順風満帆に見える令和ロマン、ガラリと変わった芸への向き合い方 【2021年9月連載「これからの芸人百景」第3回令和ロマン】

 

注目のお笑いコンビを紹介する『OWARAI Bros.出張版 これからの芸人百景』第3回は、神保町よしもと漫才劇場を拠点とした活動する芸歴4年目の令和ロマン。吉本の養成所を主席で卒業し、1年目にM-1準決勝進出、昨年は『NHKお笑い新人大賞』優勝とこれからの活躍が期待される存在だが、新型コロナウィルス感染拡大の影響が色濃く反映した昨年、芸への向き合い方がガラリと変わったと言う。俯瞰的すぎる視点でお笑いシーンに佇むふたりは、現状をどう見つめているのだろうか。

企画・構成/竹村真奈・村上由恵 取材・文/高本亜紀 撮影/大槻志穂

 

■昨年の緊急事態宣言によってからっぽな自分に気づいた

 

——芸歴4年目まっただ中の心境を聞かせてください。

 

髙比良くるま 芸歴2年目までは目の前にある課題をドリルのように解きまくって進めてたんですけど、コロナになって急にそれを取り上げられちゃったような感覚に襲われて、どうしよう、何しようってずっとあわあわしてたんです。けど昨年、『NHKお笑い新人大賞』を獲れたことで、あわわわ、わ……あ、漫才やればいいのかなと思えて、あわあわがようやく止まりました。

 

松井ケムリ まぁ、僕はまったくあわあわしてなかったですけど。

 

髙比良 だって、あなた、(昨年の緊急事態宣言中に)ダイエットに成功したもんね。僕はこれからの人生とか生活を考えてぐるぐると頭を悩ませてたんですけど、松井さんは世界が元どおりになったときのことを考えていたんでしょう。素晴らしいよ、あなたは。先があるって思えてたんだから。

 

——2年目までにあった目の前の課題を具体的にいうと?

 

髙比良 バトルライブとかですよね。今日はこのネタで何位で、こうなったらここまで上がれるし、上がったらこのライブに出られる。そういうわかりやすいものをクリアするのが楽しかったんです。けど、その世界は終わりました。

 

松井 ゲームがオープンワールドになっちゃったようなもんだよね。RPGだったらストーリーがあるけど、何やってもいいよって言われちゃったというか。

 

髙比良 苦手だよな、そういうのは。昨年の緊急事態宣言中、ひとりで配信したり、一発ギャグを考えたり、ものまねをしたり、芸人さんたちはみなさん、可能なかたちでいろいろと自主的にやってたじゃないですか。けど、僕はいざ自由になると何もしなくていいやって思ったというか。僕の中から出てくるものは何もなかった。からっぽだった。舞台っていう装置がないと、やってみたいことが何もなかったんです。海に放り出されて溺れかけた状態だった。

 

■全部で3色くらいだった世界がいきなり8Kに

 

 

——で、3年目に襲われた迷いの中で『NHK~』を獲れたことで、少し落ち着いたというか。

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