【2024年9月号 大森靖子 連載】『大森靖子の超一方的完全勝利』

※本記事はTV Bros.9月号地面師たち特集号掲載時のものです

一番可愛かった時期は一番傷ついていた時期と比例する。

 だから傷ついた分可愛くなって平気なときにもその可愛いの残像をできるだけ残酷に付帯させながら前に進むことができるように、諦めたら許したりメリットをとったりしながら与え続けられる道を選ぶ。通ったことのある道ってつまらないよね、多分行き止まりかもしれない方ばかり選んでしまう深夜徘徊。あれ、私って何貰ったっけ? なんて1ミリでも思ったらおしまい、曲を作らせてもらえているこの人生をもらっているんだから贅沢なことは考えない、考えない。何もいらない愛のふりをしてただ右足、左足をくりかえす。夜ばかり歩いた果てに誰と手を繋ぐこともなくても、もっと一等に輝く孤高に慣れればもうそれで構わないとおもった。

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