リメイク版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ等でキャラクターデザインを担当するアニメーターの結城信輝さん。1作目は深作欣二×千葉真一による柳生十兵衛ものの異色作『魔界転生』だったが、果たして2本目は?
取材・文/渡辺麻紀
<プロフィール>
結城信輝(ゆうき・のぶてる)●1962年東京生まれ。アニメーター、漫画家。主な作品に『ファイブスター物語』(1989年 キャラクターデザイン、作画監督)、『ロードス島戦記』(1991年 キャラクターデザイン、総作画監督)、『天空のエスカフローネ』(1996年 キャラクターデザイン、OP・ED作画監督)などがあるほか、『宇宙戦艦ヤマト』リメイクシリーズ全作(『宇宙戦艦ヤマト2199』~『宇宙戦艦ヤマト2205』<2012年~2022年>)に携わっている。現在は新作の準備中。
ゾンビは世の中をいっぺんさせる『現象』。実は地震や洪水と同じだと思うんです。
――結城さん、今回は2本目を挙げていただきます!
2本目は『ゾンビ』(1978年)です。ジョージ・A・ロメロのゾンビ・シリーズの第2弾。
――結城さんが『ゾンビ』というのはちょっと意外な気もしますが。
実はその昔、ゾンビ漫画を日本を舞台にして描こうと思っていたんです。前回、『魔界転生』で学んだケレン味を『ヴェルバーサーガ』というファンタジー漫画で活かしたと言ったじゃないですか。でもこれ、完結してないんですよ。というのも当時の僕はアニメーターとして角川作品に参加していて、アニメが忙しくなるとそっち優先にされて漫画の連載が中断されていたんです。漫画連載も同じ角川系列だったのでそういう連携プレーをされてしまったというか(苦笑)。
ところが、中断が何と5年も続いちゃって、じゃあまた漫画をやろうかということになったとき、『ヴェルバーサーガ』を再起動するのもヘンだろう。読者のほうが驚くよって。で、新しい作品にしようということになり、僕があげたテーマがゾンビものだったんです。
――いまこそゾンビ漫画は結構ありそうですが、当時としては割と珍しかったのでは?
そうですね。日本を舞台にしたゾンビものというのは珍しかったかも。今は実写映画にもなった『アイアムアヒーロー』等がありますよね。
僕としては、本格的にゾンビものを描きたかった。漫画ファンが喜んでくれるような漫画です。だからロケハンもして、かなり力が入っていたんだけど、自分でハードルを上げすぎたのか、結局はかたちにならなかった。
――ということは、そういうきっかけになったのがロメロの『ゾンビ』だったわけですね?
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