9月6日に開催されたこじらせオンラインライブ(ゲスト:ナイツ)の収録後のおしゃべりです。春からずっとZoomでの取材でしたが、この日は久しぶりに対面での配信&取材になりました。
構成/前田隆弘
Zoom飲み、本当にいいと思ってた?
──みなさん、対面でお会いするのはずいぶん久しぶりなんですよね。半年ぶりぐらい?
久保 半年ぶりですね。半年、まるっきり接触してないなら感慨ひとしおなんですけど、能町さんとは普通にZoomで接触してるし。
能町 LINEもしてるし。
ヒャダ プライベートでも、千葉さん込みでZoom飲みもしたし。
久保 今となっては、Zoom飲みが遠く感じます。Zoom飲みやってる時にちょっと思っていたんだけど、「きっとこれは続かないだろうな」って。「今、追い込まれたからやってるけど、たぶん日常化はしないだろうな」と思いつつ、やっていた気がする。でも「こういうのは絶対やらない」と思ってたから、あの頃は「意外とやれるもんだな」という感情のほうが勝ってたんだよね。
ヒャダ 今日、収録して思いましたけど、やっぱり話しやすさが圧倒的ですね。人間って実際に顔見て話すと話しやすい。
久保 オンラインだと、たとえば私が話してる時、2人とも黙るわけじゃないですか。あの時に自分の意見をずっと言ってると、「実はしらけてたらどうしよう」という不安がよぎる。さすがにこの関係には信頼を置いているけど、たまに「自分が一方的に話してるだけなんじゃないか」という恐怖に、ふと襲われます。
能町 みんなまっすぐ前を向いてるから、違和感があるんですよね。
ヒャダ 全員まっすぐ前を見て話すって、(対面の)会話のスタイルとしてありえないですからね。
久保 あと、終わった後のあっさり感。
能町 そう! いきなり放り出される。
久保 「今日はこれで大丈夫でしたかね?」「いや、面白かったですよ」とか言ってもらえると全然違うけれども、「それじゃあ」でバンと終わっちゃうと、スーン感が半端ないんだよね。でも終わってすぐ寝られるのはいい。
通話スタイルにも世代差がある
ヒャダ 電話が発明された時も、こういう話してたのかなって思います。
能町 そうかもしれない。「電話を切った時って、気持ち悪いよね」とか。
久保 「相手の顔も見ないで話すなんて」とか。でも私、いまだに(オンラインで)「見て話す」ということに慣れていないんだよね。
能町 街で、スマホにイヤホンつけて通話してる人いるじゃないですか。私、まだあれがダメなんです。でっかい独り言を言ってるみたいで。
久保 私も絶対ダメ。
能町 気持ち悪いなと思っちゃう。あれ、5年前にニューヨークで初めて見たんです。
ヒャダ 海外は多いですね。
能町 「海外ってこんなに平気で独り言電話で歩くんだ」と思っていたら、だんだん日本でもやる人が増えてきて。
久保 私、そもそも「自分の退屈な時間を埋めるために友達と電話をする」という文化がもうなくなったんだよね。帰り道、友達と用事もないのに電話するみたいなの。でも、今は(LINEなどで)無料通話ができるから、若い人は「用事がなくてもとりあえずつながりっぱなしで話す」という文化があるのかもしれない。自分の若い頃にそれがあったら全然違ったんだろうなって思う。
能町 若い子はそれやってますね。私も今はまったくないけど、若い頃は電話してましたよ。8時間くらい電話したことあります。
ヒャダ 長っ!
久保 でも長く話せる人とはそのくらい話すから、私もそういう時代はあったなと思う。
能町 「途中で寝る」とか「トイレに行く」とか、平気でやってました。携帯じゃないのに。
ヒャダ 家電(いえでん)で。でも俺もやってました。23~24の時、友達と。
能町 ずっと話していると受話器を持っているのに疲れてくるんですよね。で、途中からもうつらくなってきて、(受話器を床に置いてそこに耳を当てて寝っ転がる姿勢で)こういう状態で寝ながら話したりとか。
久保 いっそ会えよ、っていう(笑)。でも確かに長く話してた頃の感覚って、今はもうないね。かといって、若い人みたいに外でイヤホンで会話するのもダメなんだけど。
ヒャダ 滑稽に見えちゃうんですよね。古い考えかもしれないですけど、1人で「あ、そうなの? ハハハ!」とか言ってると、頭がおかしい人みたいに見えるんじゃないかという。
能町 そうそう、つい「ヤバい人が来た」と思っちゃう。でもそんなのきっと、年寄りが「携帯なんて心がない」とか言うのと同じ感じになっていくんでしょうね。
遠くに行きたい人、遠くに行けない人、遠くに行きたくない人
能町 前田さん、札幌行ってたんですよね。
──いわゆるワーケーションなんですけど、毎月遠くに行ってるんですよ。平日はホテルやカフェで普通に仕事して、週末は観光するという。
ヒャダ なんすか、その人生楽しむスタイル!
──楽しみのためでもあるんですけど、「ちょっと違う環境に行かないと気持ち的にヤバい」という危機感もあって。
能町 私もそれやりたかった。でも猫飼っちゃったから。
ヒャダ 能町さんがツイートしてましたけど、猫が旅行の抑止力になるんですよね。いい意味でも、悪い意味でも。
能町 猫飼うと、そうなっちゃうんだよね。
ヒャダ こないだ、1回だけ1泊でグランピングをしたんです。でもこの自粛期間で、猫にとっては僕がずっと家にいることがデフォルトになってたから、帰ったら猫が発狂してました。「ふざけんな!」って。ただ、僕も情の移り方がすごくて「こんなことしてるより猫に会いたい」となってくるんですよね。
能町 なっちゃう。うちは同居人がいるので、このあいだ猫をほったらかして函館に3泊したんです。でも猫の顔は見たいから「写真を毎日送ってくれ」と頼んで。1泊目の夜に写真が送られてきたんですけど、私ふだん夜中に帰ってくるから、その時間に猫が玄関で待ってる率が高いんです。で、「今日も玄関で待ち構えてるよ」というLINEと共に写真が来て、本当に泣いてしまいました。
久保 マジかー。
能町 函館のベッドの上で泣いてしまいました。「何て悪いことをしちゃったんだろう」って。
ヒャダ それ分かります。でも「待ち構えてるよ」は意地悪ですよね。それ言われたら罪悪感しか湧かない。
久保 すっかり親の顔だね、2人とも。
ヒャダ でもいい加減、旅はしたいです。もう嫌だ。
能町 分かる、分かる。
ヒャダ ちょっと稚内に行こうと思ってます。いい場所ですか?
能町 私は超おすすめです。
ヒャダ だったら行きます(*9月に決行)。
久保 旅か…………。
能町 久保さんはどうなの?
久保 私は仕事しなきゃいけないから。
能町 ワーケーションはできないんですか?
久保 1日座ってる時間が長いから、椅子がちゃんと合ってないと腰がだるくって。結局、自分ちのシステムじゃないと仕事できない。あと、「絵を描いてるところを他人に見られたくない」というのが一番大きくて。昔から「喫茶店でネーム描く」みたいなのができないんだけど、それは絵を描いてるところを見られたくないから。あと固定回線。圧倒的な固定回線がないとダメ。
ヒャダ 有線LANなんですか?
久保 仕事でデータ量を使うから、有線LANがないと。あと今、将棋が好きになってるんで、仕事に加えて毎日将棋の放送を楽しめるだけのデータ量が必要なんですよ。
能町 久保さんは旅に当てはまるものが将棋になってるから、それで大丈夫だと思う。
久保 「ずっと家で仕事していても、将棋が追えるんじゃん」という、それがすごい幸せで。家にいることの苦痛は、今までと段違いでなくなってる。「対局が始まるから9時50分までに起きなきゃ」みたいな。
能町 素晴らしい。
久保 棋士は長けりゃ1日14時間ずっと座りっぱなしだったりするから、仲間という感じがあって。「向こうも座ったまま頑張ってるから、私も頑張ろう」という気持ちになれる。それに慣れてるから、たまに民放をつけると欲しくもない情報がいっぱい流れてきて、「うわー気持ち悪い」とか思っちゃうんだよね。だから今、普通のテレビがあんまり見れなくなっちゃった。
しじみ習慣の独特の言語センス
能町 私もだんだん見なくなってきた。『バゲット』は見てますけど。
ヒャダ 『バゲット』はプラスもマイナスもないですからね。虚無ですから。
能町 だから、見るものがだんだんBS・CSになりつつあります。そうなると、BS・CSのCMが気になってくるんですよね。
久保 私もAbemaTV(の将棋チャンネル)を見てるから、CMでZeebraの「ハイスクールダンジョン、始まるぞー!」を500万回くらい聞かされてる。
能町 まだそれは若い人向けって感じじゃないですか。私なんかしじみ習慣だよ。
ヒャダ しじみ習慣と世田谷自然食品。あと、夢グループの変なクッションとか。社長とその愛人っぽい演歌歌手(保科有里)が「ねえ社長、もっと安くならない?」みたいなことをやってるんですよね。
──「夢グループ専属歌手」という肩書きが付いてるんですよね(*)。
*「なぜ通販の会社に専属歌手が?」と思って調べたところ、夢グループはもともとアーティストマネジメントのために設立された会社だった。有名どころだと、小林旭、黒沢年雄、チェリッシュなどが所属。過去には狩人や松方弘樹も所属していた。なお、「夢」という会社にいろいろなグループ企業が付随しているわけではなく、「夢グループ」がそのまま会社名。
ヒャダ もうBS・CSのCMのけれん味はすごいですよ。
能町 私は今、しじみ習慣のCMが、かつてのハズキルーペ的な違和感があって好きなんですよ。「しじみは体にいいって昔から言うじゃない?」とか言っておばさんがしじみ習慣を友達に紹介してるんですけど、その流れで突然「しじみチャンス!!」って出てくるんです。
ヒャダ 「しじみチャンス!!」出てきますね。
能町 それが何を意味してるのか分からないんですよ。「もう1個付いてくるのがそうなのかな」と思ってたら、今度は「メモメモタイム!!」って出てくるんです。
久保 何それ?
能町 それも何をメモすればいいのか分からないんですよ。でも流れるとつい見ちゃうんです。
──初期のバージョンでは「メモのご準備を!!」だったのが、最近「メモメモタイム!!」に変わったんですよね。何をメモすべきなのかは、どのみちよく分からないんですけど。
静かな激戦区、プロデュース界
能町 私の中でやっぱり今、通販が熱いのかもしれない。こないだ通販番組見てたら、湯山玲子さんが出てて。
ヒャダイン コシノジュンコみたいな髪型してる人ですよね。
能町 著述家の人なんですけど。で、湯山玲子プロデュースのアパレルがあるんです。まずそれがあることにびっくりしたんですけど、本人がその服を着て、それを隣で褒め続ける女がいるんですよ。全然知らない人だったから気になって調べてみたら、どうやら木村亜由子という人だと分かった。でもその木村さんを調べても、その通販番組に出てるという以上の情報が出てこないんです。で、5ちゃんに通販に関するスレッドがあったんですけど、そこで通販キャスターについて「かわいい」だの「胸が大きい」だの、ゲスなコメントがやり取りされていて。書いてるのはたぶんおっさんばかりだと思うんですけど。
ヒャダ 地獄!
──要するに「女子アナについて語り合う」的なノリになっている。
能町 そう、女子アナ的、アイドル的な扱いで、その木村さんも見られていて、世界は広いなと思って。通販番組をそういう見方で見る人がこんなにいるのかと。あと、女優が下着や子供服をプロデュースするのはよくありますけど、私はこの湯山玲子さんや「ちきりん」がパジャマをプロデュースするのを見逃しちゃいけないなと思ったんです。
久保 ちきりん、そんなことやってたの?
能町 してたんです。そのことを面白がってツイッターに書いたら、本人にブロックされてました。
ヒャダ あと、渡辺美奈代。
──みんなプロデュース業に参入してますね。激戦区になってる。
ヒャダ 渡辺美奈代がセレクトした雑貨を売ってる「かぐや姫374(みなよ)」という店が白金にあるんですけど、ある日いきなり「PLACERE(プラチェーレ)」みたいな名前になって、「かぐや姫374」の文字も「Kaguya-Hime374」になってたんですよ。店もリノベーションされてて。「これはどういうことだろう?」と思ったんですけど、つい最近、首都高速を走っていたら、渡辺美奈代を起用した建設会社のパネルがあちこちにあって。今、都内での美奈代の露出量がすごいんですよ。それを見て納得しました。
──太いのが付いたと。かつてのおニャン子世代が社会でのし上がって、積年の夢を叶えたみたいな感じなんですかね。
能町 そう思っちゃいます。でもみんな、なんでそこまでプロデュース業をやりたいんだろう。
ヒャダ もしプロデュースするなら、何がいいですか?
久保 メガネはやったことあるんですよね。あとデトックス女子会でグッズも作ってるから、もしかしたら美奈代とそんなに変わらないかもしれない。値段は違うけど。
能町 ちょうど目の前にあるけど、日傘をプロデュースしたい。ちょうどいい日傘ってないから。
久保 どんな感じがちょうどいいの?
能町 レースの付いたやつは、日傘として弱過ぎるじゃないですか。もっとしっかり日傘としての効果のあるやつがいい。すでにそういうのはあるんですけど、だいたいスポーティーなごついやつなんです。
久保 モンベルとかね。
能町 だから、もうちょっとかわいくて、かつしっかり機能もある日傘が……「皆さん、欲しいと思いませんか?」。
久保 「欲しいです! とてもじゃないけど、これから紫外線の中は歩けません」。
ヒャダ 「男性である僕は、やっぱり日傘を持つことにちょっと照れがあるんですよね」。
能町 「それも考えました。こちらを見てください!」(日傘を取り出す)。
ヒャダ 「わあ、スタイリッシュ! このデザインならユニセックスで使えますね」。
能町 「この色だけじゃないんです。こちらに蛍光黄色と金色と黒を用意しました!」。
ヒャダ 「これでおしゃれとのコンビネーションを楽しめますね」。
久保 「蛍光色だから、車からもはっきり分かって、お子さんでも安心ですね」。
能町 「そして何とこの傘、ワンタッチで開くんです!」(バサッ)。
久保 「わあ、非力な老人でも問題なし!」。
ヒャダ 「でも……日傘ということは、晴れの日だけしか使えないんじゃないですか?」。
能町 「そう思いますよね。ところが……ちょっとこの水をかけてみてください」。
──(バケツで水をかけるジェスチャー)「あっ、水をはじく!?」。
能町 「これだけの機能があって、お値段なんと、1万5,000円!」。
ヒャダ 「いやあ、お安いですけど、でも能町さん。せっかくのご縁なんですから、もうちょっとお安くしてもいいんじゃないかしら?」。
能町 「そういうご意見もあると思っておりました。ここでなんと……日傘チャーンス!!」。
一同 (爆笑)
久保 「あの日傘チャンスがここで!?」
能町 「今、この日傘が1万5,000円で黒、金色、蛍光黄色、全部付いてきます」。
ヒャダ 「えええええ、全部!」。
能町 「さらにここで……メモメモターイム!!」。
一同 (笑)
能町 「こちらを見てください。このクーラーボックス。夏は喉が渇きますよね。そこで(バン!)この特製ウーロン茶ペットボトル24本セット、こちらもお付けします!」。
ヒャダ 「出た、全然商品と関係ないやつ! でもうれしい!」
久保 「1ケース分も、太っ腹ですね」。
能町 「こちらぜーーーんぶお付けして、1万5,000円。ただし……たいへん人気商品のため、申し訳ございません、100セットの限定となります」。
ヒャダ 「私も後で、個人的に買わせていただきます」。
──あるあるだけで構成された完璧な通販プレイでしたね(笑)。
ヒャダ でも通販って本当にこんな感じですよ。
久保 能町さん、やれる子だね。
能町 やれるね。やれと言われたらやれますね。
「久保みねヒャダこじらせブロス」連載バックナンバーはこちらから。
【番組情報】
ほぼ月一で不定期放送中
久保みねヒャダこじらせナイト
次回放送:2020年10月23日(金)フジテレビ●深2:55〜3:55予定
ゲスト:清水ミチコ
FODプレミアムでこれまでのライブを限定配信中
番組HP/公式ツイッター【ライブ情報】
テレビでは話せないトーク満載
久保みねヒャダこじらせオンラインライブ
次回開催
配信日:2020年11月1日(日)19:00スタート
ゲスト:千葉雄大
配信先:PIA LIVE STREAM
料金:¥2,980(税込)
チケットは10月17日(土)10:00よりチケットぴあにて発売
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【プロフィール】
くぼ・みつろう●漫画家。代表作として『モテキ』『アゲイン!!』など。現在は『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』制作中。のうまち・みねこ●自称漫画家。新刊『そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか』『雑誌の人格3冊目』発売中。『結婚の奴』も売れてます(当社比)。NHK『金曜日のソロたちへ』にレギュラー出演中。「猫のつまらない話」も連載中です。
ひゃだいん●音楽クリエイター。J-POPからアニメソング、ゲーム音楽まで幅広く手掛ける。