桂浜水族館・おとどちゃん連載「みんな違って、みんないい加減にしろ。」その4

高知県桂浜にある小さな水族館から大きな声でいきものたちの毎日を発信!

桂浜水族館の広報担当・マスコットキャラクターのおとどちゃんが綴る、好評連載第四回!

前回分はこちらから。

写真&文/おとどちゃん
編集/西村依莉

「誰かさんが転んだ」

桂浜水族館には、現在三頭のカピバラがいる。カピバラといえば動物園にいるイメージが強く、

「桂浜水族館って水族館なのに、なんでカピバラがいるの?」

とよく訊かれるが、彼らは、前肢にも後肢にも指の間にしっかりと水かきがあり、漢名では「水豚」と呼ばれ、主に、アマゾン川流域を中心とした温暖な水辺に生息している。水族館にいても不思議な生きものではなく、これから先、何度「なんで水族館にカピバラがいるの?」と言われようとて、三頭が方向性の違いによって脱退することはない。

桂浜水族館にカピバラが仲間入りしたのは、平成二十九年八月、空と海が水平線を隔ててそれぞれの青を全うする夏の日のことだ。とくしま動物園から二頭の雌のカピバラがやって来た。長年、カピバラを仲間入りさせたいと思い続けていた七代目館長の念願が叶ったのだ。公式ホームページのインフォメーションにも、この日を心待ちにしていたのが痛感できる内容が掲載されている。

「カピバラ女子 カピィ&バァラ」――。

「カピィ」と「バァラ」と名付けられた雌二頭は、ある日、ひょんなことから、桂浜水族館に緊縛されることとなったお笑い芸人「南海キャンディーズ」の山里亮太さんも溺愛する存在となるのだが、まさかこの時、やって来た一頭がであると発覚するとは、誰も想像していなかっただろう。

カピバラはもともと性格が穏やかで人懐っこい生きものだといわれていて、二頭も、緩やかに流れる時間をここでのんびりと暮らしていた。館長は毎日のようにカピバラ舎に行き、二頭の身体を撫でたり、美味しそうにエサを食べる様子を見つめ、まるで我が子を可愛がるかのように二頭を愛でた。

事件は、二頭が桂浜水族館にやって来た年の暮れに起きた。

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