猫のつまらない話 第4回【2020年10月号 能町みね子 連載】

文&題字イラスト/能町みね子 写真/サムソン高橋

 わたくし、青森が好きで、よく青森に行くんですけども。

 ああ、青森に行くことは猫とは関係ない。だいたい、猫は寒いところが苦手です。猫はコタツで丸くなる。北に行けば行くほど野良猫に会える可能性は減少。東南アジアでは薄汚れた野良猫をたくさん見たけれども、以前にアイスランドに行ったときはけっこう散歩したのに野良猫らしき生き物をたった1匹しか見ませんでした。そこからさらに北へ、グリーンランドにも行ったんですが、その時は5日間も散歩したというのにまったく見ませんでした。北と猫はあまり相性がよくないのです。

 でも、青森の話をする。

 で、私は青森が大好きでして、青森県内なら津々浦々かなり広範囲を巡ってきました。しかし交通の便は決してよくないので、押しも押されもせぬゴールデンペーパードライバーの私は友人の車に乗せてもらうわけです。それで、特に下北半島の先っちょのほうまで行くなんてことになると、同じ県内とは言ってもなかなかの距離がありますし、道のりがわりと殺風景で単調なんですね。すると、だいたい横浜の道の駅にふらっと入ってしまうわけです。

 横浜?青森の話をしていたのではないのか。

 そういう視野の狭さはよくないですね。青森にも横浜というところがあるんですよ。斧の形をした下北半島の、柄の部分のちょうど真ん中へん。そのため、「横浜」という苗字の人は青森県出身であることが多いんだそうです。横浜市出身の横浜流星さんは、横浜出身だからこういう芸名なのかと思ったら本名なんだそうで、元をたどれば青森のほうの出なんですって。

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