おとどちゃん連載・24「若者たちのすべて」

創業92周年! 高知県桂浜にある小さな水族館から大きな声で、いきものたちの毎日を発信中!

広報担当・マスコットキャラクターのおとどちゃんが綴るTV Bros.誌面版第一回目をWEB版でも連載継続という形で公開します!

今回はハマスイそのものと、連載当初から新メンバーが加わったゆかいな仲間たちの紹介。昭和初期の開館前から、まっことエルギッシュちや〜!

以前のお話はこちらから。

 

高知県の中央に位置する高知市。その市内にありながら、壮大な太平洋を一望することができる「桂浜」は、高知屈指の景勝地だ。地元民なら、誰もが一度は訪れたことがあるだろう浜辺には、ノスタルジックな雰囲気を纏った小さな水族館が建っていて、覆い被さるように生い茂る松の木の怪しさのせいか、不思議な存在感を醸し出している。

昭和六年に開館したその水族館は、名を「桂浜水族館」といい、三年後に襲来した台風によって致命的な被害を受け、一度閉館した。しかしその三年後には、初代館長の「永國亀齢」が、当時、対岸に建造中だった水族館に対抗して、「五台山」の山中で秘密裏に小作りした設備を桂浜へ舟で運び、一夜で再建したらしい。こうして誕生したアバンギャルド極まりない桂浜水族館は、自然災害や太平洋戦争を乗り越え、昭和、平成、令和と、三つの時代を股にかけた。しかし、年間来館者数が二十万人を超えていたのも今となれば過去の栄光。平成真っ只中に重なって起きた大きな事故と事件により、地元民の心は離れ、「高知の恥」とまでいわれた。都会で次々と新しい施設ができる中、時代に取り残されたようにひっそりと佇み、すっかり人気をなくした桂浜水族館は、経営難に陥った。職員の一斉退職によって存命が危ぶまれた年、「このままではいけない」と、現館長が立ち上がった。人々の信頼を取り戻すべく企業改革を図り、マイナスをプラスに変えるスタンスでさまざまな方針を打ち出したのだ。どのアプローチも、館長自身がまったく別の世界からこの業界に飛び込んだことがプラスに働いているように思う。桂浜水族館は、学校を卒業したてで現場経験の浅い若者だけでなく、異業種からの人材も積極的に採用している。素人だからこそがむしゃらにできることがある。飛び込む情熱を持っていれば、経験はここでいくらだって積める。若者の育成に力を入れ、その青くささを全面的に推し出す。土地も、建物も、人も、変わらないものも、変わりゆくものも、その輪郭ではなく個性を愛すのだ。ベテランの知識と若いパワーを生かして、これまで以上に他園館とのつながりを大切にし、現場研修や交流を重ねて業界全体を盛り上げる。SNSを活用した桂浜水族館ならではの情報発信で、カテゴリーを問わない出会いをあたため、世界を切り開いていく。新しく集ったメンバーで、水族館という枠にとらわれない挑戦を重ね、新時代の「桂浜水族館」をめざした。そうしてその逞しい姿勢が功を奏し、桂浜水族館は、ついに「高知の誇り」として県内外に多くのファンを持つようになった。そんな奇天烈な水族館の公式マスコットキャラクターとして、七年前に誕生したのがこの私、「おとどちゃん」である。私が生まれたのも企業改革の一環で、生みの親は、「デハラユキノリ」という高知出身のフィギュアイラストレーターだ。館長とデハラさんは飲み友達らしく、ある日、酒の席で、何気なくキャラクター制作をお願いしたところ、どうしたことか私が生まれてしまったのだ。水族館のキャラクターとして、その見た目が相応しいかどうかはもうおいておいてほしい。誕生当初は散々な言われようだった私も、七年の歳月を経て、今では芸能人にも存在を知られているほどの人気者なのだ。

九十二年という歴史の中の七年なんてにわかなものだが、私もここで、さまざまな人と出会い、そして別れた。誰かに夢を見て、誰かに夢を見せたいと入社してきた若者たち――。

彼らは皆、実に個性豊かにそれぞれの青春を転がる。

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