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ホラーアニメ『整形水』人間食べ食べカエル 鑑賞レビュー! 「美」への限りなき欲求が女を狂わせる整形サイコホラー

文/人間食べ食べカエル

誰も予想できない…! 韓国映画特有の「ジャンルを越境する衝撃の展開」に驚愕!


 美しさに憧れを抱く人は少なくない。整形技術は、自らの見た目にコンプレックスがあり、美しい外見を求める人たちにとって大きな救いとなる。だがその一方で整形失敗などのリスクもある。整形大国として知られる韓国から、そういった整形文化を題材にしたホラー作品が誕生した。それが現在公開中の映画『整形水』である。

 自身の見た目に強いコンプレックスを抱く女性・イェジ。彼女は人気タレントのメーク係を職業としているが、日々タレントから罵倒される、SNSでは誹謗中傷を書かれるなどの仕打ちを受け、自暴自棄になりつつあった。そんなある日、イェジのもとに「整形水」と呼ばれる商品が届けられる。それに顔を浸せば顔が柔らかくなって自由自在に顔の造形を変えられるというのだ。しかも副作用はないらしい。イェジは、物は試しと早速それを使う。すると、なんと本当に美貌を手に入れることが出来た! 彼女はそれから人生が変わったように華やかな日々を送り始める。想像を絶する地獄が待ち受けていることも知らずに……。

 本作は、LINEマンガで連載されるホラーオムニバスシリーズ『奇々怪々』の一編が原作である。原作ではまだマイルドだったキャラデザインは、映像化されるにあたりやたら生々しくなっている。それと同時に登場人物(特に主人公)のクソ性格ぶりもパワーアップ。自身がメークを担当するタレントの罵倒をSNSに書き殴って喜ぶのは序の口。彼女の両親に対する扱いも引くくらい酷くなっている。彼女を取り巻く人間たちも、両親を除いて軒並みヤバく、人間関係が完全に生活習慣の終わった人の血液くらいドロドロしている。これまで数多くの映画を観てきたが、ここまで人間ドラマが混沌としている作品は中々ない。整形水が出てこなくても十分すぎるくらいに恐ろしい。だがそこに整形水が加わる事で、目を疑いたくなるような惨劇が繰り広げられることとなる。

                                                   

整形水書影

©️Osd/LINE Digital Frontier

作品名:『奇々怪々』​
作者:​Osd
あらすじ:あなたの身の回りでも起こりうる奇妙で不思議な物語。背筋がゾッとする話や、心霊現象など、いろんなミステリーが集まったオムニバス形式のスリラー漫画。

                                                                    

 整形水は、あらすじのくだりで書いた通り、それに顔や体を浸すとその部位が柔らかくなって、自由自在に造形を変えられるという代物だ。副作用はないと謳っているが、実のところ使い方を誤ってしまうと、思わず目を覆いたくなるようなおぞましい肉体変容が待ち受ける。案の定、劇中で整形水が正しく扱われることはないため、「アニメだからギリギリ何とかなっているけど、これ実写でやってたら間違いなく即発禁ですよ!」と言いたくなるハードコアな映像がガンガン飛び出す。肉体がドロドロに溶け、そして醜く変り果てるビジュアルはトラウマ必至。性格極悪人間たちの醜悪極まりないドラマとの相乗効果で、並のホラーでは太刀打ちできない恐ろしさが生み出されている。

                                                  

 整形水を巡る地獄絵図だけが本作の全てではない。それを凌駕する、とあるサプライズが待ち受ける。最初に鑑賞した時は思わず口が開いてしまった。まさか、あんな想像の斜め上を行く見せ場が出てくるとは……。韓国映画の特徴の一つがジャンルを越境する展開だ。代表的なところで言うと、サスペンスかと思ったらハイパー車上バトルが飛び出す『殺人の告白』や、サイコスリラーかと思ったら超人同士の肉弾バトルが繰り広げられる『悪魔を見た』あたりだろうか。そして、本作にもジャンルを越境する凄い展開が用意されていた。やはり韓国のエンタメは、いつもこちらの予想を超える驚きを見せてくれる。美への欲求は誰もが持つものだが、あまりにそれを追い求めすぎると悲惨な地獄が待ち受ける。それを見事なイマジネーションをもって嫌というほど伝えてくれる。3Dアニメーションと独特なキャラデザインのコラボレーションによってインパクト抜群の恐怖が実現した。原作のファンはもちろん、ホラー映画好きにもおすすめの作品だ。

                                                  


■公開情報
『整形水』
9月23日(木・祝)全国公開
原作:オ・ソンデ(LINEマンガ『奇々怪々』内「整形水」)
監督:チョ・ギョンフン
提供:トムス・エンタテインメント
配給:トムス・エンタテインメント/エスピーオー
2020年/韓国/85分/カラー/ビスタ/5.1ch/英題:Beauty Water/翻訳:小西朋子/PG12
(c)2020 SS Animent Inc. & Studio Animal &SBA. All rights reserved.
公式サイト:seikeisui.jp
Twitter:@seikeisui


【筆者プロフィール】
人間食べ食べカエル
●Twitterで人喰いツイッタラーをやっています。ID @TABECHAUYOで検索すると出てきます。他には、映画秘宝様やciatr様等にも寄稿しています。人が食べられる映画が大好きで、1番お気に入りは「ザ・グリード」です。これを観ると物凄く食欲が湧くんですよ。

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