テレビ朝日の深夜にひっそりとサンクチュアリが誕生していたことをご存知でしょうか。それがもう中学生キー局初の冠番組である『もう中学生のおグッズ!』です。再ブレイク以降、お笑いスキルの高さでも注目を集めているもう中学生ですが、ここでは自然のままの姿で、やりたいボケを許す限りの時間をかけて繰り出しています。そして、もう中のあらゆる方向へ飛んでいくボケを変な姿勢になりながら必死でレシーブするゲスト芸人たち。ここでは、ただただ笑わせたいという純度1000%のバラエティが繰り広げられているのです。この愛と笑いに溢れたサンクチュアリを知ってほしい! われわれは大特集を組むことを決意しました。最後は番組の仕掛け人、秋山PD(プロデューサー・ディレクター)に、もう中学生の魅力を聞きました!
取材・文/だるま亭へっぽ子 撮影/高岡弘 構成/末光京子
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目次
『もう中学生のおグッズ!』
テレビ朝日●毎週月曜深夜26:36〜26:56放送
もう中学生のキー局初の冠番組。「タレントグッズ集め」を趣味とするもう中が、「売れる番組グッズ」を作るべく、グッズにまつわる企画にチャレンジする。毎回、自由すぎるもう中をセーブするため、ツッコミゲストが登場。但し、ゲストは“生ワイプゲスト”と称され、段ボールで作られた“生ワイプ”を装着。生ワイプ装着中は、基本的にはもう中と直接しゃべれず、“ワイプの人”として、ツッコミを入れなければいけないというシステムを採用しており、そのシステムともう中に翻弄されまくるゲストの姿も見どころ!
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<今後の放送内容>
【ストリートファイターのおグッズを調査しよう】(2/28・3/7放送)
もう中が大好きで、番組中にも関連ボケを連発している「ストリートファイター」。生ワイプゲストのとにかく明るい安村と一緒に、「ストリートファイター」の展覧会でおグッズを調査。
【お菓子を楽しみながらおグッズのこれからを考えよう!】(放送日未定)
とにかく明るい安村に加え、おグッズファミリーのランジャタイ国崎、ヤジマリー。を迎え、タレントのお菓子グッズパーティを開催。お菓子を楽しみながら、番組の今後を考える。
「もう中」×「タレントグッズ」で見たことのない番組に
――まず、もう中学生(以下、もう中)さん初となる冠番組を立ち上げようと思い立った理由を教えてください。
僕は普段、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(以下、『かりそめ』)のチーフディレクターをやっているのですが、昨年春の特番で誰か新しい方でロケ企画をやりたいなと思っていて。そんな時に、有吉さんのラジオ(有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER)に出演されていたもう中さんが面白かったので、『かりそめ』に出てもらったらどうだろうと思いました。ただ、ネタやトークが面白いことはわかっていましたが、もう中さんのロケを見たことがなかったんですよね。「もう中さんのロケはどうなんだろう?」と不安や怖い気持ちもありつつで、オファーして。もう中さんには豊洲市場でロケしてもらったんですが、それがすごく面白かった! スタジオのマツコさんや有吉さんにもめっちゃウケて(笑)。それで、もう中さんがロケもお上手だとわかったので、バラバラ大作戦の企画募集があったときに、もう中さんの冠企画を出して、それが実現したという感じです。
――なぜ、番組のコンセプトに“グッズ作り”を選んだんですか?
『かりそめ』のロケでも出していたんですけど、もう中さんの家に有名人のグッズが大量にあることは知っていました。リモートでロケの打ち合わせ中、雑談をしていて、何気なく「最近グッズは手に入れましたか?」と聞いたら、もう中さんが「ちょっと待ってください!」と、自宅の奥から広末涼子さんの急須とか、新たに入手したグッズを4点ぐらい持ってきて見せてくれたんです。あ、マジでグッズが好きなんだな、と(笑)。そこから、そういえば、グッズ番組って見たことがないなと思って、「もう中さん」×「タレントグッズ」で企画しました。
――まさに“見たことがない”番組でした。見たことがないもう中さん、見たことがないもう中さん×ツッコミゲストとの絡み。“見たことがない”が渋滞状態かと…。
そうですね。毎回、もう中さんが見たことがない展開を引き起こしてくれていますね(笑)。
――オープニングがやたらと長い、呼び込む前にゲストが見切れているなど、番組独自の演出は最初から決められていたのでしょうか。
初回ゲストは吉村崇さん(平成ノブシコブシ)だったんですけど、実はオープニングを長く撮ろうとは決めていませんでした。ただ、「放置する」ことだけは決めていて。
――放置という勇気ですね(笑)。
勇気(笑)。初回は、もう中さんを放置したらどうなるかなと思って、タイトルコール以外のカンペは出さずに、僕は腕を後ろで組んでただ立って見ていたんです。放置されている吉村さんもきっと面白いだろうなとは思って、カメラさんには呼び込む前から吉村さんを撮っておいてくださいともお願いしておいて。案の定、オープニングが面白かったので、これを番組の味にしようと。
――切り取り方も独特です。
編集の方針で決めているのは、決してもう中さんの邪魔をしないことです。もう中さんは一つの笑いが起こるまでの時間が長いことも多いんです(笑)。フリがあって、フリがあって、フリがあって、オチる。そのどこかをカットして、早く笑いまでいってしまうと面白くなくなってしまうんです。なので、その現場の空気感をそのまま使うことを大事にしています。早いテンポが求められるトーク番組などでは難しい部分かもしれませんが、『おグッズ!』ではすべて使い切るという気持ちで。だから、収めるのが大変なんですけどね(笑)。
――20分番組で、実質は15分ですもんね。
そうなんですよね。だから濃度の高いもう中さんを届けられているのかもしれないですね。演者のやりたいようにやってもらう番組ですし。
――やりたいようにやってもらって、そのまま使う。そういう番組って理想的ではありますが、なかなかない貴重な存在のように感じますが…。
そうですよね。あそこまで放置して、自由にやって、そのままお届けするのは、あまりやらない感じかもしれません(笑)。
テレビ大好きライターの『もう中学生のおグッズ!』独自解説(という名の単なる個人的感想文コーナー)
★#15~#17(2022年1月24日、1月31日、2月7日放送)
ゲスト:向井慧(パンサー)
テーマ:番組初「日めくりカレンダー」完成までのドキュメント前後編、B’z人生ゲームで遊ぶ
もう中氏の格言作りに密着したVTRを、アナログ装置・生ワイプ枠をかぶったもう中氏と向井さんが、ホントのワイプでツッコミを入れる相席食堂スタイルで展開。もう中氏(39歳)が大好きな年上の後輩ジョイマン高ちゃん(41歳)がもう中氏の自宅近所を散歩。終始、消極的な高ちゃんの姿に向井さんも五輪ばりに応援するしかない。「ガンバレ、高ちゃん!」。#16では、高ちゃんに加え、チームもう中(スカチャン ヤジマリー。、ダンビラムーチョ 原田、チョッキGT5000)が合流。チームもう中の前では、なかなかのジャイアンぶりを発揮するもう中氏。トリッキーすぎるもう中流ムチャぶりに、チームもう中の面々からは笑顔が失われていく…。そんな絶望空間を救ったのはヤジマリー。氏。いや、正確にはヤジマリー。氏のスプレーだった…。腹ちぎれるほど笑い、3回見る。ヤジマリー。氏のスプレーが全次元に平和をもたらした世界線の回。黒もう中も続出。#17ではB’z人生ゲームに挑戦。もう中氏の闇がダダ漏れの笑撃作。
もう中がボケやすいようにステージを用意しているだけ
――一方で、秋山さんのもう中さんの魅力の切り取り方、提示の仕方に、勝手に愛を感じてもいるのですが。
それは僕がこのまま流すのが一番面白いと思っているからで、その結果、愛に見えているのかもしれないです。…ちょっとわかりませんが(笑)。
――今回、取材のために事前に構成台本を拝見したのですが、深夜のバラエティ番組でこんなに丁寧に台本を作られていることに驚きました。登場する有名人のグッズの写真や、わざわざ収録をするスタジオのロビーの写真まで…。
いえいえ。こちらはもう中さんがいろいろとボケやすいようにステージを用意しているだけですから。その中でもう中さんが遊んでくださるんです。これは放送をご覧になっていただきたいんですけど、今回のオープニングも、おそらく台本に貼ったロビーの写真を見て思いついたボケをやってくださっています。
――改めて、秋山さんから見たもう中さんの魅力とはなんですか?
みなさんが思っていることと同じだと思うんですが、やっぱり“独特”としか言えないんですよね。もう中さんしか言わないワードが出てくるのが強みで。他の芸人さんにはない言葉の変換。即興でそれができる、もう中さんの芸といいますか、そういった部分だと思います。
――他局ではありますが、もう中さんがクイズ番組の司会をされていたのを拝見したことがあるのですが、その姿が衝撃でした。もう中テイストを入れつつも、すごく円滑に進行していたんです。コワいぐらいのクレバーさを感じたのですが…(笑)。
それはありますね(笑)。『かりそめ』のロケでも、もう中さんはボケまくってますけど、お店のリポートはきちんとやってくれるんですよ。コミュ力も高いので、どんなにボケまくっても、ロケ先の方からすごく好かれるんです。
テレビ大好きライターの『もう中学生のおグッズ!』独自解説(という名の単なる個人的感想文コーナー)
★#18(2022年2月14日放送)
ゲスト:田中卓志(アンガールズ)
テーマ:もう中氏の地元・長野グッズを調査
もう中氏のやることなすことヘンだ。今さらだけど。言う事もヘンだ。これも今さら。これまで、全ゲストが「ナニやってるの? ナニ言ってるの?」というツッコミを入れたと言って過言ではないが、もう中氏にナニの理由を尋ねたのは、田中さんが初めてなのかもしれない。理由を聞かれて困惑する意外なもう中氏を確認。田中さんがすごくオトナ紳士で優しいヒトであることが浮き彫りまくりの回。
確実に存在する”黒もう中”が見られるのは『おグッズ!』だけ!
――それと、『おグッズ!』ではいつもの独特なもう中テイストのほかに、もう中さんの後輩軍団「チームもう中」に対するムチャブリなど、白なのか黒なのか、もう中さんのダークサイドな一面を垣間見ることも。
確かに“黒もう中”は存在しますね。意地悪な部分が確実にある(笑)。たまに出てくるんですよね。あと、お金に厳しい面も(笑)。
――確かに、パンサー向井(慧)さんとB’z人生ゲームをしたときのお金に対する鋭い視線は忘れられません(2022年2月7日放送)。毎回のゲストも売れっ子の実力派ツッコミゲスト勢ですが、みなさん番組に対して恐怖心を抱かれている印象です。
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