“裏切られた映画たち”とは、どんでん返しなどではなく、映画に対する価値観すら変えるかもしれない構造を持った作品のこと。そんな裏切り映画を語り尽くす本連載。今月は、初の“漫画”をピックアップ! 漫画家・いましろたかしの長編デビュー作『デメキング』です。さあ、語っていただきましょう。
取材・文/渡辺麻紀 撮影/ツダヒロキ
※この記事は『TV Bros.』本誌10月号(発売中)でも読むことができます。
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いましろさんは代替不能性を獲得している。
私に言わせれば“最強”ということです。
――今回は映画ではなく漫画を選んだ押井さんです。いましろたかしの『デメキング』。91年から集英社の『ビジネスジャンプ』で連載されるも14話で打ち切りになり、07年に太田出版から『デメキング 完結版』というタイトルで最後のオチが入ったものが単行本化されました。
押井 麻紀さん、どうだった? というのも、この漫画家を好きかどうかでその人の資質がわかるから。
ーー絵の古めかしさもあって、好きかと問われると微妙ではありますが、いつか面白くなるんだろうと思いながら読んでいると、いつまで経っても面白くならない。巨大隕石が落ちても変化がないというのは、ある意味凄いのかもしれない。
押井 みんなそう思うんですよ。連載していたときも、みんなそう思っていた。隕石が落ちモンスターがからむことでどんな漫画に生まれ変わるのか? それまでがクソリアリズムの世界でしょ? そんな世界にモンスターなんだから、ある種の思考実験と言ってもいいよ。作家本人がそれを意識したかはわからないけど波乱万丈の、いかにも売れそうな漫画を描こうとしていたフシはある。
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