“ながら観”していた、仕事の手が止まるほど面白かった『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』平松禎史 第3回【連載 アニメ人、オレの映画3本】

これまで『未知との遭遇』、『三十九夜』の2本を選んでくださったベテランのアニメーター&監督の平松さん。最後となる3本目の作品は?

取材・文/渡辺麻紀

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<プロフィール>
1963年生まれ、愛知県出身。アニメーター、アニメ演出家。1987年に『ミスター味っ子』(テレビ東京系)で原画デビュー。『ふしぎの海のナディア』(1990~1991年/NHK総合)第11話「ノーチラス号の新入生」で初の作画監督を務めた。
最近の主な参加作品に『寄生獣 セイの格率』(2014~2015年/日本テレビ系)、『ユーリ!!! on ICE』(2016年/テレビ朝日ほか)、映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018年)、『呪術廻戦』(2020、2023年/MBSほか)など。現在は、岡田麿里監督『アリスとテレスのまぼろし工場』に副監督として参加中。

 

SF的なネタを扱いながら、生活感ある物語に落とし込んでいるところがすてきだなあと思うんです。

 

――平松さん、では3本目をお願いします!

3本目はリチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013年)です。

――ラブストーリーでありタイムトラベルものですね。主人公の青年は『スター・ウォーズ』シリーズでハックス将軍を演じていたドーナル・グリーソンですね。

過去に戻る能力を父親から引き継いだ主人公の青年が、ひと目惚れした女性との愛を成就させようとする物語です。未来には行けなくて過去だけ。それも自分が生きていた時代だけで、歴史を変えたりは出来ない。そういう制約が映画を面白くしている。

コロナ禍で自宅での仕事が増えたときに観たんですよ。当時はもっているソフトを“ながら観”していたんですが、この作品のときは面白くて仕事の手が止まってしまった。カーティスの作品はこれが初めてで、とても気に入ったので過去作も続けて観ました。『ラブ・アクチュアリー』(2003年)とか『パイレーツ・ロック』(2009年)とか。どれも面白かったですね。

 ――そのなかで本作を選んだ理由は?

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