4日間にわたってお届けした映画「ウェディング・ハイ」公開記念インタビュー。いよいよ映画公開初日を迎えました。
特集のラストは、横川良明氏によるコラムをお届け。キャストインタビューと合わせて読むことで、より作品へのワクワク感が増すこと間違いなしです。
https://tvbros.jp/contents/2022/03/09/34281/
文/横川良明
最近、SNSやインターネットをほとんど見ない生活を送っている。それは、ネット断捨離なんて大仰なものではなく、シンプルに見ると心がしんどくなるニュースが多すぎるから。自分の生活に、社会のこと。大人は、考えなきゃいけないことがたくさんある。
『ウェディング・ハイ』を観て、こんなに心が躍ったのは、そんな思考が沈殿する昨今の空気を吹き飛ばすパワーがあったからだと思う。難しいことなんて何も考えなくていい。ただ劇場のシートに座れば、まるで宴のような時間が始まる。1800円のチケットが、招待状代わり。『ウェディング・ハイ』は、ドレスコードのいらないパーティーみたいな映画だ。
お話の中心となるのは、夢の結婚式を迎える1組の新婚カップル。大はしゃぎの新婦(関水渚)と、流されやすい新郎(中村倫也)。そして、2人を陰で支えるウェディングプランナー(篠原涼子)。予備知識なんていらない。あらすじを事前に何度もチェックして人物相関図を頭に入れておかなくてもいいし、周辺情報を収集する必要もない。ただ結婚式が始まって終わるだけのストーリー。極めて単純明快だ。
だけど、この上なく面白い。あえて語彙を放棄するなら、プハーッと笑って、そこでこう来るかとニヤニヤして、最後はスッキリする。娯楽度指数200%。週末の楽しみにとっておいてもいいし、仕事の終わった平日、まっすぐ帰りたくはないけれど、頭を使うことはしたくないというときにチョイスしてもしっくり来るタイプの映画だと思う。
その面白さを担っているのが、バカリズムの描き出す強烈なキャラクターと巧妙なストーリー。これまでも脚本家として『素敵な選TAXI』や『架空OL日記』など優れた作品を世に放ってきたけれど、この『ウェディング・ハイ』はバカリズム作品の中でも最も広くに門戸を開いたシナリオだと思う。あえてシュールさは封じ、観る人を選ばない笑いに徹している。
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