『仮面ライダーゼロワン』の主演を務めた後、次々と話題作に鍵となる役で出演している高橋文哉。彼が次の挑戦として選んだのは、超ハードな密室グロきゅんラブストーリー『僕らが殺した、最愛のキミ』。今作のW主演を務める彼に、いまの心境を話してもらった。
取材&文/吉田可奈 撮影/佐野円香
――今作は予想できない展開のドラマとなりますが、最初に台本を読んでみていかがでしたか?
“ものすごく展開の早い作品だな”と思いました。自分で台本を読んでいても、演じることを忘れるくらいページが進んでしまって、あっという間に読んでしまったんです。さらにサスペンス系のドラマは先が気になるのでおもしろいですし、この台本の様子がどう映像になって表現されるのかがすごく楽しみになりました。
――しかも、高橋さんが演じる“小林零”は、一見、とても普通の人ですよね。
そうなんです。これまで僕は『仮面ライダーゼロワン』をはじめ、何本かのドラマに出演させてもらっているんですが、どの役も特徴的で個性的だったので、比較的役作りがしやすかったんですよね。でも、この“零”と出会って、普通の役が一番難しいんだなと感じました。
――たしかに、零は大学生で、性格のやさしい男の子、という以外あまり特徴がないですからね。
はい。普通の大学生で、周りから見れば順風満帆で、人にやさしく出来る性格というくらいしか特徴がなかったんですよ。その分、役作りは今までで一番苦労しました。さらに、演じながらも、ずっとこの方向性であっているのか、見え方は正解なのか、かなり悩みました。内面が見えにくいけど、きっと内に秘めているアツいものが確実にあると思っていたんですが、なにしろ台本が最初の5話までしか配られずに、その先の展開がどうなるかわからないので、本当にどう演じていいかわからなくて……。
――想像するしかできないですしね。犯人が誰かさえも分からない状況で進められていたんですよね。
考えてもしょうがない、と切り替えて、ある程度は自分の勝手な憶測と予想で演じていました。それが後半に活きて来たのですが、やるほどにお芝居をすることの難しさを知る作品でした。正直な話、最初にこの役をもらったときは、あまりにも普通の人だったので、キャラクターを作りやすそうだなって思っていたんですよ。でも、いざ真剣に役作りをしようとしたときに、何をすればわからなくなったんです。自分と似ているわけではないので、本当に苦戦しました。
――零とは、まったく似ていないんですか?
似ていないですね。強いて言うなら、人との距離の取り方が似ているかもしれないですが、1つ1つの言動も違いますし、育ってきた環境も違いますし……。もちろん、これまで演じてきた役に比べたら近しいものがありますが、根本的に何かが違うんですよね。
――ちなみに、隠されていた6話以降の台本をもらったときは驚きましたか?
じつは、少しだけ予想がついていたのですが、実際に目にしたときはやはり驚きました。でも、台本は重要なところが黒塗りになっていたので、結局最後まで台本に振り回されていました(笑)。それに、読めば読むほど零の気持ちがわからなかったんですよね。勝手にヒントをお伝えすると、彼のキーポイントは“無意識”なんです。ドラマを観てもらえればわかるのですが、その無意識がすごく大事なものになりますし、……あ~これ以上言うとネタバレになるので止めておきます(笑)!
――わかりました(笑)。さて、今回は同世代のキャストとの共演となりましたがいかがでしたか?
すごく楽しかったです。今まで、ここまで年の近い方たちのみでお芝居をすることがなかったんですよ。以前『夢中さ、きみに。』に出演させていただいたときも、同世代のキャストさんは多かったんですが、ここまでガッツリと何日もかけてお芝居はしなかったので、みんなで会話劇のように演じるのはすごく新鮮でした。僕は俳優を目指す前に、視聴者としてドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』を観ていたので、そこに出演していた方が4人もいらっしゃいましたし、井桁弘恵さんは『仮面ライダーゼロワン』で共演していましたし、(宮世)琉弥くんに関しては、雑誌やテレビなどでよく一緒に並んで紹介されていたんです。それもあって、すごく意識している存在でした。
――宮世さんのことは、以前からチェックをしていたんですか?
していましたね。気になりすぎて琉弥くんが出ているドラマ『青のSP』も観ていましたし(笑)。なので、最初に今作のキャスト表をいただいたときに、知っているお名前ばかりだったのはすごくうれしかったです。実際にテレビで観ていた人たちと共演できることもうれしいですし、すごく刺激をもらいました。さらに、会って一緒にお芝居をすると、それぞれ同じ役者でも、お芝居の仕方が全然違うんですよ。いろんなお芝居を目の当たりにすることができたので、ものすごく学びの多い現場でした。
――宮世さんは実際に会ってみていかがでしたか?
すごくクールな子かと思っていたんですよ。そしたら真逆で、めっちゃ盛り上げてくれるタイプだったので驚きました。役どころとしてもそこまで話す時間も多くなかったんですが、あのキャラクターに良い意味で驚かされました。
――仲良くなれたんですね。
はい。話していく中で、共通の知り合いがいたり、同じゲームが好きだったりしていて、話が尽きなかったんです。クランクアップの日に、一緒にボイスチャットをしながらゲームをして、さらに仲良くなりました。
――どんな話をするんですか?
ゲームの合間にプライベートな話だったり、仕事の話だったり、本当にいろんなことを話します。琉弥くんは年下ですが、キャリアも長いし、すごくしっかりしていて、年下にこんな素敵な人がいて、幸せだなと思いました。さらに、彼といると、良い意味でプレッシャーを感じる瞬間もあったんです。というのも、どこに行っても自分が一番年下で、後輩ポジションだったんですよね。そんななか、こんなにもお芝居が出来て、人としてもちゃんとしている年下の琉弥くんを見ていっそう気が引き締まりました。
――これから宮世さんとふたりでネクストジェネレーションを作っていくわけですね!?
はい、負けないように頑張ります!
高橋文哉(たかはしふみや)●2001年3月12日生まれ。2017年にデビュー。2019〜2020年にかけて『仮面ライダーゼロワン』にて主演を果たし話題に。10月15日よりスタートするドラマ『最愛』(TBS系)に出演する。
<ドラマ情報>
TELASAオリジナルドラマ 『僕らが殺した、最愛のキミ』
【第1話〜第6話】配信中(※第1話は無料配信)
https://www.telasa.jp/series/11875
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