中村倫也の結婚式に対するイメージは?「そんなに行ったことがないです。友達多い方じゃないので(笑)」【映画「ウェディング・ハイ」リレーインタビュー」】

映画『ウェディング・ハイ』公開記念特集リレーインタビュー。第2回に登場するのは、流されやすい新郎・石川彰人役の中村倫也だ。映画の題名とは違い、ローテンションが持ち味の中村が思わずハイになる瞬間とは…?

撮影/横山マサト 取材&文/横川良明

1日目の篠原涼子さん記事はこちら

僕はやると決めたらテキパキ準備を進めるタイプです

――今回の舞台は結婚式。中村さんは結婚式に対してどんなイメージがありますか。

僕、結婚式自体、そんなに行ったことがなくて。なんだろう。イメージかあ…。なんとなくですけど、ボケようとしたらスベる印象です。

――中村さんは誰かの結婚式に出て泣いたりしますか。

しないですね。

――そんな気がしました(笑)。じゃあ、余興を頼まれたりとかも…。

ないですね(笑)。僕の周りの友達がまだあまり結婚していないんですよね。芸能の仕事をしている友達は何人か結婚していますけど、この世界の人たちの結婚式って、少人数の身内だけか、めちゃくちゃ大々的にやるかのどっちかじゃないですか。で、めちゃくちゃ大々的にやるタイプの人とあんまり仲良くなることがないので、おのずと結婚式に行く機会がないんですよ。僕、基本的に陰キャなんで(笑)。

――中村さん演じる彰人は新婦の遥がいそいそと結婚式の準備を進める中、内心はなんでも良さそうでしたが、中村さんだったらどうですか。

僕だったら、やると決めたならテキパキと何でも進めたくなると思います。テーブルクロスとか席札とかも、たぶん自分から「これとこれでどう?」って言っちゃうんじゃないかな。相手があれこれ迷っているのを聞き流していたら、いつまで経っても進まないですからね。グダグダして長引くくらいなら、「これでいいじゃん」って自分からスパッと決めちゃいますね。

――自分の部屋にこだわりがある彰人は、勝手に物を動かされることに心の中でモヤッとしていました。ああいう人は多そうですが、中村さんはどうですか。

僕は全然平気です。そんなことにはこだわらないというか、気にならない。何にさわろうが動かそうが、どうぞという感じです。彰人は何か思っていることがあっても、当たり障りなくやり過ごそうというところがあるんですよね。意外かもしれませんが、彰人とは正反対のタイプかもしれません。

披露宴のシーンは楽させてもらいました(笑)

――彰人と遥の男女のズレが前半の笑いのポイントでしたが、演じる上で意識したことはありますか。

そういう新郎新婦のあるある的な部分をしっかり押さえることと、面倒くさがりだけど彼女の気分を害さないように立ち回ること。今回の柱はこの2本でした。逆に言うと、それ以外のことはあまり準備していなかったです。

――そうなんですね。遥役の関水渚さんとは初共演ですが、何か心がけたことはありますか。

特別なことは何も。僕は誰にでもこんなノリで話しかけるタイプの人間なんで、普通に喋ってました。ただ僕の方が年上で、経験もありますし、彰人という役自体、どの人が相手でも徹底的に受けの芝居なので。渚ちゃんに対しても、基本的に渚ちゃんが出してきたものに対して、そういう感じねと受けて返すということをやっていました。

――宮尾俊太郎さんが演じたバーのマスターとの絡みなど、受けの中村さんの面白さが光っていました。

今回はクセが強い人がいっぱいいるので。そこで僕が攻めに回ってもぶつかってしまうだけ。一応、お話としては彰人と遥が真ん中にいる役なので、僕としては周りのみなさんがひたすら攻め続けるのをちゃんと受けることが、作品にとってもいいんだろうなと。

――披露宴のシーンでは、途中からみなさんをただ見ている役回りになるじゃないですか。

そうです、そうです。おかげであのシーンではお客さんの感覚で楽させてもらいました(笑)。みなさんが手品を練習したり、必死にスピーチを覚えているのを見ながら、いや〜すみませんね〜と思いながら。

――とおっしゃっていますが、マスコミ用のプレスリリースで大九明子監督が「披露宴中はどうしても薄くなりがちな新郎のキャラクターをより魅力的なものにしてくれた」と絶賛されていますよ。

本当ですか?(プレスリリースを読んで)あ、本当だ、書いてある。でも僕、そんなことをしていたのか、全然覚えていないです。さすがですね、中村倫也。意識しないでやっているんだから。

――意識してなかったんですね(笑)。

まったくです。みなさんがやっているのを見て、素直にリアクションしていました。ただ強いて言うと、遥と彰人は軸なので。いろんなキャラクターが次々と出てきて、みんながそれぞれ面白いことをやる中、観ているお客さんが立ち返ってくる場所になるのが、この2人。作品の起点でいられるよう、どういうリアクションがいいのか取捨選択してやっていたところはあると思います。

――今回の作品を演じてみて、結婚式を挙げたいと思うようになりましたか。

残念ながら、そういう思いは起きなかったですし、特に出席したいという気持ちにもならなかったです(笑)。もともと行事に対する執着がないんですよね。やると決めたらやるって感じだし、来てと誘われたら、じゃあまあ行くわ〜みたいな感じなのかなあ。

――ちなみに、劇中、バーの人が結婚式に来たがっていましたが、もし中村さんが彰人と同じ立場だったらどうしますか。

バーの人は断ります。他人ですから(笑)。

いままでテンパった記憶がないです

――今回、中村さんの他に篠原涼子さん、関水さん、岩田剛典さんの4人にご登場いただくのですが、この中でいちばんトラブルに強そうな人は誰ですか。

岩ちゃんは賢いので、ピンチにも強そうですね。僕と篠原さんもなんだかんだヘラヘラし ながら楽しく乗り越えちゃいそう。関水さんはどうだろう。たぶんひとつひとつのトラブルにすごい振り回されることになってそうですね。

――確かに中村さんがパニックになる姿が想像つきません。

そうですね。そんなにあわあわすることが、人生で起きたことがないです。基本的に何があっても冷静だと思います。今までテンパった記憶というのがないんですよ。なぜなんでしょうね。性格なのか生い立ちなのか。何に対してもいつも客観的なんですよね。

――羨ましいです。

でもそれは、おさむっち(向井理)もそうだと思いますよ。岩ちゃんも『崖っぷちホテル!』で一緒にやらせてもらいましたけど、そのときから冷静な人だなという印象だし。

――なぜ中村さんはそんなに落ち着いているのでしょう。

舞台をずっとやっているというのも大きいかもしれません。舞台をやっていると毎日何かしらのトラブルが起きるので、慣れるところはあるんじゃないですか。

――今まで経験したピンチやトラブルというと何を思い出しますか。

なんだろう。あ、それこそ舞台といえば去年『狐晴明九尾狩』をやっていたときに、本番中に持っていた剣がすぽーんと抜けて、客席に落ちちゃったんですよ。それでどうしようかなと。

――どうしたんですか。

それが殺陣の最中で、あと4手やったら台詞に入るんで、その4手までは、何も持たずに手でやりました。そしたら、その間に他の人が取りに行ってくれるだろうし、もし誰も行けなかったら自分で取りに行けばいいやと。たぶんそれを考えていた時間ってほんの1秒くらいだと思うんですけど、基本的には何が起きてもそうやって冷静に、今できうる最善の手を考えようとしちゃうんですよね。たぶんそういう思考回路なんだと思います。

僕がハイになるのは4年に1度だけです

――では、全キャストの中で最もハイだった人は?

カメラの前でハイだったのは皆川(猿時)さん。現場ですごく気さくだったのは篠原さんでした。すごくフランクで、しょっちゅう一緒にしゃべってくれました。こっちからしたら、小さい頃から見ている大先輩じゃないですか。だから、失礼のないようにと緊張したりするんですけど、あれだけ自然体で話しかけてくれると、みんな楽だったんじゃないかなと思います。

――せっかくなんで、中村さんがハイになる瞬間も教えてほしいのですが。

ないっす。

――そう言わずぜひ(笑)!

何かあるかな。あ、W杯で日本代表が活躍したらハイになります。だから、僕がハイになるのは4年に1度だけですね。まあ、もしくは4年に1度ないかもしれませんけど(笑)。

――今まででいちばんハイになった試合はなんでしょう。

(ベスト16に進出した)2010年のW杯はハイでしたね。2002年もすごかったんですけど、当時はまだ自分も高校生でサッカーをやっていたので、観る側として入り込むことがなかったんすけど、2010年は純粋に盛り上がりました。確か試合が放送されたのが撮影の合間か何かで、現場のロケバスで観たんじゃなかったかな。知らない日本がそこにいる気がして、すげえと思いながら応援していました。

――中村さんもゴールが決まったらウォーッてガッツポーズをしたりするんですか。

しないです(笑)。こんな人間がウォーってやるのって、似合わないじゃないですか。だから、あえてふざけてやったりはしますけどね。試合中は戦術をチェックしたり、試合の展開を予想して自分で対策を考えたりするのが好きです。

映画「ウェディング・ハイ」

3月12日(土)ロードショー

出演:篠原涼子 中村倫也 関水渚  岩田剛典
脚本:バカリズム
監督:大九明子
配給:松竹

(c)2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

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