今回で円谷プロダクションの話題は完結。押井さんが円谷作品をはじめとした特撮シリーズで何を学び、それを映画監督としてどう生かしているか。押井作品の原点に迫る内容です。
取材・構成/渡辺麻紀
――まだ円谷プロダクション編が続いてます(笑)。今回は、押井さんが「コレを語らなければ円谷を語ったことにならない」とおっしゃる『怪奇大作戦』(1968~1969年)をお願いします。
『怪奇大作戦』は怪奇事件、オカルトとか宇宙人とか怪物とか怪奇現象とか、そういう事件を専門に扱う捜査チームを描いている。
――ということは、『X-ファイル』(1993~2002年)の日本版という感じですね?
そういうこと。主人公を岸田森が演じていて、いつもかっこいいクーペを乗り回している。当時とはして珍しいスタイルだったから印象的だったんですよ。
チームの名前はSRI。“ウルトラ警備隊”とか“科学捜査隊”とかじゃなくてSRI。CIAとかKGBと同じアルファベットのイニシャルを使ったネーミング。これもおそらく日本初なんじゃないの? 当時は何の略なのか分からなかったけど……。
――調べると「Science Research Instituteサイエンス・リサーチ・インスティチュート」こと「科学捜査研究所」みたいですよ。
それは後付け。観ているときには何の説明もなく、のちに出版された関連本に書かれていて分かったんです。
で、何が言いたいかと言うと、このシリーズを支えた作家が実相寺昭雄監督だったということです。
――いや押井さん、『ウルトラセブン』(1967~1968年)のときも実相寺監督について語っていただきましたよ。
『怪奇大作戦』も彼なんです!
――実相寺監督は24話のうち、手掛けているのは4話ですが、それでも「支えていた」くらいの存在感があったわけですね?
ファンにとっては、まさにそうです。『京都買います』(25話)や『呪いの壺』(23話)とかね。『呪いの壺』は最後に京都の寺が炎上するんだけど、私はこの映像にも驚いた。『怪奇大作戦』というか実相寺監督の影響で、実はぴえろ時代に本格的なロボットシリーズを考えたこともあるんですよ。
――どんな作品だったんですか?
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