年齢を重ねたら良いものを持つべき? そんなものは嘘、嘘、嘘【2022年9月光浦靖子連載「傷なめクラブ」】

みつうら・やすこ●エッセイ集「50歳になりまして」、手芸作品集「私が作って私がときめく自家発電ブローチ集」ともに文藝春秋より発売中です。
近況:夏はキャンプに連れて行ってもらいました。小さな子のいる5ファミリーと私。みんなが私をおばあちゃんのように優しく扱ってくれました

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<今月のお悩み>

「一生物のブランド品」、「年齢を重ねたらそれなりに良いものを持つべき」、って言葉をよく聞きますが、この歳になるけど、そんなものは持っていません。若い頃はそもそも買えなかったし、ブランドにも詳しくないです。ただ、私も50が見えてきて、もう結婚しないだろうし、思い切って自分のためにそういうものを買ってみてもいいのかなと思ったりしています。光浦さんは50の記念に何か買ったりしましたか?(momoko・48歳・会社員・女)

 

<お答え>

 

そんなもん、嘘、嘘、嘘。お金は自分の欲しいモノ、やりたいことに使うべきだね。

 

私は50歳の誕生日も、51歳の誕生日も、何も買いませんでした。カナダに留学に来てからはほとんど服など買っていません。

昔、あるタレントさんに言われたことがあります。「安い服を着てると安っぽい人間になるぞ。本物の服(高い)を着てるとそれに見合う人間になってゆくぞ」と。そんなわけないとは思いつつも、なんか妙に引っかかって、安い服を買うときに少し罪悪感みたいなものを感じる時期がありました。「運もお金も使っただけ回ってくるんやでぇ」と売れっ子芸人さんたちが言うので、私はケチだから仕事が増えないのか? 高いモノを買えばいい仕事が舞い込んで来るかも? と、願掛けブランドバッグとブランドパンプスを購入したこともありました。

が・・・そんなもん・・・嘘だね。嘘、嘘、嘘。お金は自分の欲しいモノ、やりたいことに使うべきだね。

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