猫のつまらない話 第12回【6月号 能町みね子 連載】

文&題字イラスト/能町みね子 写真/サムソン高橋

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 私が御駕籠に入ったとらわれの姫こと小町を我が家に迎え入れんとする頃、猫先輩こと西村はちょうどうちの最寄駅に着いたとのことで、御駕籠のオープンは猫先輩が来るまで数分おあずけです。小町は我が家の居間に置かれた御駕籠(猫用キャリーバッグ)のなかで固まっていて、たった数分だけど、それだけで気の毒で心が押しつぶされそうです。この子ってば、精神的に追い詰められないだろうか。今のうちにあれだね、お手洗いとお食事のほうをご用意いたしますね。通販ですでに届いて組み立ててあった猫トイレに、ガッチリ固まる猫砂をザーッと入れ、さらに佐藤さんのところで少しもらっておいた砂をトッピング。これで以前の匂いがつくから、トイレだと気づいてくれるはず。そして、ごはんのお皿、お水のお皿をセッティングし、さらに魚の形のけりけり枕、カシャカシャぶんぶんなどを取り出して準備万端にしているうちに猫先輩が来ました。

「えー!かわいい!!!!!」

「かわいいでしょ!!!!!」

「超かわいくない!!!???」

「超かわいいんだよ〜〜〜!!!!!」

 人はかわいい猫を前にすると語彙の9割と知性を奪われることが分かります。

 さて、2人で見守りながら、いよいよキャリーバッグご開帳です。

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