現在オンエア中のドラマ「村井の恋」（TBS系）への出演や、話題の映画への出演も次々と発表されている森崎ウィンが、シンガー・MORISAKI WINとして新曲『My Place, Your Place』を発表した。ドラマ、映画、舞台、シンガー、どんな場所でもオリジナルな魅力を発揮する表現者・MORISAKI WINのクリエイションの根源にあるものとは。新曲の話題に加え、いま、彼がどハマりしているというキャンプの話まで、たっぷり話を伺いました。
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取材＆文／吉田可奈 撮影／佐野円香
――新曲『My Place, Your Place』は、本当に美しい曲ですね。
ありがとうございます。今年に入ってからすでに2曲連続でシングルをリリースしているのですが、1曲目の『anymore』では、ADM（アコースティックダンスミュージック）の楽器の音の美しさをがっつりと聴いてもらい、『Live in the Moment』ではダンスチューンを取り入れたんです。だからこそ、3曲目となる『My Place, Your Place』ではミディアムチューンを選び、MORISAKI WINの“歌”を聴いてもらえたらいいなと思ったんです。
――とてもキャッチーでありながら、すごく繊細な曲ですよね。
そうなんです。実はすごく難しい曲なんですよ。でも、いざ仕上がりを聴いたら、かなりいいバランスになり、抜け感もあったので、安心しました（笑）。
――これまで、いろんな経験を重ねてきたからこそ、様々なジャンルを楽しみながら歌えているのではないでしょうか。
まだまだ、そこまでハッキリとは言えませんが、確実に引き出しが増えているので、レコーディングも板についてきているのかなと思っています。それに、曲を分解して、俯瞰で見ることができるようになってきたので、より歌うことが楽しくなりました。
――リリックはすごくかわいらしいですよね。
サビには、思わず赤面しちゃうようなフレーズが並んでいるんです（笑）。かわいい曲を歌うのって、結構照れるんですよ。ただ、面と向かって発せない言葉でも、楽曲に乗せると伝えられるんですよね。ある種、お決まりのフレーズが並んでいるように見えるかもしれませんが、それをあえてサビ前に“あの台詞を言うよ OK？”って前置きしているところがオシャレですよね。
――このストレートな言葉を、いまの年齢のWINさんが歌うのと、例えばもう少し年齢の若い時代に歌うのとではまた感覚は変わってきますよね。
そうですね。レコーディング中は、イヤフォンを通してこの曲を聴いた人の鼓膜を優しく包んであげたいなって思いながら歌っていて。1年前の僕は、歌詞のワードを追って歌うことに精一杯だったんです。いまはそれ以上に、“届いた先にこうあってほしい”という想いを技術的に乗せることが出来るようになったのは進歩だと思います。
――シンガーとしてはもちろんですが、役者・森崎ウィンとして日常的にお芝居をしているからこそ、言葉の発し方、意味をより大事にされているのではないでしょうか。
それはすごくあると思います。ただ、投げかけられた言葉だけを紐解き始めると、いつまでも正解が出ないことがあるんですが、そこにメロディが加わり、声のトーンを乗せると、ニュアンスごとに届けられるようになるんです。それは音楽も芝居の台詞も一緒なんですよね。だからこそ、言葉を発するときは、声のトーンや、響き方を重視することを大事にしています。たとえば、ねっとり歌ってみたり、優しく囁いたり、苦しくないところもあえて苦しく聴かせてみたりなど、それぞれ使い分けて、起承転結を意識しています。
――タイトルの『My Place, Your Place』というワードもすごく素敵ですが、どのような意味を込めたのでしょうか。
僕にとって、レコーディングしている風景や、MORISAKI WINとして何か発信しているところが“僕の場所”なんです。でも、この場所って、僕の場所であり、あなたの場所でもあるんですよね。応援してくれるファンたちの場所でもあるからこそ、このタイトルにしたんです。僕は性格上、ファンに向かって“あなたのために歌っています”って言えなくて（苦笑）。
――あはは。
僕が歌っているときにどんなことを思い浮かべているのか、想像しているかを考えながら、ぜひ聴いてもらいたいんです。一見ラブソングに聴こえますが、親への感謝を伝えるための曲でもあれば、I Love Youを紐解くとこれだけの言葉がいっぱい出てくるというような曲でもあるので、聴いている人によって、響き方が変わってくるのかなと。
――ファンのみなさんはストレートに言ってもらえたら嬉しいと思いますが…。
安易にそういったことが言えなくて…。ひねくれているんですよね、僕。でも、喜んでもらえるなら、そういうことだって言っておきます（笑）。
――はい（笑）。さて、活動をする上で、WINさんが大事にしている場所はどこでしょう？
僕は役者という仕事柄、作品に入っている期間は毎日いろんな場所に行くのですが、かなり孤独な瞬間が多いんですよね。ただ、音楽を作っているときは、100％自分の感覚があるんです。なので、このアーティストとしての場所がなかったら、自分が壊れてしまう気がしていて。芸能界のお仕事って楽しいことも多い分、やっぱり不安定だったりするじゃないですか。だから自分を100％表現できる音楽って、すごく支えになるんです。ただ、役者としての仕事が好きすぎて、ついつい詰め込みすぎてしまう傾向にあるんですけどね（笑）。
――はたから見ても、とにかく休みなく作品に出演されているイメージです（笑）。
求められているうちが華ですから（笑）！
――いまはドラマやミュージカルなどお芝居でも大活躍でどんなにお忙しくても音楽活動をするのは、絶対に大事にしたい場所だからなんですね。
そうですね。まだ世に出していない自分の世界観というのはまだまだあって、それをどんどん音楽という形で送り出していきたいんです。ちゃんと時間をかけ、自分と向き合いながら、かつ、周りの皆さんの協力あってこそ、ありがたいことに“森崎ウィン／MORISAKI WIN”というブランドができているんです。凝ってしまうのでどうしても時間がかかるのですが、これからもずっとやり続けていきたいですね。もちろん、役者は役者でおもしろいことがたくさんあるんです。ただ、やはり“役”は自分のものだけではなく、みんなの物ですし、みんなでひとつの物を作っている感覚があるので、歌とはまた違うんですよね。
――いまはその2本の柱があるからこそ、自身を保てているんですね。
そう思います。
――ちなみに、次はどんな曲に挑戦してみたいですか？
う～ん。新しい挑戦って予算がかかるんですよね…。
――急にお金の話！
もう大人ですから（笑）。現実的なところを見ずに無い物ねだりをするアーティストではありたくないので、できる限りで最大限の挑戦をしていきたいんです。言ってしまえば、僕はどこだって歌えるし、“これがないとダメ”という感覚はないんです。いま目の前にあるものを最大限に使えば、良質なエンタメが作れると信じているんですよ。それに、僕は画面いっぱいに何かを映しているときに、その奥にある小物などに意味を見出して感動するタイプで。前面にあるものって、みんなが見ているから、感動するのは当たり前。でもそうではなくて、その周りにあり、意味があるものに注目したいんです。だからこそ、僕も作品を作るときには、“ここは見えないからいいや”ではなくて、“こんなところにまでこだわっているんだ”と感じてもらえるものを作りたいんですよ。それが僕にとっての、見てくれる人たちへの礼儀なんです。
――絶対にこだわり抜きたいし、いまあるもので最大限のものを作りたいと。
はい。それに、いまはみんながセルフプロデュースができる時代。自分でパフォーマンスができて、動画も編集も、脚本さえもやれてしまうんです。だからこそ、自分もちゃんと判断して、良いものをちゃんと作り上げていきたいなと思っています。
――さて、ミュージカル『ピピン』の上演も控えていますが、ミュージカルに出演することでアーティストとしても相乗効果もあるのではないでしょうか。
そうですね。ミュージカルの場合は、原曲のキーがあって、そこに合わせて歌えるようにならなければいけないので、自然と引き出しが増えていくんです。最初は難しいと思っていたことも、挑戦していくうちにだんだん自分の物になって、身についてくるんですよ。さらに舞台の本番中は毎日芝居をすることになるので、瞬発力、対応力が確実に上がるんです。それに、人前に出るという、非日常的なことを毎公演やっていると、いい意味で慣れていくんですよね。場所によっては何千人のパワーを受け取り、押し返すということが必要になってくるんです。それって、“いますぐやって”と言われてやれるものではないんです。そのスイッチの入れ方が分かってきたように感じます。
――日々のハードスケジュールをどんな方法でリフレッシュをしていますか？
ソロキャンプです。自分のテントや道具などに、かなりこだわっていって、買ったはいいけど、使ってないものまでいっぱいあります（笑）！
――いつ頃からハマりはじめたんですか？
2021年の11月からです。さっきも取材の合間に、春夏用の寝袋を買いました（笑）。
――特にお気に入りのギアはありますか？
最近買ったのは、ユニフレームさんが出しているスキレットです。これが本当に最高でしたね。７インチなので、ソロキャンプにはちょうどいいサイズなんです。それで炒めたり…あとは炒めたり…。炒めるしかないか（笑）。
――煮たりもできますね（笑）。
そうでした、煮たりもできます（笑）。しかもIH対応なんですよ。さらに何が良いって、買ってすぐに使えるんです。こういった道具ってシーズニング（錆止めの油やワックスなどを除去する作業）をしなくちゃいけないんですが、これは加工がしてあるので、料理が終わったら油を塗るくらいでよくて。手軽なのもいいんですよね。
――でも、11月から始めたのならものすごく寒かったのでは？
寒かったですね。最高でマイナス6度でのキャンプを経験しました。でも、僕は灯油ストーブをもっているので余裕です！ 一番大変だったのが、トレーナーさんと行った静岡のキャンプ場でした。当日、雪が積もっていたので雪かきから始めたんですよ。でも、それさえも楽しくて！
――ものすごい熱量で驚きました（笑）。
いま、一番ハマっています！（笑）。
――思いがけずキャンプへの思いをかなりの熱量で語っていただきました。最後に『My Place, Your Place』のリコメンドを同じくらいの熱量でお願いいたします！
『My Place, Your Place』に出てくるような言葉を照れ臭くて言えない人も多いと思うんです。僕もそうですし（笑）。なので、例えば伝えたい思いがあるときにこの曲を言葉の代わりに流してくれたりとか、その思いを伝えたい人の前で歌うのもオススメです。
MORISAKI WIN『My Place, Your Place』
iTunesほか各種配信サイトにて配信中
詳細はこちら→https://columbia.jp/artist-info/morisakiwin/
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