愛猫5匹をうまく撮るために昨秋、ミラーレスデジタルカメラを購入したミキ・亜生によるカメラ連載。第10回はモノクロ写真を撮ることで、光や形、質感、そして焦点への意識を学びました。
編集/藤本あき
取材・文/高本亜紀
撮影・撮影指導/大槻志穂
連載「感度ゼロからのスタート」過去記事はこちらから
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色を排除して「ものの切り取り方」を深める
亜生 今回もよろしくお願いします!
大槻 お願いします。基礎は前々回までにすべて終えているのですが、最後にモノクロについても学んでもらおうと思います。亜生さんは自分の好きなもの――例えば丸いものが好きだとか硬質な写真を好んで撮るだとかがわかってきているので、色を排除して「ものの切り取り方」を一層深めてほしいなと。モノクロ写真にはどんなイメージを持っていますか?
亜生 ちょっと寂しい感じですかね。色がない分、いい意味で感情がないというか、かっこいいイメージがあります。
大槻 モノクロ写真と言われると白黒写真を思い浮かべるかもしれませんが、単色の濃い部分から白までのグラデーションを用いてワントーンで色を表現したもの全てをモノクロと呼びます。
亜生 じゃあ、青と白の写真もモノクロ?
大槻 そのグラデーションで表されたものはモノクロですね。色というのは、被写体がどういうものなのかを知るのに重要な情報源になりますよね? 例えば、波打ち際で茜色の夕暮れを写した写真があったとします。カラーであればその様子が瞬時に理解できますけど、モノクロの場合はどんな時刻に撮られて空の色はどうなのか、すべて想像しなければいけない。
亜生 色から得られる情報がなくなりますもんね。
大槻 そうなんです。一方で、モノクロで写されると打ち寄せる波の形状や雲のかたちがよりフォーカスされてる分、その形状の魅力はより伝わるようになります。
亜生 となると、撮る時に何が大事になるんですか?
大槻 ポイントを3つ絞ってみました。まず、大事なのは光です。その1つ目の要素としてハイライトとシャドー。光と影ですね。黒と白のモノクロ写真の場合、光が当たってる部分が一番白く写って、光の当たり具合によってグラデーションが起こり、全く光の当たらない部分が一番黒くなります。光の明暗差をコントラストというんですけど、強いとドラマティックな写真に、弱いと穏やかな柔らかい写真になります。
亜生 光が強いほうが明暗がはっきり出るってことですね。
大槻 そうです。あと、どこから光が当たっているかも大切な要素になります。被写体とカメラが向き合ってる場合、被写体を基準とすると正面から当たる光を順光、背後から当たる光を逆光と言います。
亜生 逆光ってよく聞くなあ。
大槻 で、斜めから当たってる光を斜光、真横から当たる光をサイド光と言います。光の当たる場所によって印象の違う写真が撮れるということです。例えば、影が横に出るサイド光だと被写体がより立体的に、逆光で撮ると被写体のアウトラインが出たりします。
亜生 見え方が変わるんですね。
大槻 また、光の強弱も大切です。光の強さを硬いか柔らかいかで表すなら、晴天の昼間、外で撮った時に影がくっきり出る状態が硬い光、曇天や窓から離れた室内で撮った時に影が薄く出る状態が柔らかい光になります。
亜生 硬い光かっこよさそう。せっかくなら硬い光で撮ってみたいですね。
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