『恋です!』で大ブレイク!なぜ杉野遥亮は森生役がこんなにハマるのか?

文/横川良明

豊作揃いの秋ドラマ。中でも最もブレイクを果たしたのが、ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール』(日本テレビ系)に出演中の杉野遥亮だろう。

https://twitter.com/koidesu_ntv/status/1463489890767683585?s=20

 

1995年生まれの26歳。ドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)で俳優デビュー。以降、映画・ドラマと出演作を重ね、将来有望な若手俳優の一角を担うまでには時間がかからなかったが、そこからさらに頭一つ抜け出すきっかけをなかなか掴みきれずにいたように見えた。

 

それが、この『恋です!』で演じる心優しきヤンキー・黒川森生役で大化け。キャリアハイと呼べる当たり役を手に入れた。なぜ杉野遥亮はこんなに森生がハマるのか。その歩みを辿りながら、俳優・杉野遥亮の魅力を解剖したい。

 

 

活動初期は、森生とは正反対の“シュッとしたイケメン”が定番キャラ

 

2010年代以降の若手俳優には、おおむね一定のキャリアパスがある。それが、「キラキラ映画」と「配信ドラマ」だ。少女漫画を原作とした恋愛系の映画・配信ドラマでイケメン役を演じ、場数を踏む。杉野遥亮も例に漏れず、活動初期はこうした作品で同世代からの人気を集めてきた。

 

中でも代表的なのが、dTV×FODによる共同製作ドラマ『花にけだもの』。本作で杉野は、王子様系プレイボーイ・柿木園豹を演じた。1話からいきなり上裸で壁ドンしたかと思えば、身長30cm差のヒロインに身を屈めて指切りしたり、おでこキスをしたり、イケメン俳優が通る“洗礼”を通過。

 

キラキラ映画でいえば、『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』が印象的だ。こちらで演じたのも、学校一のイケメン・久我山柊聖。ちなみに本作でも登場するなりパンイチという、わかりやすい“洗礼”から始まり、壁ドン、バックハグなどキュン仕草が大量に盛り込まれていた。

 

豹にせよ柊聖にせよ、性格の違いはあれど、いわゆるモテ役で、佇まいもスマート。持ち前の涼やかな顔立ちと高身長もあって、杉野遥亮自身はどちらかと言うと、感情の起伏が大きくはない“シュッとしたイケメン”ポジションを振られることが多かった。

 

ただ、それはあまりにもおさまりが良すぎて、杉野遥亮だけの個性というのがなかなか見えづらかったのも事実。“シュッとしたイケメン”だけではない新たな一面が待たれてはいた。

 

 

ポンコツすぎるダンス動画で感じた“確変”の風向き

 

そんな中、個人的に“確変”の風向きを最初に感じたのは、昨年の外出自粛期間。所属事務所の公式YouTubeチャンネルで杉野遥亮は『これはダンスか体操か?検証動画』を投稿しはじめる。

 

https://youtu.be/I9RSQh5rofc

 

これが絶妙に愛らしかった。長い手足を持て余したような杉野遥亮のたどたどしい踊りは、伝説の“井森ダンス”級。今までの“シュッとしたイケメン”像を覆す破壊力で、役柄だけでは見えてこない天然っぽさやポンコツ感が一気に知れ渡ることとなった。

 

杉野遥亮に限らず、日本は正統派の美男子が評価されにくい土壌が少なからずある。どちらかと言うと、顔は美形だけど背は低いとか、端正な顔立ちとは言いがたいがスタイルが抜群とか、何かしらちょっと惜しいところがある人の方が受け入れられやすく、トップ級まで上りつめた長身美男子というと、福山雅治か竹野内豊あたりまで遡る気がする。その竹野内豊ですら近年はどちらかと言うとコミカルな面がフィーチャーされることが多く、ただイケメンがイケメンらしく振る舞っているだけでは埋没するのが日本のエンタメ界の現状だ。

 

そんな中、このポンコツ感は杉野遥亮の大きな武器となった。特に当時は今以上にコロナに対する恐怖心が強く、世界中が緊迫していた。明日も見えない状況で、人々の心が沈む中、毎日真面目に踊る(そしてちょっとずつうまくなる)杉野遥亮のダンスは、ファンの癒しに。この一生懸命なんだけど、どこか残念なところが可愛いというキャラクターは、のちの森生への布石となった。

 

 

正直であること。それが、俳優・杉野遥亮の魅力

 

その路線を決定づけたのが、今年1月から放送された『直ちゃんは小学三年生』(テレビ東京系)だ。本作で杉野遥亮は小学三年生の直ちゃんを好演。竹原ピストルらどう見ても大人の俳優たちが真面目に小学三年生を演じるという奇妙な世界観は、逆にそれが幸福感となって、観る人の心を和ませた。

https://twitter.com/drama25_202101/status/1413305640429051907?s=20

中でも杉野遥亮の演じた直ちゃんは純粋で一生懸命。寒空の公園で海パンの紐がほどけず泣きそうになるなど残念な部分もありつつ、でも友達想いというキャラクターがぴたりとハマり、その汚れを知らない素朴さは涙を誘うものさえあった。

 

この直ちゃんこそが、森生の原型とも言うべきキャラクター。“シュッとしたイケメン”を演じているよりも、ずっと杉野遥亮自身もイキイキしているように見えた。こうしたおバカで単純なんだけど、正直でピュアなキャラクターは杉野遥亮の十八番だ。

 

ではなぜ杉野遥亮はこうした正直キャラがハマるのか。これはひとえに、杉野遥亮自身が、そういう人間だからと言っていいと思う。

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