最後には泣かされてしまう1本『チャイニーズ・オデッセイ』馬越嘉彦 第1回【連載 アニメ人、オレの映画3本】

今回の本コラムのゲストは馬越嘉彦さん。『プリキュア』シリーズや『僕のヒーローアカデミア』など、大ヒットアニメの作画監督やキャラクターデザインを務める人気アニメーターだ。香港映画やアクション映画への愛を公言する馬越さんの1本目は果たして!?
取材・文/渡辺麻紀

◆過去の連載はこちらから

 

<プロフィール>
馬越嘉彦(うまこし・よしひこ)●1968年7月30日生まれ。愛媛県出身。アニメーター、キャラクターデザイナー、作画監督。
おもなテレビシリーズの参加作品に、キャラクターデザインを手掛けた『ママレード・ボーイ』(1994~1995年)、『ご近所物語』(1995~1996年)、『花より男子』(1996~1997年)、『おジャ魔女どれみ』シリーズ(1999~2003年)〈すべてテレビ朝日系〉や、キャラクターデザイン、総作画監督を務めた『蟲師』(2005~2006年/フジテレビ系)、キャラクターデザイン、作画監督、原画を担当し、東京国際アニメフェア2011・第10回東京アニメアワード個人部門キャラクターデザイン賞を受賞した『ハートキャッチプリキュア!』(2010~2011年/テレビ朝日系)など。映画の参加作品には『魔女見習いをさがして』(2020年、キャラクターデザイン・総作画監督・原画)などがある。
現在、キャラクターデザインなどを務める『僕のヒーローアカデミア(第6期)』(2022年~/読売テレビ・日本テレビ系)が放送中。

最初は、くっだらないことやってるなーという感じで笑って観ているんだけど、最後の最後になってグっときてしまうんです。

――というわけで馬越さん、1本目はさすが馬越さん的な作品ですね(笑)。

馬越 ほかの人はまず選ばないだろうから、そう言われるとそうなのかもしれませんね(笑)。チャウ・シンチーが主演した『チャイニーズ・オデッセイ』シリーズです。監督はジェフ・ラウ。チャウ・シンチーは主演と製作総指揮を務めている。いや、本当に酷い映画です(笑)。

――『Part1月光の恋』、『Part2 永遠の恋』(ともに1995年)の2部作構成になっている作品です。調べてみたら香港では1カ月開けて『Part2』が公開されたようですね。

馬越 今回、僕が選んだ3本の基準は「ふっと思い出したように何度も観ている作品」です。3本ともブルーレイをもっていて……あ、『~オデッセイ』はDVDだけだった。それも最初の頃のCDと同じサイズのバージョン。それから新しいのはリリースされてないんじゃないかなあ。まあ、それも判りますが(笑)。

――(笑)。私も今回、初めて観たんですが、本当に懐かしい香港映画でした。

馬越 Netflixで観たんでしょ? 僕が『~オデッセイ』ファンだと知っている友人からNetflixで配信されていると聞いて驚愕したんですよ。何を考えているんだ、Netflixはって(笑)。

――(笑)。確かに、今観ると珍作ですが、当時の香港映画はあんな感じだったような気もしますが。

この記事の続きは有料会員限定です。有料会員登録いただけますと続きをお読みいただけます。今なら、初回登録1ヶ月無料もしくは、初回登録30日間は無料キャンペーン実施中!会員登録はコチラ