「僕らが殺した、最愛のキミ」短期集中連載Vol.07 鈴木仁インタビュー

TELASAオリジナルドラマ『僕らが殺した、最愛のキミ』で、密室で事件が起き続けるも冷静でクールな“尾崎元(おざきはじめ)”を演じる鈴木仁。今作で新たな魅力が開花している彼に、撮影裏話や仲の良いキャストとのエピソードを教えてもらった。

取材&文/吉田可奈 撮影/佐野円香

「僕らが殺した、最愛のキミ」短期集中連載Vol.06 井桁弘恵インタビュー

――今作は密室でのノンストップミステリーになります。最初に脚本を読んだときにどんな印象を持ちましたか?

 

最初は5話までしか台本をいただいていなかったので、自分が演じる“元(はじめ)”という役に対して“すごく静かなキャラだな”と思っていたんですよ。さらに、10年ぶりに同級生と会った場面で、こんなにももどかしさを感じながら生きている人っているのかな、とも思ったんです。でも、そんな元の空気感や冷静さはすごく大切に演じていきたいと思っていました。こんな閉鎖空間の中で、あんなにも焦りを出さずに、冷静に1つ1つの物事を考えられる人はすごいですよね。その反面、何を感じながら生きているんだろうとも思いました。

 

――静かな人って、逆の怖さも感じますよね。

 

そうですね。ちょっと怖いですし、あんな状況下であそこまで冷静なのはおかしいですよね。

 

――それに、犯人が分からないからこそ、色々と想像を掻き立てるような余白のある演技をしていかなければならないのは、すごく難しかったのでは?

 

難しかったですね。なので、疑問に思ったことは素直に監督に聞いて、“僕はこう思っているから、このシーンはこうしたいんです”と話すようにしていたんです。監督はその度にしっかりと向き合って、具体的な回答をくださるので、それを頼りに真っ直ぐに演じていました。なので、自分だけのなかに抱えて複雑に考えないようにしていました。

 

――実際に、柴田啓佑監督にはどんな言葉をかけてもらっていたのでしょうか。

 

危機的状況だけれども、テンションは一定に保って欲しいと言われていたんです。とはいえ、人間って危ない状況になったらそう冷静ではいられないですよね。なので、つねに「ここはまだ冷静でいいんですか?」と確認しながら演じていました。そのたびに、「まだ周りの人たちが焦っているから、自分だけは落ち着いていようという精神でいて」と声をかけてもらったんです。さらに、ひとつの問いかけに対して、ひと言だけではなく、追加でふた言ほどちゃんと助言をくれるので、そのおかげで自分の気持ちに整理がついた気がしています。もちろん、監督からの言葉をそのまま参考にするというよりは、そこから自分で考えを持って、自分らしく演じるようにしていました。

 

――後半に行くにつれ、元の過去が描かれていきますよね。

 

はい。誰にでも言いたくない過去はあると思うんです。元も、忘れようとしても忘れられないので、ずっと自分の中で彷徨い続けていて。ひとつひとつの事柄に素直に感情を表せないんだと思うんです。どんなにうれしいことがあっても、100%喜べないのは、そんな過去があるから。その含みはしっかりと理解しながら演じるようにしていました。

 

――ドラマ自体はすごく重く、緊迫した空気が流れていますが、オフショットを見させてもらったところ、高橋文哉さんとはものすごくわちゃわちゃしている感じでしたね。

 

そうなんです(笑)。僕はカットがかかった途端に素に戻るタイプなので、文哉くんとは楽しく演じることが出来ました。

――フィーリングが合ったんですか?

 

そうですね。空気感がすごく似ているんですよ。キッパリしすぎないというか、ちょっとふんわりした雰囲気もそうですし。でも、性格を聞いてみると正反対でビックリしました。自分とは違う考え方を持っていたり、違う生き方をしていたのでそれがすごく面白かったんです。

 

――どんなところが正反対だったんですか?

 

これが、何に対してもなんですよ。好きな食べ物や趣味もそうですし、アウトドアかインドアかも違うし(笑)。ドラマの取材でインタビューや対談をしていても、話すことが全然違うんです。取材で”共通点や似ている部分はありますか?”という質問が何度かあったんですが、本当に空気感しか似ていなくて(笑)。

――そこまで違うのに、空気感が似ているのはむしろ面白いですね。

 

面白かったですね。第一印象から、空気感が似ているなって感じたんです。だから無理して言葉をかけたりしなくてもいいんだろうなって思っていたんです。どうしても、最初って相手との距離を測りますよね。文哉くんに対してはそれがなかったので心地よくて、すごく演じやすかったです。

 

――今作では鈴木さん、古川さん、大原さん、と『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』で共演したキャストも多く出演していましたが、現場でのコミュニケーションはどのように取っていたのでしょうか。

 

『3年A組』を撮影していた時は、(若林)時英と(古川)毅も、役としての席順がすごく近かったんですよ。そのころから3人で絡んでいたんです。なので、今作でもクランクインからすごく楽しかったですね。「久しぶり!」って言い合える感覚がすごくうれしかったですし、お芝居のリズム感もわかっているので。

 

――すごくいい繋がり方ですよね。

 

そうですね。『3年A組』で演じていた役の距離感も近かったんですよ。毅はヤンキー軍団にいて、僕は全体を俯瞰できる役で。さらにクラスの盛り上げ役が時英だったので、きっとキャスティングの方が持っている僕らのイメージがそうなんだろうなとも思いました(笑)。

 

――あはは。パブリックイメージがそうなんでしょうね。

 

そう思います。なので、この先どんなドラマや映画で共演させていただく機会があっても、この3人が絡むときっとこうなるんだろうなと(笑)。でもだからこそ、『3年A組』とは違いを出さないと、視聴者の方に既視感があるように映ってしまうと思っていたんです。ただ、その作業は決して難しいことではなくて、むしろ楽しかったんです。(大原)優乃ちゃんも3回目の共演になるんですが、今作ではじめて話しました(笑)。そのくらいみんなとの距離が近かったですし、しっかりお芝居ができたので楽しかったです。

 

――たしかに鈴木さんって、クールな役をよく演じていますが、お話をしていると、ふんわりしていますよね。ご自身のなかで、周りからの目と、自分とのギャップを感じることも多いのではないでしょうか。

 

そうですね。でも、そのほうが僕は楽かな。むしろ、めちゃくちゃ明るい役のほうが、難しいかもしれません。

 

――そういう意味では、自分を鍛えるためにも時英さんがやっていた大翔役にチャレンジしてみるとか?

 

どうですかね~難しいだろうな〜(笑)。でもドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』で演じた一役は、どちらかというと明るいタイプだったので、自分自身、すごく模索しながら演じました。それに、当時はまだお芝居を始めたばかりだったので、すべてが探り探りだったんですよね。いまだったらもっと楽しめるし、もっとこうしたいというイメージが湧くと気がするので、またあんな色男の役が出来たら楽しそうだなと思っています。

 

――そういう意味では、今回の元役はかなりの挑戦ですね。

 

そう思います。きっと、こういう役の僕を見たかったというファンの方も多かったんじゃないのかな、と自分では思っています(笑)。また今作で僕の新たな一面を見てもらえるはずなので、いつもとは違う鈴木仁だね、と感じていただけたら、苦手な血のりの中で奮闘した甲斐があります。みなさんの見終えた後の感想を、いまからすごく楽しみにしています!

「僕らが殺した、最愛のキミ」短期集中連載 Vol.01 キャスト全員集合インタビュー

 

 

鈴木仁(すずきじん)●1999年7月22日生まれ。2017年にドラマ『リバース』で俳優デビュー。2018年にドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』に出演し話題に。2020年に映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』で映画初主演を務める。現在は配信中のドラマ『ギヴン』で主演を務めている。

<ドラマ情報>

TELASAオリジナルドラマ 『僕らが殺した、最愛のキミ』
【第1話〜第5話】配信中(※第1話は無料配信)
【第6話】 2021/10/08(金)20:00~
https://www.telasa.jp/series/11875

 

 

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