打ってはホームランを量産、投げては100マイルの速球と消えるスプリットで三振の山を築く。連日報道される大谷翔平選手の活躍は日本を明るくしてくれるけど、メジャーリーグの他球団を応援する日本のファンはどう思っているんだろう? そんな疑問のもと、インタビューに答えてくれたのは高校生の頃からボストン・レッドソックスを応援するお笑いコンビのラバーガール・大水洋介さん。大谷選手のことはもちろん、引退を発表した松坂大輔選手や抜群の安定感でチームを支える澤村拓一選手について、日本屈指のメジャーリーグショップ「セレクション新宿店」でお話ししてくれました。
撮影/田中久之 取材・文/編集部
レッドソックスは「荒くれ者の集まり!」って感じが、かっこいいなと思ったんですよね。
──大水さんはレッドソックスファンとお聞きしたのですが、大谷選手が大活躍している今年のメジャーリーグはどのようにご覧になってますか?
大水:まず朝起きたら大谷選手がホームランを打ったか確認してから、レッドソックスの試合結果をチェックします。やっぱり大谷選手はどのチームのファンとか関係なく見ちゃいますよね。僕、高校生の頃、毎月「SLUGGER」(日本スポーツ企画) っていうメジャーリーグの雑誌を読んでいたんですけど、教室で読んでるとクラスで変人扱いされたんですよね。「お前なんでメジャーの雑誌読んでるの?」みたいな感じだったのが今、そんなに野球に興味ない人たちが大谷選手の話をしているのを見て、「これがスターなんだ!」って思いました。メジャーリーグの話をする人が増えて嬉しいです。
──高校生の頃から好きなんですね。大谷選手のように活躍している日本人選手が多くない20年前に、大水さんがメジャーリーグを見るようになったきっかけは何かあったんですか?
大水:子どもの頃から野球はずっと好きだったんですけど、高校生の頃にメジャーリーグの試合を見ていると「これすげえぞ…」ってなって。一番違ったのは、内野手の肩の強さですね。逆シングルで捕ったのをノーバウンドでファーストに投げてアウトにするなんて、日本で見たことなくて。そこからメジャーの試合を見るようになったんです。
──メジャーに熱中してた頃のエピソードはありますか?
大水:雑誌「SLUGGER」の似顔絵コーナーに投稿していて、かなりの確率で掲載されてました。特に絵が上手いわけじゃないんですけど、必ず掲載されているケン・グリフィー・Jr.やバリー・ボンズみたいな当時現役のスター選手をみんな投稿してたと思うんですけど、僕は昔のスター選手、例えば1960年に引退した最後の4割打者・テッド・ウィリアムズとか描いてたのが編集部の方にウケたのか、よく採用されていました。
──過去のメジャーリーガーも好きなんですね。
大水:メジャーリーグの歴史を調べるのも好きでしたね。過去の試合の映像集を、当時はVHSで買ったりしてました。
──メジャーの中でも、なぜレッドソックスが好きになったんですか?
大水: 1990年代後半から2000年にかけて、ヤンキースがめちゃくちゃ強かったんですよ。一方で、レッドソックスは毎年いいところまで行くんだけど、最後の最後にヤンキースに負けちゃうっていうのが続いてたから、いつのまにか応援するようになってて。チームカラーもヤンキースは大人しくて、長髪やヒゲも禁止されていて、どちらかというと紳士的だったんですけど、レッドソックスの選手はドレッドヘアーやヒゲモジャもいて「荒くれ者の集まり!」って感じで、かっこいいなと思ったんですよね。
──日本人選手が所属しているから応援する、という感じではなかったんですね。
大水:2001年に野茂英雄選手が在籍したり、大家友和選手も活躍してましたけど、日本人選手目当て、というより当時スターだったペドロ・マルチネスやマニー・ラミレスを目的に見てた感じですね。あと、キャッチャーのジェイソン・バリテックも好きでした。
──そのころ、大水さんの周りにメジャーリーグの話ができる人は周りにいましたか?
大水:全然いなかったんですけど、一人だけメジャー好きな友達がいて。僕が毎月「SLUGGER」を買って、その友達は「月刊メジャーリーグ」という雑誌を買ってて、お互いに交換して読んでました。実は、このお店もその友達と20年前に何回か来てるんですよね。その時はレッドソックスのレプリカユニフォームを探してたんですけど、大人用だとサイズが合わなくて、キッズサイズを試着したらぴったりだったので買いました。
楽天も好きです。
「日本のチームだと東北楽天イーグルスも好きですね。春先は毎年強いんですけど、夏になると必ず順位が落ちちゃうんです。そういうところも可愛いんですよね。パ・リーグはソフトバンクが無敵なので、楽天が理想ですけど、とにかくどこかのチームがソフトバンクを倒してくれ!って思ってます(笑)。」
──2007年に松坂大輔選手がレッドソックスに移籍した際、大水さんの心境はいかがでしたか?
大水:もちろん「レッドソックスに来て欲しい!」って思ってたので嬉しかったんですけど、「大丈夫かな?」って心配の気持ちもありました。レッドソックスのファンって熱狂的だから、活躍できなかったら味方選手にも容赦なくブーイングするんですよ。本拠地のフェンウェイ・パークもどちらかというと打者有利の球場だから心配だったんですけど、移籍した年にワールドシーリズで初めて日本人選手として白星を上げて、ワールドチャンピオンになったわけですから、この辺がやっぱり持ってんなあって思いましたね。
──学年で言えば、大水さんは松坂さんの2個下で、高校の頃から活躍を見てるわけですよね。やはり松坂選手の引退は寂しい、という気持ちですか?
大水:引退は寂しいっていうのもあるけど、レッドソックスファンからしてみれば、2007年にワールドシリーズ優勝へ導いてくれてありがとうっていう気持ちが強いですね。多分、あの年のレッドソックスが一番強かったんじゃないかな。松坂選手は同年代として、ずっと刺激になる存在で、いまだに年齢をきかれると「松坂世代の2個下」みたいな説明をしちゃうんです。
大谷くんはもうレッドソックスに来るしかないんです。
──大谷選手がメジャー移籍を表明した際もレッドソックスは獲得に向けて動いていましたね。
大水:僕としては、レッドソックスに来て欲しい気持ちもありましたけど、まだ若かったんで、もうちょっとプレッシャーの少ない球団で数年プレーした後に、レッドソックスに来てくれないかなって思っていましたね。2023年にエンゼルスとの契約が満了になったらレッドソックスに来てもらいたいですね。
──将来的には打者か投手か、どちらかに専念すべきという意見がありますが、レッドソックスは大谷選手を二刀流でプレーさせてくれますかね?
大水:させてくれるでしょう! 大谷選手は「ベーブルースの再来」なんてよく言われますけど、ベーブ・ルースが二刀流でプレーしていたのはレッドソックス時代で、史上初の二桁勝利・二桁本塁打を記録しているんです。その後、ヤンキースに移籍したんですけどその時は打者に専念してたので、ベーブ・ルースが真の二刀流といえるのはレッドソックス時代なんです。だから大谷くんはレッドソックスに来てもらって、二刀流をやってもらえたときはまさしく「ベーブルース2世」と言われると思うんで。こうなるともうレッドソックスに来るしかないんです。
店頭のガシャポンにて
──現在、レッドソックスには澤村拓一選手が在籍してますが、一年目ながら活躍していますね。
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