今回はようやく、「YouTubeにおけるテロップとナレーションの力」についてです。言葉が字幕やナレーションになるとヘンな説得力が生まれると語る押井さん。聞き手の渡辺さんも、韓国ドラマにハマっている理由の一つに、字幕というのがあるかもしれない、と話しはじめ……。もしかしたら私たちは字幕に説得されているのかもしれない、というお話の前半です。
取材・構成/渡辺麻紀
撮影/ツダヒロキ
<新刊情報>
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『押井守のサブぃカルチャー70年』が発売中!
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押井守/著
『押井守のサブぃカルチャー70年』
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発行:東京ニュース通信社
発売:講談社
カバーイラスト・挿絵:梅津泰臣
文・構成:渡辺麻紀
洋画ファンというのは、字幕にある程度、説得されている。
――ずっとテロップとナレーションの力についてお話頂こうとしているのですが、なぜかなかなか前に進みません(笑)。
いつものことじゃない。
――まあ、そうなんですが。でも、今回は本当にテロップとナレーションの話でお願いします。
「ナレーションを疑うヤツはいない」というセリフは知っている?
――いや、知らないです。
何の映画の誰のセリフだったか、私も憶えてないんだけど、『トーキング・ヘッド』(1992年)のときに使ったんだよ。このセリフを聞いたとき、凄く説得力があると思って。
――言われてみればそうかもしれないですね。第三者の声、神の声という感覚なんでしょうか?
ニュース映像とかドキュメンタリー、はたまたNHKの特集とかでナレーションはよく使われているということもあるのかもしれないけど、観ているほうは真実を聞かされているような気分になる。
それと同じで言葉が字幕になるとヘンな説得力が生まれる。
――押井さん、そういうのって、洋画ファンという要素もありません? 字幕に慣れてるし、それを信じてますよね?
それは確かにある。洋画ファンというのは、字幕にある程度、説得されているから。
――押井さん、最近の渡辺は韓国ドラマにハマっていると言ったじゃないですか? 日本と同じアジア人で文化もアジアなのに、なぜ韓国ドラマにはハマって、日本のドラマや映画にはハマらないのかを考えたとき、字幕の影響があるのかなと思ったんですよ。字幕が出ることで、海外の文化に触れている感覚がある。
それはもう、字幕に説得されちゃっているんですよ、麻紀さん。
ドラマは基本、言葉で成立しているから、明らかにセリフ量が多い。それをテンポよく字幕で見せているので、ついつい説得されてしまう。韓国ドラマのなかには驚くほど安っぽいものもあるけど、それでも何となく観てしまうのは字幕がもつ説得力です。
――いいセリフになると、声を聴くよりも字幕のほうが頭に入りますからね。
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