負けを経験した大人だからこそ響きまくる物語『七人の侍』川崎芳樹 第1回【連載 アニメ人、オレの映画3本】

前回の本郷みつるさんが推薦してくれたのは川崎芳樹さん。現在、配信中のシリーズアニメ、佐藤真登氏のライトノベルを基にした『処刑少女の生きる道(バージンロード)』で監督を務めている。
本郷さん曰く「絵も上手で映画も大好きな人」という川崎さんの3本とは!?

取材・文/渡辺麻紀

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<プロフィール>
川崎芳樹(かわさき・よしき)●東京生まれ。アニメーション演出家、アニメーション監督。『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません』(WOWOWプライムほか)の第1期(2019年)、第2期(2020年)に副監督として参加。『処刑少女の生きる道(バージンロード)』(2022年/TOKYO MXほか)で初監督を務めた。

負け犬が集まって、また負け犬になるって話、
中年になった僕には刺さりまくるわけです(笑)

――今回は1回目です。まずはどの作品でしょうか?

いろいろ考えたんですが、黒澤明の『七人の侍』(1954年)にしました。ちょっとベタなんですが、高校時代にわざわざビデオを買っていたりもしたので。

――日本のみならず海外にもファンが多く、黒澤明の最高傑作と言われる作品。この影響を受けたクリエーターは山のようにいます。川崎さんもそのひとりということですね?

いや、そういう人たちとはちょっと違いますね。実はVHSをわざわざ買ったのは映画そのものに対する興味というより甲冑。甲冑観たさに買ったんです。

――ということは、川崎さんは甲冑ファン?

そうですね。なぜ好きなのかと聞かれても困るんですけど(笑)、当時はホントに大好きだった。高校時代、スケッチブックをもって国立博物館などに行き、展示されている甲冑を模写してましたからね。まあ、暗い高校時代ですが(笑)。

高校時代の僕にとって映画を観る=甲冑を観るという感じ。だから『ヘンリィ五世』(1943年)も観たし、エイジェンシュタインの『アレクサンドル・ネフスキー』(1938年)や『イワン雷帝』の2本(1部は1944年、2部は1946年)も甲冑観たさに観た。この3本は『七人の侍』に負けない最強の甲冑映画です。

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