頓知気さきな「私の歌声が好きだと言ってくれるので少しだけ自信を持てるようになりました」

グラビアやセルフプロデュースユニット：femme fataleやモデル、グラビアで活躍する頓知気さきながソロデビュー！ キュートな歌声をエレクトロポップに乗せた新境地の胸中は！

 

取材＆文／高木“JET”晋一郎　撮影／シオヤミク

 

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――ソロデビューおめでとうございます！

ありがとうございます！ 1年ほど前から準備を重ねていたので、今回はお歌でのソロデビューという形になってすごく嬉しいです！

――デビュー作「U.M.A／Himitsu」はパソコン音楽クラブが楽曲制作を手掛けました。

もともとパソコン音楽クラブさんの曲が好きで、2018年ぐらいからずっと聴いてたんです。特に今年リリースの「FINE LINE」がすごくポップで、「めっちゃ素敵！これ、私っぽくない！？」と思って、楽曲のプロデュースをお願いしました。（femme fataleでの活動も含めて）今までの私のイメージと繋がりながら、でも確実に違うものが作りたいと思ったときに、パソコン音楽クラブさんならその部分を引き出してくれるんじゃないかなって。

――ソロという新しい動きでありつつ、これまでの「頓知気さきな」とも繋がる部分を大事にしたかった？

ずっと応援してくれている人や、ファンを置き去りにするようなことに、興味がないんですよね。自分のやりたいことだけをやって「尖ってる」みたいなのは、あんまり好きじゃない。それは音楽もそうなんですよ。色んな人の意見を取り入れたり、「私に対するイメージ」を大事にしながら、一曲一曲を大切に作って、その中で「尖る部分」を作っていきたいんです。

――デビュー作は対称的な2曲で構成されていますね。

おふたりとお話する機会があったときに、「1曲はアップテンポな乗れる感じで、もう1曲はおふたりの思う私のイメージで好きに作ってください！」とお願いしました。今考えるとすごくザックリしてますね（笑）。そのリクエストをもとに完成したアップテンポな曲が「U.M.A」、私をイメージして作ってくださったのが「Himitsu」でした。

――「U.M.A」はMVも含めて、すごく可愛らしい楽曲になっていますね。

縦ノリで明るくて、「ウェイ！」っていうより「イエイ！」ですね（笑）。ピコピコした始まりが本当にワクワクするし、サビの音階の疾走感とか、言葉がスタッカートで刻まれる感じとか、歌っていてもすごく楽しいです。

――「揺れる心」のような歌詞も印象的でした。

アイドルだから、いわゆるラブソングじゃなくて、恋愛未満ぐらい、「恋愛なのかな、それとも別のことなのかな」みたいなふわっとした、掴みどころのない歌詞が欲しいですとお願いしました。ラブソングを聴くのは好きなんですけど、自分がストレートな恋愛を歌うのはちょっと違うなと思うし、ソロだからっていきなり恋愛の曲を歌ったら、ファンのみんながショックで寝込んじゃうかなって（笑）。パソコン音楽クラブさんの歌詞も、言い切らなかったり曖昧な部分があるし、それが私も好きな部分でもあったので、その２つが重なる歌詞、みたいな。そうしたら、気持ちをUMA（未確認生物）に例えた歌詞を書いてくださって、それがすごく可愛いくて素敵でした。

――「Himitsu」はメランコリーな心情が歌われますね。

なんで私をイメージしたら「Himitsu」になったんだろう……理由は今度会ったときに聞いてみます（笑）。この曲のサビは、「メロディを繋げながら半音ずつ上げ下げして欲しい」と言われたんですけど、それを歌うのが本当に難しくて！　普通に歌うと下がりすぎてるみたいで「もっとなめらかに、波打つみたいに」と……どうしたらいいんですかね？

――僕に聞かれましても（笑）。

そのニュアンスを表現するのが難しくて、レコーディングでは何十回と歌い直しました。ライブに向けて、歌いこんで練習しました。

――パキパキした「U.M.A」と、物憂げな「Himitsu」、どちらの方が自分に近いと思います？

難しいな～。「U.M.A」みたいな明るい方が好きなんですけど、自分のマインドや気分は「Himitsu」に近いのかな。だから、この二曲の両方が自分の中にあるなって思うし、「なんでそんなに私のことを知ってるの？！　2〜3回しか会ってないのに！」って（笑）。

――パ音さんは「頓知気さんのキュートな声を活かすことができたと思います」とコメントを寄せています。

でも自分の声があんまり……というか、昔からコンプレックスなレベルで嫌いなんですよね。中学生ぐらいのときに録った自分の声を聴いて、「なにこれ！」って。それからずっと苦手で。

――そうなんですか？　本当に素敵な声だと思いますよ。

歌声が特に嫌いなんですよね。自分の歌声を聴くと「うわーっ！」て思います。鼻にかかってる感じも好きじゃない。多分、呼吸が苦手なんですよ。

――それはもはや生命体として心配（笑）。

だから口元を大きく開けたり、腹式呼吸にしたり、ちょっとずつ努力しながら、自分の声をもっと好きになれるように成長したいと思っていて。ジョギングとか筋トレ、姿勢矯正もボイトレの一貫としてやってみて、そしたら痩せました（笑）。

――思わぬ健康効果が（笑）。

あと、ファンの方がお世辞じゃなくて「私の声が本当に好き」とか言ってくださるので、それでだいぶ自分の声を許せるようになりましたね。お褒めをいただいてることで、かろうじて歌手を続けられてる感じです（笑）。ライブの回数が増えたのも影響してるかも知れない。今年はソロでのライブも始まって、歌う回数や練習する時間が増えたからか、ちょっとずつ声が変わってるのかも。いつも仲良くしてる子とかに今回の曲を聴かせても、「いつものトンちゃんの声とちょっと違うね、いいね」と言ってくれたり。それが自信にもなってます。

――2023年は、初のソロでのライブとなった生誕祭「頓知気さきな生誕祭 2023 －今日から本気出す－」を開催、そして定期ライブ「頑張ります」も行われていました。

できれば毎週ライブしたいぐらいなんですよ。2ヶ月に1回ぐらいだと、一回にかかるプレッシャーが大きいし、緊張しちゃって、実力もそんなにないのに、その実力以下しか出せてないな……と思うことが多くて。もちろん成長は感じてるんですけど、三歩進んで二歩下がるみたいに思うから、実力を高めるためにも、もっと回数を増やしたいし、ファンの皆さんにも会える機会を増やして、恩返しがしたいんですよね。そして、その先に大きな場所でのライブがあると嬉しいなって。

――それぐらいモチベーションが高まってるんですね。

本当に2023年は充実した年だったんですよ。お歌をソロで出せたのはもちろん、自分で描いた絵がグッズになったり、衣装のデザインができたり。今までやろうやろうと思ってたけど、なかなか動けなかったことが、たくさん実現したんですよね。特に自分で描いた絵がグッズとして形になったのはすごく嬉しくて。元々、絵を描くことが大好きだったし、絵を描く人になりたかったんですけど、挫折しちゃって、筆が持てない、持ちたくないという時期が長くあったんですね。

――それはなぜ？

変に完璧主義者なんですよね。絵を描いても、完璧主義だから中途半端なものは出したくない、でも自分の持ってる理想やイメージを実現する実力と体力を持ち合わせてない、だから描いても描いても納得できない……変なループに入って、絵を描くのが怖くなっちゃって。でも「iPadなら大丈夫かな」と、リハビリみたいな感じでデジタルで描くことを一昨年ぐらいから始めて、やっと去年は鉛筆や筆でも描けるようになって、グッズの制作もできるまでになったんですよね。だから、今年はもっと色んな絵が描けたらと思うし、自分のイメージするものや考えてたことが具体化するのは、本当に楽しい作業だと改めて気づきました。そういうことも含めて、人生でこんなに楽しかったことはないかなぐらい、生きがいを感じられた1年だったし、そうやって2024年もいろんなことを形にしていきたいなって。

――グラビア活動も再開されましたし、来年はもっと頓知気さんの姿を拝見する機会が増えそうですね。

写真にもチャレンジしたい！　撮られるのも好きですけど、撮るのも好きなので、写真をちゃんとやってみたいな。あと、なんか恥ずかしいけど、来年はお芝居も頑張ってみたいですね。ちょっと演技には苦手意識があったんで、すこし自分から遠ざけてたんですけど、やれるんだったら頑張ったほうがいいよねって、今回のソロデビューを機に思うようになりました。本当にゼロからのスタートを切ったような感覚があるし、できることはなんでもやらなくちゃ！チャレンジしてみる価値は絶対ある！と前向きに思えてます。そして、そういう動きが、音楽に還元できればもっと嬉しいですよね。

――音楽活動は頓知気さんにとって、これからも大きなファクターになりそうですね。

もちろん！それぐらい、お歌でソロデビューできたことが嬉しいし、来年はもっと自分のソロ曲をリリースして、アルバムのリリースにもたどり着きたいし、アルバムのリリースライブもしたい。本当にいろんな表現に対して、熱量を持って、熱意的にやっていきたいです！

頓知気さきな（とんちき・さきな）●2000年3月6日生まれ、大阪府出身。実姉の戦慄かなのとのユニット：femme fataleとしてデビューし、「青春高校3年C組」（テレビ東京）へもレギュラー出演。頓知気さきなカレンダーブックが2月9日に発売。