【12月号 大森靖子 連載】『大森靖子の超一方的完全勝利』

 全てどうなっちゃってもいいや、って思ったほうがうまくいくのはいつも、謎の”私なんか”ブレーキが未だにかかっているからで。歌を作る時だけきっとぶっ壊れていて、他人の心のプライバシーだとか、1番誰かの心に響くことは、絶対にこんなこと歌われたくないだろうことでもあるわけで、生き恥なんて晒さない方が楽だから、それでも”晒して輝いて欲しい”はこちらの傲慢な性癖の押し付け以外の何者でもないと知りながら、それでも私はそういう仕事に生まれてきたから、からしか生きる術がない。描く人、として生まれて選んだことへの罪。自分から見たものは自分という曲解。それ全部覚悟のない人にやってしまったら終わるから、誰のそばにいるかをもっと慎重に選ばなければならないって、自分の存在を”私なんか”と見誤ると自他共に大怪我してしまう。

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