということは?
え〜、なんだろうな。若いときにバラエティでたくさん体を張らせてもらって、ありがたい経験をさせてもらったんですけど、鼻フックとか、人間ボウリングは、もうやりたくないかな。そういうことをやらないでいいように俳優業を頑張ってきたところもあるので(笑)、どうかNOでお願いします。
映画「ウェディング・ハイ」
3月12日(土)ロードショー
出演:篠原涼子 中村倫也 関水渚 岩田剛典
脚本:バカリズム
監督:大九明子
配給:松竹
(c)2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
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