上坂すみれが愛してやまないものをハードコアに語る連載が本格スタートしました! なにをもってハードコアと呼ぶのかは読者諸君の想像にお任せしますが、とにかく一筋縄じゃいかない上坂さんのことなので、毎回どんなテーマが飛び出してくるのか、お楽しみに。初回は上坂さんが最近リバイバル上映を観ていたく感銘を受けたという「戦場のメリークリスマス」および、デヴィッド・ボウイへの思いを語ります。衣装もデヴィッド・ボウイにオマージュを捧げたグラムロック風です! ”上坂すみれの想像するデヴィッドボウイ”なのでお手柔らかに!
取材&文/南波一海 撮影/藤本和典 ヘア&メイク/北川恵(クララシステム) スタイリング/佐野夏水
「戦メリ」を観た帰り道、道ゆく人に心配されるほど泣きました
――今回は「戦場のメリークリスマス」及びデヴィッド・ボウイがテーマということで。今年の春から4K修復版が全国規模で上映されていますが、作品自体は10年くらい前にご覧になられているんですよね。
そうなんですよ。前に1回観ていて、映画館でリマスター版上映をやるというのを知って、新宿武蔵野館へ行ったんです。映画館で12回くらい泣いて、武蔵野館から出て新宿駅に行く途中も感動で3回くらい思い出し泣きしまして。道行く人に「大丈夫ですか?」と言われながら帰りました。
――(笑)。そこまでハマった理由はどこにあるんでしょう。好きなものがより明確になった上で鑑賞したら、また違って見えたとか?
たしかに初見当時はビートたけしの歌も、坂本龍一のソロ・アルバムもそんなに聴いてなかったので、ストーリーを追いかけるのに一生懸命だったと思うんです。意外とキャラもいっぱい出てきますし。2回目を見たらすごく理解できたという感じなんですかね。
――そうしたらデヴィッド・ボウイのグッズを買い漁るに至り。
デヴィッド・ボウイのCDは持っていたんですけど、全然聴いてなかったなと思って買い直したり。あとは、権利関係はよくわからない動画ですけど、YouTubeに上がっている大島渚とデヴィッド・ボウイとビートたけしが授賞式に出ているインタビューを見たり。それからデヴィッド・ボウイのインタビュー本を買ったりしていて、大層面白く読んでます。漠然とロックスターの暮らしっていいなって。
――どんなところに惹かれていったのでしょう。
まずはビジュアルです。デヴィッド・ボウイってオッドアイですよね。で、そうなったのは友達の彼女を奪ったことで殴られて、とか言われていて。でもこれは気に入ってるぜ、みたいな。ケンカでオッドアイになるのかというと疑問ですけど(笑)。
――失明寸前までいった、という話ですよね。オッドアイに関しては諸説あるみたいですが。
でも、あんな先天性のモテ男が存在するんだという衝撃がありました。デヴィッド・ボウイに生まれたら大変だなって。女子にも男子にもモテてモテてしょうがない暮らしで。お世話をしていた女性が「マジであいつはコーヒーしか飲まない」みたいな証言しているんですけど、たしかに放っておくとコーヒーしか飲まない人がいたら心配になるよなと。
――どうしたって世話を焼かせてしまう魅力があるというか。
ですよね。あとは、10代の頃から自分を売り込んでいたじゃないですか。私は最初からスターになるぞというテンションで活動してこなかったので、すごく偉いなと。スターはスターになろうと目標を立てないとなれないんだと思いました。
――最初からスターになるぞというテンション(笑)。幾つものバンドを経ていて、下積み時代があったんですよね。
「スペイス・オディティ」みたいな曲を出すまで大変だったみたいで。バンドの人とケンカしたり、あちこち転々としたり、声優業界にはなかなかいないタイプですよね。アフレコ現場で取っ組み合いしたりすることはないので。
――そうですか(笑)。
そう思うとロックスターは大変です。色んなことが起きるから、本が全然進まないんですよ(笑)。あんなふうに気軽に彼氏と彼女がいっぱいいる人ってすごい。LINEとかがない時代だから追いかけ回されることもなかったのかな。令和の時代にあの暮らしをしてたら、すごい炎上しそうですよ。
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