第19回 劇画狼が選ぶ、｢2021年下半期に1巻が発売されたオススメマンガ｣10選

まんがだいすき！　特に暴力と殺戮のまんががだいすき！
ということで！　今年も色々なマンガが始まったり終わったりしましたが、今月は年末のまとめとして劇画狼オススメの「今年下半期に1巻が出たばかりのマンガ」を10作ほど紹介しますので、気になったものがあれば是非参考にどうぞ(ランキングじゃないので思いついた順)。

今年上半期のオススメはコチラ

作／炭酸だいすき　画／でむにゃん『FX戦士くるみちゃん（１）』（KADOKAWA）※コミックフラッパーで連載中

初っ端からフルスロットルで人間の悪意だけを描いた逸品。
「末路」大好き！　いいんですよ、地獄に落ちるべくして地獄に落ちる人間の不幸を娯楽にしたっていいんですよ。

意志強ナツ子『るなしい（１）』（講談社）※小説現代で連載中

今年出た本の中でもトップクラスに｢作者が邪悪｣な一冊。
意志強ナツ子×宗教ビジネスという時点でキラキラした破綻が確定しているし、作者が盤面の駒を動かす差し手として、優秀過ぎる「鬼」。意志強ナツ子は鬼。

作／原克玄　画／ゴトウユキコ『フォビア（１）』（小学館）※ビッグコミックスペリオールで不定期連載中

ゴトウユキコの絵柄で単発ホラーがここまでハマるとは。原作と作画が良いシナジーを起こしてて最高だし、「これはホラーなんだから、エロがったらダメなんだ」というバランスで出てくる人間の汚い性が異常にエロい。どうなってるんだ。人間が汚い話だぞ。

的野アンジ 『僕が死ぬだけの百物語（２）』（小学館）※サンデーSとサンデーうぇぶりで連載中

ホラーといえば今年はこれも最高。毎回「たった13ページ」で、視覚的にインパクトあるクライマックスと不安感ある余韻を両方やりきるのは超高等技術では。現在進行形で生み出されていく「ホラー漫画史に残ってほしい一作」という感じ。

作／井龍一　画／伊藤翔太 『降り積もれ孤独な死よ（１）』（講談社）※マガジンポケットほかで連載中

今読んでるクライムサスペンス/ノワールみたいな方向の作品ではこれが一番ピリピリしてますね。サスペンス作品って、犯人を謎にするために撒き餌をばらまいて引っ張りすぎると、追うのが面倒臭くなる時があるんだけど、1巻のテンポすごくいい。

岡田淳司 『双生遊戯（２）』（講談社）※週刊ヤングマガジンで連載中

こちらもサスペンス要素ありで「今一番、ページを開いて美しいシーンが多いやつ」。良い読み方ではないかもしれないけど、多分今後「笑うシーンではないのにどう考えても面白い」がハイクオリティで量産されていく気もする。

画／月村了衛　原作／フクダイクミ 『土漠の花（１）』（少年画報社）※ヤングキングアワーズで連載中

ソマリア×自衛隊。コミカライズ作品で、マンガの1巻を読んでテンション上がって、すぐに原作小説を一気読みしたの久しぶり。

たべ・こーじ『女任侠伝 修羅（１）』（LINE Digital Frontier）※LINEマンガで連載中

マンガの形で発表されたけど100％映画だし、とにかく「第一話の最初のページでキノコ雲を発生させて舞台設定を完全説明する」というのは最高。
決めゴマで「音が止まる」かっこよさ、すごい。

著／久正人　原作／円谷プロ『ミラーマン2D（１）』（ヒーローズ）※コミプレ、TSUBURAYA IMAGINATIONで連載中

「鏡を使った瞬間移動のギミックを、特撮作品のカメラワークをイメージしてどう描くか」、みたいなところで日本一のマンガ決定。ストーリー的にも久先生必殺の「めちゃくちゃなピースのハマり方をしてパズル完成」が期待できる。かっこよすぎる。

大野将磨『リモデリング（２）』（集英社）※となりのヤングジャンプで連載中

熱さだけなら『リモデリング』が一番好き。決して「めちゃくちゃ上手い絵」ではないのかも知れないけど、見せたい表情だけは100億点をたたき出すメリハリがある。心の中の子供の「原初の面白さ」みたいなところを的確に刺してくるので最高。

宮川輝 『グレイトトレイラーズ（１）』（光文社）※COMIC熱帯で連載中

「24ゾイド大好き！」の気持ちが30年ぶりに復活した(説明になっていない)。

作／山田参助　原案／牛次郎　監修／横山プロダクション、日刊ゲンダイ『新やる気まんまん オット！どっこい（１）』（リイド社）※日刊ゲンダイで連載中

過去の名作を忠実にリメイクしつつ、「令和にエロで笑わせる」ということをここまで完璧にやりきってるのは驚愕でしかない。人類の最後の幸福では？

ということで、以上12作が2021年下半期オススメ10選となります。
来年このあたりの作品がもっと盛り上がると個人的にすごくうれしいですね。全ての漫画家さん、お体お大事に！

げきが・うるふ●マイナーマンガ紹介ブログ・なめくじ長屋奇考録の管理人＆特殊出版レーベル・おおかみ書房編集長。今年のベスト5については、宝島社「このマンガがすごい！2022」に寄稿しています。

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