サンドウィッチマンが声の出演! 被災地への思い、芦田愛菜との共演、そして体への気遣い…映画『岬のマヨイガ』

かのジブリ映画『千と千尋の神隠し』にも影響を与えた児童文学「霧のむこうのふしぎな町」など、長く愛され続けるベストセラーを数々持つ、柏葉幸子による同名小説をアニメーション映画化した『岬のマヨイガ』。震災後まもない岩手を舞台にしたこの作品では、サンドウィッチマンの伊達みきおと富澤たけしが、なんと“河童”役で登場! 『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)で共に司会を務める主演の芦田愛菜と、今度は声の共演を果たした。そんな芦田とのエピソードや復興が進む被災地に届けたい作品への思い、そして超多忙な日々でも気遣う(?)健康についてもうかがった。

取材・文/折田千鶴子 撮影/ツダヒロキ

<作品情報>

『岬のマヨイガ』

原作/柏葉幸子 監督/川面真也 脚本/吉田玲子 声の出演/芦田愛菜 粟野咲莉 伊達みきお(サンドウィッチマン) 富澤たけし(サンドウィッチマン) 宇野祥平 達増拓也(岩手県知事) 天城サリー 大竹しのぶほか

  • ある事情で家を飛び出した17歳のユイ(芦田愛菜)と、両親を失ったのを機に声を失った8歳の少女ひより(粟野咲莉)。居場所を失った2人は避難所で、ふしぎなおばあちゃん・キワさん(大竹しのぶ)と出会い、海を見下ろす岬のふしぎな古民家“マヨイガ”で一緒に暮らすことになる――。

©柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員会

8/27(金)全国ロードショー

配給/アニプレックス

 

2人だけでほぼすべてアドリブのアフレコ

――河童役でオファーを受けた心境は?

伊達 わ、河童なんだ、って。

富澤 ふふっ(笑)。

伊達 岩手が舞台の物語で、(芦田)愛菜ちゃんが主演の映画に出演できるのは、嬉しかったですよ。

 

富澤 最初はホラー映画なのかな、と。妖怪がたくさん出てくる怖い映画かと思ったら……。

伊達 こんな、ほのぼのとした映画で。

富澤 しかも、この河童、ピンクだってことにビックリしちゃって。だってピンク!?

伊達 ピンクだよ! ちゃんと皿だって頭に乗ってるし。

富澤 でも普通は緑だよね。

伊達 それより富澤だって太ってるのに、なんで俺の河童だけ太っているんだよ、と思いました。

富澤 他の河童はみな痩せていて、ほぼほぼ容姿が似てるのに(笑)。

 

伊達 だから映画を観た時、“これが俺だ”って分かりやすかったけどね。うちの娘が、まだ僕が喋る前に“パパ、あれじゃない?”って分かってましたから。この役にピッタリだったということですね(笑)。もう愛着が沸いちゃって、何度も巻き戻して観ちゃって、自分大好き状態になってました。

富澤 むふふ(笑)。

伊達 お前は声に特徴あるから、すぐわかるけどさ。

富澤 この河童たち、カルボナーラ食べるんですよねぇ。普通はキュウリだけですよ。

伊達 東北には河童の伝説が色々あるので、本当に河童っているんじゃないのかとずっと思っていたくらい、実はとても身近な存在だったんです。

――登場する6、7人の河童たちの掛け合いが、とてもユーモラスで面白かったです。どのような形でアフレコをされたのですか?

伊達 僕らは2人だけで。河童みんなでワイワイやるシーンは、完全にフリーでした。

富澤 台本には、あの場面は何もセリフが書かれていなかったから。

伊達 ほぼすべてアドリブというか。15分くらいずっと2人で、フリーで喋っていた感じです。しかも、まだ鉛筆で書いてあるだけの絵コンテ状態で(笑)。楽し気な感じで、くらいの指示でした。声色は何パターンか撮った気がしますが。

富澤 適当に喋っていたので、何を喋ったのかまったく覚えていないんです。

伊達 どこを使われるのかも分からないまま、ただ喋っていた。でも愛菜ちゃんにも“そこが面白かった、吹き出しそうになっちゃった”と言われた。自分で観ても、ちゃんと面白い感じになっていて良かったです。

――(スタッフから、他の河童の方々は2人の録音を聞いてアフレコに臨んだという話があり)、お2人が一からアドリブで作り上げたなんて、スゴイですね!

伊達 15分喋り続けるのは、多少苦ではありましたが。ハハハハハ(笑)。

富澤 完全に俺らはゼロ状態から話し始めたからね。でも15分フリーで話すなんて、そんな驚かれることかなぁ(ドヤ顔)。

伊達 なるほど、つまり僕たちが柱になっていた、ということ?

富澤 やはり、僕らが河童の柱だったんでしょうねぇ。ふふ(笑)。

伊達 それはないと思いますけどね(笑)。

2人 ハハッハハ(笑)。

 

 

“自分だけがなぜ生き残ったのか”と思われた方にもぜひ観てほしい

――途中、被災地で頑張って生き抜こうとしている人たちが、それでもフッとした瞬間に悲しみや絶望が漏れてしまう。それを小さな化け物が喰って巨大化する展開になります。ずっと被災地に寄り添ってきたお2人は、この物語をどのように受け止めましたか。

伊達 物語の背景は震災から間もない頃ですが、10年経った今なお、不安や悲しみの感情を一杯抱えている人は、まだまだたくさんいる。普通に道を歩いている人が、ふとした拍子にそんな気持ちが出てしまう。心からポッと暗い花が咲き出すみたいに描かれているのが、すごくリアルに感じられました。その花をパクッと化け物に食べられてしまうわけですが、みんなまだ持ってるよな、と感じて。

富澤 現実には、相手は自然災害なので、その怒りをどこにぶつけたらいいのか分からないもどかしさがあると思います。でもこの映画の場合は、化け物という目の前に見える敵がいるから、そいつに怒りをぶつけられる。だから僕は逆に、こんな風に目に見える敵が実際にもあればいいのにな、と思いました。

伊達 映画でも描かれていますが、“自分だけがなぜ生き残ったのか”と思われた方も本当にたくさんいて。そういう方たちが本作を観てどう思うのかは非常に気になるところですが、あえてそうした地域で公開してほしいんです。どうしても色々思い出してしまうとは思うし、僕も思い出しましたが、これを観て一歩前に踏み出せるのかな、とも感じて。

――主演の芦田愛菜さんとは、この作品について何かお話をされましたか?

伊達 愛菜ちゃんからは、あまり話しかけてもらえないので……。

富澤 ムフッ(笑)。

伊達 本作の披露試写にメッセージを送ったので、“どうだった?”と聞いたら、“ありがとうございました!”で終わりました。あまり相手にされていない(笑)。

富澤 聞かなければ、言ってくれない(笑)。

伊達 いえ、本来とても気さくな子なので、一緒に一つの作品に参加できて僕らは嬉しいです。実はこの状況下で、『博士ちゃん』も愛菜ちゃんだけ別室でリモート参加なので、いつものように雑談が出来ない状態で。ただもう、愛菜ちゃんには感心しました。主人公のユイを演じていると知って観ているのに、愛菜ちゃんの顔を思い浮かべさせない。ちゃんと自分を消して声優に徹していて、本当に上手だなぁ、本当に何でも出来ちゃう子だなぁ、と。ちゃんと教えたこと、やってますね!

富澤 何も教えてないだろ!

伊達 ふははは(笑)。それに比べて僕ら河童は…。

富澤 一切、消せていないので。

伊達 その辺の差を感じましたね。キワさんを演じた大竹しのぶさんも、スゴかったですね。この優しいおばあちゃんに、本当に会ってみたくなりました。

 

超多忙・サンドウィッチマンの健康法!?

――お2人はもはやテレビで見ない日はないほどの大活躍ですが、先日は伊達さんが膀胱がんを告白されました。早期発見で何よりですが、多忙な日々の中で健康に心がけていること、あるいは反省点を教えてください。

伊達 反省しかないですね、もう。

富澤 気を遣っていることは、特にないですね。

伊達 確かに僕ら、気を遣ってない身体ですよね。病気が分かったときは、ものすごい猛省しましたが。お医者さんは喫煙者に対して、必ず煙草が原因だって言うので、その時は煙草を止めようと思いました。ホテルも禁煙部屋にしてもらって。でも執刀医が喫煙者で(笑)。しかも僕はダラダラ反省しないタイプなので、半年後には一人でそっとフロントに行き、“喫煙部屋に変えて”と頼んでいました。

富澤 その後、僕も1週間くらい血尿が続いたんです。尿路結石だったので、今は以前より水やお茶を飲むようにはしています。それ以外はもう、やりようがないんで。

伊達 元々富沢の方が病気がちで、僕がいつも心配している側だったのに、今回ちょっとデカいのが来たからね。今も早期発見は心がけています!

富澤 何かしら体がサインを出すので、それをちゃんと見るようにはしていますね。

伊達 ある番組で嫌というほど歩いているので、それを運動と見立てていますし。

富澤 でも、食べるので結局、太るんですよ。結果、体重も増えてる。

伊達 2万5千歩まで歩くこともあるのに。

富澤 4、5食、食べるので太るんです。

伊達 それを言ったら僕、入院して1㎏増えましたよ。医者に奇跡だって言われました。だって何を食べてもいいと言われたら、そりゃコンビニにも行きますよ。アメリカンドックとか食べていて(笑)。でも結局、ストレスが万病のもと。ストレスを溜めないことが一番ですからね!

富澤 結果、癌になってますけどね。

 

<プロフィール>
サンドウィッチマン●伊達みきお(1974 年9 月5 日生まれ。宮城県出身)と富澤たけし(1974 年4 月30 日生まれ。宮城県出身)の2人組コンビ。1998 年にお笑いコンビ・サンドウィッチマンを結成。長い下積み時代を経て、『M-1グランプリ2007』で敗者復活戦からグランプリを獲得。現在は数多くのテレビ、ラジオ番組に出演。故郷の宮城県で様々な親善大使なども務める。

 

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