桂浜水族館・おとどちゃん連載「みんな違って、みんないい加減にしろ。」その2

高知県桂浜にある小さな水族館から大きな声でいきものたちの毎日を発信!

桂浜水族館の広報担当・マスコットキャラクターのおとどちゃんが綴る、好評連載第二回をお届け!

前回分はこちらから。

「あの鐘を鳴らすのはお浜」

令和三年八月二十七日、新型コロナウイルスの蔓延により、桂浜水族館は戦後二度目の休館を余儀なくされた。人類がコロナと迎えた二年目の夏。これまで、全国的にみても感染者が少なく、ウイルスの蔓延を抑えられている方だった高知県だが、夏が深まる八月十八日に、初めて五十人を超える人数がニュースで発表された。この日を境に、その数は過去最多を更新し、一週間後にはついに百人以上の感染者が出た。特に高知市は、約三十三万人という人口に対して異例の感染者数。県の対応レベルも「非常事態」に引き上げられ、ここにきてついにまん延防止等重点措置が適用された。飲食店は軒並みシャッターを閉めることとなり、私が足繁く通っていた店も酒類の提供をやめ、定められた時間には閉店となった。そうした情勢に伴って桂浜公園も閉鎖となり、公園内にある水族館も臨時休館するほかなかった。

休館中の九月七日、コツメカワウソの「テン」が十七歳の誕生日を迎えた。テンは、かなりの高齢個体で、これまでもしばしば体調不良に陥ることがあったが、飼育員によるこまめな投薬治療のかいもあって、今年も無事に年を重ねることができた。

誕生日には、テンの大好きな生きドジョウがプレゼントされた。水を張ったコンテナケースにドジョウが放たれると、いつもの覚束無い足取りは演技なのではないかと疑うほど俊敏になる。ドジョウの方もいのちがけだ。志半ば、こんなところでよぼよぼのじいさんに捕まってはなるものかと、緩急をつけながらテンの身体の間を泳いで逃げ、追撃をかわす。飼育員たちは、その様子を桂浜水族館の公式YouTubeチャンネルで動画配信し、視聴者といっしょにテンとドジョウの戦いに一喜一憂した。

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